#25「起業」を始めたいあなたへ ~ビジネスアイデアの見つけ方・まとめ方~
「自分だけのアイデアがあり起業したい」という人から、「起業したいけれどアイデアが見つからない」という人まで、「起業」と「アイデア」は切っても切り離せない関係です。ここではアイデアをどこから見出すのか、見出したアイデアをどのようにビジネスモデルに昇華させていくのか、ご紹介していきます。
「起業」したいのにアイデアが思いつかない
「もっと自由に仕事がしたい」「自分の経験や資格を活かしたい」…働く人の価値観が多様化する今、さまざまな思いから「起業」したいと考える人が増えているようです。しかし、起業に興味がある人のうち、「10年以内に起業したい」と考えている人は全体の10%未満である一方、「いずれは起業したいが時期は未定」が約4割と、今すぐではないが時期を見計らっている様子がうかがえます(※1)。また、起業していない理由で多かったのは、「自己資金が不足している」「ビジネスのアイデアが思いつかない」「失敗したときのリスクが大きい」の順になっており(※2)、アイデアが思いつかないという人が一定数いることが分かります。
■起業予定の有無(起業関心層全体)(※1)

■まだ起業していない理由 (※2)

起業アイデアはどうやって見つけるの?

アイデアは日常にある
「起業アイデア」と聞くと、「これまで世の中になかった新しい商品・新しいサービスを考えなくてはいけない」と思いがちですが、実はそうではありません。アイデア発想法の書籍『アイデアのつくり方』(ジェームス・W・ヤング著/今井茂雄訳/ 株式会社CCCメディアハウス/1988年)には、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何物でもない」と書かれています。アイデアは最先端技術や天才的なひらめきだけが生み出すものではなく、その多くは日常生活で見慣れたものなど既存のアイデア、情報を組み合わせて生まれるものだと考えられます。
世の中にある商品・サービスの価値を見極める
世界にはすでに「売れている商品」「ヒットしたサービス」が星の数ほど存在し、私たちの生活を支えています。売れている商品・サービスにはそれなりに理由がありますし、長く支持されているものには他社製品が追随できない(あるいは追随しない)理由があるはずです。つまり、既存の商品・サービスが必要とされるニーズ、価値を探ることからアイデアを生むためのヒントが見つかる可能性があります。
既存の商品やサービスを改良する
すでに世の中に存在する商品やサービスを一部改良し、ヒット商品を生み出した事例も数多く存在します。例えば、今や人々の生活に欠かせないスマートフォンは、携帯電話とパソコンの技術を組み合わせることで誕生しました。単純に改良するだけでなく、異なる技術の組み合わせや、新しい市場をターゲットにすることも斬新なアイデアにつながりやすくなります。
今世の中で求められていることを知って、アイデアのヒントに
「アイデアありき」ではなく、まずは世の中のニーズを探り、ニーズを満たすアイデアを求めて行く手法もあります。現代のように社会が多様化し、変化が激しい時代には、人々のニーズも多様化・コモディティ化しています。「何が求められているのか」は各種メディアやSNSからの情報や、人との会話などから拾い上げることができます。自分の中の発想を新しくするためにも、普段会わない人と会って話をしたり、普段行かない店に行ってみたり、普段読まないジャンルの記事を読むなど、つねに新しい切り口を求める姿勢が重要です。
世の中にある課題を解決する
「必要は発明の母」ということわざがあるように、「こんな商品・サービスが欲しい」「こんな困りごとを解決したい」という想いが、起業へとつながるケースは少なくありません。「課題解決」と聞くとR&D型の起業を連想しがちですが、必ずしも技術開発を伴うものとは限りません。既存のものに新たな付加価値を付けたサービスや、価格設定や購入方法などを事業立ち上げの突破口とした事例も多くあります。
自分が好きなことや得意なことを追求する
すでに起業した人を対象に実施した「事業を始めてよかったこと」という調査に、約2割近くの起業家が「自分の趣味や特技を生かせた」と回答しています。自分の「好きなこと」「得意なこと」を生かすために、起業を始める人もいます。

<コラム>社会全体の変化は新たなビジネスのチャンス
これまでの歴史を振り返ってみても、時代の変革期にはそれまでの社会システムや価値観、考え方が通用しなくなり、パラダイムシフトが起こります。明治維新もその例といえます。明治維新をきっかけに社会制度や価値観が激変し、次々に新しい産業やビジネスが生まれ、社会全体が一気に近代化への道を歩み始めたといわれています。時代や社会の変化にいち早く対応した事業や企業が、今後も伸びていくことが予想されています。また変化の多い今の時代に何が求められるのか、人よりも早く気づいて行動することは、先行者利益を得るだけでなく、社会貢献にもつながります。
思いついたアイデアを整理する

アイデアを書き出してみる
アイデアを思いついたら、メモなどに具体的に書き出すことが大切です。思いついたものをメモに残し、ある程度数が集まったら、よく似たアイデアや解決策が近いアイデアをグルーピングするなどして考えをまとめることをおすすめします。一見、現実味のなさそうなアイデアでも、社会の変化は想像以上に早いため、急に実現性が高くなったり、別のアイデアを組み合わせることで新しい展開が生まれたりする可能性がないとも限りません。
大切な3つの要素を整理する
アイデアをまとめる際には、「誰の」「どのような課題」を「どのように解決するか」を整理します。特に「ペルソナ(具体的な顧客像)」を定義し、顧客像を明確に描いておくと、商品・サービスの方向性が見えやすくなります。
アイデアの内容を文章やイラストで表現する
アイデアを文章やイラストで表現することは、頭の中にあるぼんやりとしたイメージを形にすることにつながります。文章やイラストに落とし込むと、これまで見えて来なかった新たな課題やアイデアの長所、短所が可視化され、さらにそこから派生する別のアイデアが生まれるかもしれません。
類似の商品・サービスがあるか調べる
類似の商品・サービスがすでに存在することは、顧客ニーズがあることの証明です。類似品を知らずにまったく同じものを作ってしまうことがないように、しっかりと調査することが重要です。
- 自分のアイデアの優位点を考える
類似する商品・サービスに出会ったときは、自分のアイデアをいかに差別化するのか考える必要があります。自分のアイデアが優れているのは機能なのか、価格なのか、サービスなのか、客観的に見極め、優位点を伸ばしていきます。
アイデアシートを活用する
無料の事業化支援WebアプリStartDashを活用すると、質問に回答していくだけで「誰の」「どのような課題」を「どのように解決するか」の3つの要素を、「アイデアシート」(下図)に分かりやすくまとめることができます。

アイデアがまとまれば、ビジネスモデルの構築へ
アイデアがある程度固まってきたら、起業に向けてビジネスモデルの仮説を構築していきます。実際にビジネスにするときに、どのように顧客を獲得するのか。どのように販売するのか。どのように収益を確保するのか。必要な資金をどのように調達するのか。必要な要素を事業計画書にまとめていきます。
事業化支援Webアプリ「StartDash」で事業化の準備も進められます
事業計画の策定には、多くの方が経験したことがない事業戦略や資金計画などを盛り込まなければならず、初めての人にはハードルが高いかもしれません。また、アイデアから先に進めず、事業化に必要なことが分からないという声も多く聞かれます。
事業化支援Webアプリ「StartDash」なら、事業化に足りない要素を確認でき、効率よく準備を進めることができます。また、チェックリスト形式の質問に回答するだけで、事業計画書やビジネスモデルキャンバスなど、起業に欠かせないドキュメントを自動で作成できます。>>詳細はこちら

アイデアから起業準備までをサポートするStartDash
あなたのアイデアが整理できる「StartDash」
事業化支援Webアプリ「StartDash」は、ソニーが提供する新規事業支援プログラムSony Startup Acceleration Program(SSAP)で培ってきた事業立ち上げのノウハウを体系的にまとめ、使いやすいWebアプリケーションの形にしました。起業にあたって多くの時間を必要とした事業計画書などのドキュメント作成を効率的に行うことができ、本来必要とされるアイデアのブラッシュアップや事業計画の質向上に専念できます。アイデアをアイデアのまま終わらせないために、ぜひ「StartDash」をご活用ください。

あらゆる人に起業の機会を。
Sony Startup Acceleration Programはソニーが手がけるスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラムです。2014年から7年間で、60件以上の事業化検証、17の事業を創出(2021年3月末時点)。それらを通じて培った経験やノウハウを生かし、アイデア出しから事業運営、販売、アライアンス・事業拡大に至るまで総合的に支援する仕組みを整備し、スタートアップ支援サービスとしてみなさまにご提供しています。
バックナンバー
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Vol1Column2021.03.27#01イチから分かる新規事業のすべて
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Vol2Column2021.03.27#02なぜ新規事業が上手くいかないのか?① R&D部門から事業化の間に立ちはだかる壁を超えるには
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Vol3Column2021.03.27#03なぜ新規事業が上手くいかないのか?② 人材育成、人材不足が課題のトップに
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Vol4Column2021.03.27#04新規事業創出に欠かせないアイデアの出し方とは
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Vol5Column2021.03.27#05新規事業の立ち上げを成功に導く、プロセスや発想法について
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Vol6Column2021.03.27#06新規事業の立ち上げ時に活用したいフレームワーク25選
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Vol7Column2021.03.27#07新規事業が思いつかないとお悩みの方に。 新規事業の育成を支援します
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Vol8Column2021.03.27#08新規事業の立ち上げを成功に導く、コンサルティングの役割
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Vol9Column2021.03.27#09新規事業開発の「壁」を乗り越える、SSAPの「4つの柱」とは
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Vol10Column2021.03.27#10成功事例に学ぶ、新規事業の進め方
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Vol11Column2021.03.27#11オープンイノベーションとは ー メリット、課題、組織作りまで、成功のポイントを解説しますー
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Vol12Column2021.03.27#12オープンイノベーションのメリットを理解して事業の成長を加速させよう
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Vol13Column2021.03.27#13オープンイノベーションの成功事例とは?(SSAPの事例より)
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Vol14Column2021.03.27#14オープンイノベーションの課題とその解決方法
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Vol15Column2021.03.27#15新規事業の成長の“鍵”となる「アクセラレーター」とは?
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Vol16Column2021.03.27#16事業開発を通じた効果的な人材育成のポイントとは?
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Vol17Column2021.03.27#17実践型の人材育成に「新規事業開発」が効く理由
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Vol18Column2021.03.27#18若手にこそ経験させたい! 「新規事業開発」を通じた育成プログラム
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Vol19Column2021.03.27#19アイデアを生み出す注目メソッド! 「アイデアソン」とは?
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Vol21Column2021.03.27#21アイデアをカタチにするイノベーション手法 「ハッカソン」とは?
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Vol22Column2021.03.29#22社内ベンチャーとは?そのメリットと成功のポイントを徹底解剖!
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Vol23Column2021.03.29#23ますますニーズが高まる「事業開発」、成功のポイントは?
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Vol24Column2021.03.30#24これだけは押さえておきたい、起業のポイント
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Vol26Column2021.03.30#26起業の方法 ~ここは外せない、起業準備でやるべきこと~