2021.03.27
Sony Acceleration Platform 新規事業の基礎知識

成功事例に学ぶ、新規事業の進め方 ソニーの事例も紹介

新規事業を成功させる確率は、「千三つ」(1000のアイデアのうち、実現するのは3つ)という言葉があるほど低いといわれます。一方で事業を成功させ自社の事業のひとつとして定着させた事例も数多く存在します。本編では新規事業成功のポイントと、企業がソニーの新規事業支援プログラムSony Startup Acceleration Program(SSAP)を活用し、新規事業の事業化を実現した成功事例をご紹介します。

新規事業を成功に導く要因とは

新規事業を成功に導くには、まず立ち上げの仕組みを構築することから始める企業が多く、ソニーでも支援しています。そして社内オーディションなどで熱意やアイデアを持つ社内の人材を集め、必要であれば新たに人材を採用し、プロジェクトチームを組織します。チーム内では事業のビジョンを共有し合い、各自の役割を明確化することも大切です。とくに初期の段階では社内だけでは知見が不足していることが多いため、外部の経験者などから知見を吸収する機会を設けるのもよい方法だといわれています。
事業アイデアがある程度見えてきたら、ターゲットを絞り込んでいきます。多角的な視点からターゲットを絞り込むことで潜在的なニーズがあぶり出され、自社が得意とする市場が定められます。そしてスピードも大切です。事業計画を綿密に詰めるのではなく、最低限の準備ができた段階で「スモールスタート」し、テストマーケティングなどで市場の反応を見ながら、サービスやビジネスモデルの改善を図ることをおすすめします。

新規事業について、詳しくはこちらの記事をご覧ください>>イチから分かる新規事業のすべて
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新規事業立ち上げ時に必要な要素 ~アイデアを製品化するために

「ニーズの検証」京セラ株式会社の成功事例より①
京セラ株式会社は2018年10月よりSSAPのサービスの利用を開始。ライオン株式会社との協業により、音が出る子どもの仕上げ磨き用歯ブラシ「Possi(ポッシ)」を開発。その後、開発を進め、2020年12月に事業化を発表しました。
「Possi」のコンセプトは「子どもが嫌がる歯磨きを楽しい時間に変える」。歯磨きを泣いて嫌がる子どもたちを見て、「楽しませながら歯磨きができるハブラシを開発したい」というプロジェクトリーダーのアイデアからスタートしました。リーダーの生活体験から生まれたアイデアが果たして市場ニーズを満たすのか、プロジェクトチームはSSAPのサポートのもとニーズの検証を実施。ニーズ検証のためのインタビューを行い、同じ悩みを持つ親御さんの存在が確認できました。

「プロトタイピング」京セラ株式会社の成功事例より②

京セラ株式会社 研究開発本部メディアカル開発センター 東京事業開発部 事業開発3課 矢野順也さん 研究開発本部メディアカル開発センター 東京事業開発部 事業開発3課 日髙瑞穂さん

プロトタイプの製作にあたっては、アイデアを精査し、MVPを定義する必要がありました。さらにプロトタイプ製作ではスタートアップに適したサンプル調達のためのルートやルールを熟知しているSSAPアクセラレーターがサポートすることで課題を解決しました。プロトタイプ製作の実作業は、ソニーグループ本社1Fの「Creative Lounge」で実施。Lounge内にはプロトタイプ製作に必要な機材が全て揃っており、全体作業のスピードアップにもつながりました。
※MVP…Minimum Viable Product。顧客のフィードバックをもらうために、最低限実用に足る商品のこと。

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「ユーザーテスト」「ユーザーインタビュー」京セラ株式会社の成功事例より③
プロトタイプが完成しても、子どもの口の中に入れ、安全に使い心地を試してもらうためには、厳しい障壁があることが想定されました。しかし、ライオン株式会社が明確な「安全性の基準」を持っており、これをプロジェクトチームに提供してもらうことで壁を乗り越えることができました。「安全性の基準」には子ども向けのテストの種類やテスト実行の資格についてガイドラインがあり、プロトタイプ品で、かつ幼児でテストしても問題がないことが確認できる仕組みです。この基準がなければ、ユーザーテストのためのプロトタイプ製作の基準がわからず、開発が難航していたかもしれません。テスト時にはエンジニアも立ちあい、ユーザーインタビューに参加。直接フィードバックをもらうことができ、プロトタイプ改善に反映できました。

「マーケティング支援」株式会社LIXILの成功事例より①

株式会社LIXIL「DOAC」のイメージ画像

車椅子ユーザーの方々がひとりで玄関ドアを開けられる「スイングドアの自動化」は、株式会社LIXILで幾度となく検討されてきたテーマでしたが、これまで製品化に至りませんでした。そこで2019年7月より、わずか2名のプロジェクトチームを立ち上げ、SSAPと協働。約1年で製品化に成功し、電動オープナーシステム「DOAC」をリリースしました。
製品化に至る過程で特にサポートを必要としたのが、マーケティング面でした。「車椅子ユーザー」という限定されたマーケットで、どのようにこの製品を知ってもらい、どのような手法や表現で製品の魅力を伝えていくのか、SSAPでは同年11月からマーケティング支援を実施しました。
マーケティングでは、ユーザーとなり得る方々へのインタビューやユーザーに関連する情報収集に時間をかけました。ユーザー候補者のリアルな体験や声を聞くことは非常に重要で、そこから「どんな方にどのように製品の魅力を伝えるか」というマーケティングにつながっていきます。

「人材育成トレーニング」株式会社LIXILの成功事例より②
SSAPではプロジェクトメンバーを育成するトレーニングメニューも提供しています。「DOAC」のプロジェクトでは2019年7月に最初のトレーニングを開始。8月にはビジネスモデルの仮説構築、9月にはビジネスモデルの仮説検証、11月から前述のマーケティング支援、翌2月からコミュニケーションデザイン支援へと進めていきました。
特に前半はスピード感を重視し、「本当に欲しいと思ってもらえるお客様を見つける」ことにフォーカス。ユーザーインタビューの過程で、製品化されたら真っ先に導入を希望するお客様を見つけることができ、顧客像が明確になりました。メンバーが製品化への自信を深め、ディスカッションの内容も“超具体的”なものに変化しました。結果として、玄関ドアメーカーの社員として強い使命感を持って取り組むことにつながり、通常なら3年かかるとされる商品開発を約1年間で実現させました。

 

SSAPでは新規事業を成功に導くために全面的な支援を行います

上記の成功事例からもうかがえるように、SSAPのサポートはアイデア発想からビジネスモデルの仮説構築・検証、マーケティング支援、トレーニングによる人材育成など、新規事業の幅広いステージに渡って展開しています。その全体像は、SSAP公式サイトの「Services」ページをご参照ください。>>詳しくはこちら
さらに、無料のオンライン説明会で、Sony Startup Acceleration Programの活用方法やメニューの価格を詳しくご説明いたします。ぜひお気軽にご参加ください。

Sony Acceleration Platformは、新たな価値を創造し豊かで持続可能な社会を創出することを目的に2014年にソニー社内の新規事業促進プログラムとしてスタートし、2018年10月からは社外にもサービス提供を開始。ソニーが培ってきた事業開発のノウハウや経験豊富なアクセラレーターによる伴走支援により、760件以上の支援を25業種の企業へ提供。
新規事業支援だけでなく、経営改善、事業開発、組織開発、人材開発、結合促進まで幅広い事業開発における課題解決を行ううえで、ソニーとともに課題解決に挑む「ソリューションパートナー企業」のネットワーク拡充と、それによる提供ソリューションの拡充を目指します。(※ 2024年10月末時点)

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