2024.08.28
Sony Startup Acceleration Program 新規事業の基礎知識

新規事業の立ち上げを成功に導く、プロセスや発想法 ソニーの新規事業支援も紹介

新規事業の立ち上げは、企業にとって大きな挑戦といえます。事業の立案から事業計画の具体化、そして立ち上げに至るまで、どのようなプロセスを踏めば成功につながるといわれているのでしょうか?。ソニーが提供する新規事業支援プログラムSony Startup Acceleration Program(SSAP)が、事業の立ち上げに必要な経営資源や、立ち上げまでのプロセス、その過程で役立つフレームワークなどについてまとめました。

新規事業の立ち上げに必要な要素は?

経営資源

企業経営に必要となる要素として「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」という経営資源が必要なことはよく知られています。新規事業を立ち上げて、収益が得られる事業へと軌道に乗せていく過程においてもこの4つの要素は必要となり、また課題として立ちはだかります。

立ち上げのプロセス(方法)

新規事業をどう進めていくのか。立ち上げに時間もコストもかけたものの、結局事業化に結び付かないケースもあります。新規事業を成功させるには、まず社内に新規事業創出の仕組みを整えることが必要です。立ち上げのプロセスは「ステージゲートシステム」という方法論があります。アイデア発想から事業化までのプロセスをステージに分割し、次のステップに移行する前に「評価」のゲートを設け、最終的に事業化・商品化に至らしめるものです。 ソニーが提供する新規事業支援プログラムSony Startup Acceleration Program(SSAP)では「ステージゲートシステム」を元に、新規事業創出のための基盤を構築しています。

ステージゲートシステムについて詳しくはこちら >>イチから分かる新規事業のすべて

新規事業の立ち上げ時に必要なことは?

新規事業開発プロジェクトには、熱意やアイデアを持ち、共通の意識を持つ社員を中心に少人数のチームを組織することが望ましいと私たちSSAPは考えています。さらに外部の経験者などから知見を吸収する機会を早い段階から設け、新しい人材を積極的に採用するなどして、チームが意欲的になれる環境を作るのが理想的です。

新規事業の方向性を定める

新規事業を立ち上げる際、市場や企業の持っているスキルなどによって「誰に」「何を」「どのように」提供するのか、事業領域を決めます。主な方向性4つを解説します。それぞれに利点と課題があり、企業の状況や市場環境に応じて最適な選択をすることが重要だといえます。

1. 新製品・サービス開発

既存の市場に対して新しい製品やサービスを投入することです。顧客ニーズの変化や技術革新に応じて、新たな価値を提供することを目的としています。既存の製品に新機能を追加してバージョンアップしたり、既存の顧客層に対して、新しい関連商品を提供したりする場合を指します。

メリット

  • 既存の顧客基盤を生かして新製品を迅速に展開できる。
  • 顧客のニーズを満たし、競争力の強化につながる。

デメリット

  • 開発コストや時間がかかる。
  • 新製品が市場に受け入れられるかどうかの不確実性がある。

2. 新規市場開拓

既存の製品やサービスを新しい市場に投入することです。現在の市場での成長に限界が見えている場合や、新しい需要を見込める市場を見つけた場合に用いられます。国内市場から海外市場への進出や、若年層向けの製品をシニア向けに改良し提供する、などのケースを指します。

メリット

  • 既存の製品やサービスを活用できるため、開発コストが比較的低く抑えられる。
  • 市場の多様化によりリスク分散が可能。

デメリット

  • 新市場に関する知識や経験不足を補えない場合、リスクが高まる。
  • すでに競争が厳しい市場の場合、シェアを獲得するのが難しい。

 3. 多角化

現在の事業領域とは異なる新しい事業に進出することです。既存の事業とは異なる製品やサービスを提供することで、事業ポートフォリオを広げることを目的としています。たとえば、テクノロジー企業が医療機器の市場に参入することや、飲料メーカーがスナック菓子の製造・販売を開始することなどが挙げられます。

メリット

  • 事業の多様化によるリスク分散が可能。
  • 新たな収益源を確保し、全体の成長を促進。

デメリット

  • 異なる業界に関する知識やスキルが必要。
  • 多角化による経営資源の分散が事業全体の効率を下げる可能性がある。

4. 事業転換

現在の事業を大幅に見直し、新しい事業モデルや市場にシフトする戦略です。経営環境の変化や技術革新に対応し、持続可能な成長を目指します。例として伝統的な小売業がオンライン販売にシフトすることや、製造業がサービス業に転換することなどが挙げられます。

メリット

  • 市場の変化に柔軟に対応できる。
  • 新たな成長機会を捉えることが可能。

デメリット

  • 既存事業の停止や縮小に対するリスクが高い。
  • 新事業の成功が確実ではないため、綿密な計画と実行が必要。

新規事業のプロジェクトメンバー(チーム)が行うことは?

新規事業担当のプロジェクトメンバーは、事業開発を行う実務者として、以下のことを進めるのが一般的です。

1.事業アイデアを見つける

新規事業のアイデアは、世の中が抱える「課題」が解決されたときに、どんな価値が生まれるか、という観点から発想するのも方法です。課題の解決と支払われる対価によって収益が出るか、つまり事業として成り立つかを考えます。

2.事業ドメイン(領域)を決定する

ビジネスを、誰に、どのようにして提供するかを考えます。これを明確にすることによって、取り組むべき事業内容がよりクリアになります。

3.理念・ビジョンを明確にする

プロジェクトを進めていくにあたって、最終的に何を実現したいのかをメンバーが共有することはとても重要です。自社が社会において存在する意義や役割を定義し、チーム内で共有することによりメンバーのベクトルを合わせることができます。

4.市場性と事業性を検証する

そのアイデアを事業化した場合、どの程度の収益が見込めるでしょうか。これを明らかにするために、市場調査などで成長性やリスク、競合他社に関する情報を集めて分析しておきます。
また、顧客の課題をしっかりと解決できるのかどうか、つまり事業化する意義があるのかを検証します。

5.商品・サービス作りに必要な環境を整える

先述した経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)のうち、何が足りていて何が足りないのかを洗い出します。足りない部分をどう補っていくのかの検討を行い、新たな人材の採用や資金の調達などの対策を講じます。

6.行動計画を立てる

ビジネスプランが明確になってきたら、今後の事業計画を策定します。誰が、いつ、何をするのかという具体的な行動計画に落とし込んでいきます。

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新規事業のマネジメント担当者が行うことは?

新規事業を推進するうえで大切なのは、プロジェクトメンバーまかせにするのではなく、組織として取り組む体制づくりです。そのためには、新規事業開発のマネジメント担当者の役割が大切です。

新規事業を立ち上げる土壌(組織)を作ることが重要

新規事業を立ち上げていく過程では、さまざまな壁にぶつかることになります。これをサポートするためには、組織としてプロジェクトメンバーをフォローしていく体制づくりが欠かせません。新規事業開発マネジメント担当者の役割は、企業内に新規事業を立ち上げて推進していくためのマインドの醸成や、土壌(組織)をつくることなどがあります。

新規事業立ち上げに必要な「事業育成」と「組織開発」を支援

SSAPでは、持続的に事業創出ができる組織開発や、事業創出できる人材の短期育成を支援しています。

◆ アイデア出しから事業化までを伴走する新規事業開発の支援

新規事業立ち上げ初期の育成と検証をソニーの場とアセットとノウハウを活用して行うことができます。共通目標は事業創出。まず、目に見える成果をプロデューサー伴走支援でともにつくっていきます。

◆ 新規事業に取り組む組織に必要な制度や評価方法などの組織設計を支援

「新規事業開発のミッションがあるものの、創出するための組織づくりが上手くいっていない」「事業創出できる人材がいない」、このような方に向けてSSAPは、持続的に事業創出ができる組織づくり、事業創出できる総合的人材の育成を支援します。

新規事業立ち上げを支援するSSAPのサービスとは >>詳しくはこちら

新規事業のリスクを回避するには?

新規事業を立ち上げるうえで抑えておきたいリスクの回避について、ここでは一般的な方法をご紹介します。

◆需要の予測をしっかりと立てる

事前の需要予測が甘かったり、都合のよい解釈の元に立てられたものであったりした場合、成功に至る可能性を下げてしまうことがあります。提供する商品やサービスに関して、「必ず市場に受け入れられる」という根拠を持っていることが重要です。「なぜ新規事業に取り組むのか」、「なぜこの事業が顧客の課題を解決できるのか」、「なぜこのタイミングなのか」といった問いに対して、しっかりと答えることができる根拠のもと需要予測を立てる必要があります。

◆事業撤退の基準を決めておく

新規事業が計画通りに進まないときには、撤退もひとつの選択肢になりえます。しかし、一度スタートさせた新規事業にストップをかけるのは難しいもの。判断が遅れて赤字を膨らませないためにも、立ち上げる段階で数値計画を立て、事業の撤退基準を決めておくことが重要です。

◆市場参入のタイミングを逃さない

「完璧な状態でローンチしなければ」と仮説検証に時間を割きすぎると、ようやくリリースした頃には、競合他社が進出しレッドオーシャンになっているという状況もありえます。市場のニーズを見極め、参入のタイミングを逃さないことも重要です。

新規事業の創出フェーズに活用したい「フレームワーク」

フレームワークは、検討事項にモレが起こらないようにするとともに、思考が加速されスピーディーな問題解決をサポートしてくれるものです。新規事業の立ち上げ時に活用したい代表的なフレームワークをご紹介します。

1. 自社の環境を把握し戦略に役立てる「SWOT(スウォット)分析」

SWOT分析は、自社の置かれた状況や市場や競合の状況を明らかにして、経営戦略を考えるためのフレームワークです。
次の4つの項目で、自社商品が該当する要素を洗い出し列挙します。次に、自社商品の強みや弱みを整理し集約し、外部環境と照らし合わせながら戦略を練っていきます。

SWOT分析の4つの要素

  • Strength:強み
  • Weakness:弱み
  • Opportunity:機会
  • Threat:脅威

2. 自社の強みを生かした戦略を考える「クロスSWOT分析」

SWOT分析では、4つの要素に関して自社商品の外部環境と内部環境を列挙しました。クロスSWOT分析ではこれを活用し、抽出した要素を「強み×機会」、「強み×脅威」、「弱み×機会」、「弱み×脅威」といった要素を組み合わせ、それぞれの項目でどのような戦略が成り立つのかを考えていきます。

SSAPが提供する無料の事業化支援Webアプリ「StartDash」に登録すると、「クロスSWOT分析」のフレームワークが利用できます >>登録はこちら

3. 事業の方向性を定める「3C分析」

3C分析とは、Customer(顧客・市場)、 Company(自社)、Competitor(競合他社)という、経営に重要な利害関係のある3者の視点で分析し、バランスのよい経営戦略を立てるためのフレームワークです。
3つの要素のうち最も大事なのは、もちろん顧客です。顧客に焦点を当てながら競合と自社を比較してどのように優位に立てばいいのかを検討する際に用いられます。

4. 自社の立ち位置を定める「ポジショニングマップ」

ポジショニングマップは、ターゲットとなる市場において、各社の商品やサービスがどのような立ち位置にあり、自社がどの位置を目指すのかを明確にするフレームワークです。
まず、顧客が商品を購入する場合に重要視する要素を2つ選び、それをタテとヨコの軸に設定します。次に、競合他社の商品がどこにあるのかをマッピングし、自社商品がどこを目指すべきなのかの検討材料にします。

「ポジショニングマップ」の作り方をこちらの記事で解説しています >>ポジショニングマップの作り方
「フレームワーク」はこちらでも多数ご紹介しています >>新規事業の立ち上げ時に活用したいフレームワーク25選

しっかりと準備してスピーディーに事業立ち上げを

新規事業の立ち上げには時間がかかりがちです。反面、成功につなげるために、スピードは重要な要素です。競合のいない有望な市場を見つけたとしても、立ち上げまでに時間をかけすぎてしまうと、市場環境の変化や競合他社の参入などにより事業化のタイミングを逃す可能性もあります。入念な準備を行いつつ、スピードも意識することが新規事業成功のポイントとなります。

スピードを求められる新規事業開発ご担当者様へ。SSAPの説明会に参加してみません

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)ではアイデア出しから事業化検証、事業運営、販売、アライアンス・事業拡大に至るまで一気通貫で支援する仕組みが整っています。新規事業を立ち上げる際の課題を、SSAPで解決しませんか?

ソニーの新規事業支援プログラム SSAP紹介パンフレット 無料ダウンロード

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は、「あらゆる人に起業の機会を。」をコンセプトに、2014年に発足したスタートアップの創出と事業運営を支援するソニーのプログラム。ソニー社内で新規事業プログラムを立ち上げ、ゼロから新規事業を創出した経験とノウハウを活かし、2018年から社外にもサービス提供を開始。経験豊富で幅広いスキルとノウハウをもったアクセラレーターの伴走により730件以上の支援を25業種の企業へ提供。大企業ならではの事情に精通。(※ 2024年8月末時点)

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