2021.04.19
Sony Startup Acceleration Program 新規事業の基礎知識

#28説得力のある事業計画書の書き方

起業時の資金調達などで提示を求められる事業計画書の書き方を解説します。

事業計画書とは?

事業計画書とは、起業家や事業を運営する人が、自分の事業をどのように展開していくのかを可視化したものです。投資家や金融機関は事業計画書に書かれた内容から事業の成長性などを予測し、出資や融資を決定する際の判断材料のひとつとしています。事業計画書をまとめることで、それまで曖昧だった部分が明らかになり、準備すべきものが具体的に見えるという効果もあります。

「事業計画書」について詳しくはこちらの記事もご覧ください>>起業に欠かせない「事業計画書」とは

 

事業計画書に求められること

事業計画書では「どのような事業なのか」「この事業でどのように収益を上げるのか」「どれほどの収益が見込めるのか」「どのように収益を見込んだのか」を明確に説明する必要があります。

事業計画書を書く前に実施すべき3つのこと

  • 説明する相手先と目的を意識する
    事業計画書を説明する相手によって書き方や見せ方をアレンジすると、相手への訴求力が増します。例えば投資を目的に投資家に説明するのであれば、事業のビジョンを通じて起業家の夢や目標を語り、想いを伝えることや将来性をアピールすることが一般的に大切とされています。金融機関から融資を引き出したいのであれば、明確な根拠に基づいた数値計画が必要ですし、協業先を獲得したいのであれば、事業の将来性や社会貢献性、協業することのメリットを感じさせる内容が重要視されます。
  • 事業概要を説明してみる
    相手にまず知ってもらいたいのは、「どのような事業なのか」ということです。この点が分かりづらいと、その後の説明もスムーズに理解されにくくなりますので、まずは自分の頭の中で事業概要をまとめ、かんたんに説明できるようにしてから事業計画書に落とし込むと効果的です。
  • 伝えたい内容を絞る
    起業への想いの強さから「これも伝えたい。あれも伝えたい」と情報を盛り込みたい気持ちになりますが、聞き手が一度に咀嚼できる情報量には限界があります。事業計画書にまとめる際は、事業の骨子となる重要な部分、相手の興味を惹きつけそうな部分、必ず伝えなくてはいけない部分に絞り、メリハリのある内容を心がけるようにします。

 

事業計画書の書き方

一般的に事業計画書に記載されることが多い項目を解説します。事業の内容や説明する相手先によって、項目をアレンジして構いません。重要なのは、「どのような事業なのか」「どうやって収益を上げるのか」「どれくらいの収益が見込めるのか」「収益見込みの根拠」について、しっかりと提示することです。

想定顧客
商品・サービスのユーザーになり得る顧客層を提示します。とくに従来なかった新しい商品やサービスの場合、早い段階で購入する「アーリーアダプター」のペルソナを具体的に描けていることが重要です。「ペルソナ」とは典型的なユーザー像で、設定する際は、年齢、性別、居住地、家族構成、職業、役職、年収、価値観、趣味、ライフスタイル、人生の目標など、まるで実在の人物のように細かな部分まで想定します。それにより、ターゲット像を周囲と共有しやすくなり、事業戦略や施策の方向性を明確にしやすくなります。

提供価値(商品・サービスの概要)
商品・サービスの概要を説明し、それによりどのような価値が提供されるのかを明記します。商品の機能やサービスの特徴に関する説明だけでなく、「ユーザーにとって何が嬉しいのか」を想定し、分かりやすくまとめると伝わりやすくなります。

ニーズ検証の結果
ユーザーインタビューなど実際にニーズがあるかの検証結果をまとめたものです。何人にインタビューし、うち何%が「対価を支払って商品・サービスを利用したい」と答えたのか、利用したくない理由は何かをまとめます。ニーズ検証の結果は、事業計画書の説得力を高める重要な要素です。

市場規模
参入する市場を定義し、国・自治体・関連団体・調査機関・企業などが実施している調査結果や、独自調査などにより把握した市場規模を掲載します。このとき、実施する事業内容に応じて、ターゲット層を絞り込んだ(セグメンテーションした)市場規模も分かれば、より具体的になります。

ビジネスモデル
自社の商品・サービスの仕入れ、製造(提供)、販売などの流れをまとめ、どのタイミングで誰からお金を得るのか、その仕組みをまとめたものがビジネスモデルです。ビジネスモデルを説明する際には、自社、顧客、重要なパートナーなどを図示し、商品・サービス、対価(お金)とその流れを矢印などで図示すると分かりやすくなります。

ビジネスモデルのイメージ図
(ビジネスモデル図解例)

競争優位性、経営戦略
他社と比較して、自社や自社の商品・サービスの優位点を記載します。優位性を強調する際は、客観的な根拠も併記すると説得力が増します。そして商品・サービスをどのように普及させていくのか、どのように参入障壁を築くのかといった成長ストーリーを描きます。

マーケティング戦略・販売戦略
自社の商品・サービスを購入してくれるターゲット層に対して、どのように商品・サービスの内容を伝え、顧客に認知、購入してもらうのかをまとめます。具体的には、どのような価格設定にするのか、どこで売るのか、どのようなプロモーションを行うのかなどを提示します。短期的な集客策だけでは事業の安定性・継続性を問われやすいため、リピーターの獲得戦略なども加えると理想的です。

数値計画
売上計画、利益に関する計画、資金調達に関する計画などの財務計画を表やグラフにまとめます。数値計画を作成する際には、人件費などを含む諸経費や販売・マーケティング、アフターサービスにかかる費用、開発投資費用など、必要な費用を抜け漏れなく盛り込むことが重要です。

事業体の概要
会社やチームの概要、主要メンバーの経歴などをまとめます。前職での経歴やスキル、専門性も盛り込むことでチームの強みのアピールになります。

ミッション・ビジョン
ミッションとはその事業が果たすべき使命であり、社会における存在意義です。ビジョンは「将来こうありたい」と考える姿のことです。ミッションやビジョンは起業家の想いが総括されたものであり、その事業の原点ともいえます。事業が困難な状況に陥ったときや、ビジネスの方向性に迷ったときは、改めてミッションやビジョンに立ち戻って考えることが大切です。

事業計画書のサンプルを確認
事業化支援Webアプリ「StartDash」には、質問に答えていくだけで事業計画書が作成できる機能があります。事業計画書のサンプルをダウンロードできますので、ぜひご覧ください。

事業計画書のサンプル画像
StartDashで作成できる事業計画書のサンプルダウンロード>>詳細はこちら
StartDashについて>>詳細はこちら

スタートアップの事業計画書に必要なことは?
商品・サービスの販売実績が少なく、知名度も低いことが多いスタートアップでは、事業の意義を示すために「自社がどのような価値を顧客に提供したいのか」「どのように社会に貢献したいのか」というミッションや、「将来、会社をこんなふうにしたい」「こんな社会を実現したい」というビジョンをしっかりと定義することが重要です。その上で、「ビジネスモデル」や「競争優位性と経営戦略」などを検討すると、説得力の高い事業計画書を作りやすくなります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。>>スタートアップならではの事業計画書の作り方

 

事業計画書を書くときに押さえるべきポイント

多くの人に複数の視点で見てもらう
事業計画書作成をひとりで行うと、技術が得意な人の場合は開発した技術や機能面が強調されたり、営業が得意な人の場合は販売戦略や数値計画の情報が多くなったりと視点に偏りが出る可能性があります。プロジェクトメンバーや支援者など複数の人に目を通してもらい、フィードバックされた内容を検討することで、バランスの取れた事業計画書に仕上げられます。

誰にアピールするかでアレンジする
事業計画書を説明しアピールする相手としては、投資家・金融機関、社内外の支援者、協業先などが考えられます。説明する相手や目的により、強調したい点や理解してもらいたい点が異なることがあるため、相手に合わせて構成や書き方を調整すると効果的です。専門分野が異なる相手には、専門用語に解説をつけるなど分かりやすさにも配慮します。

意見をもらったら修正を検討する
事業計画書に対する意見を自分なりに咀嚼して、必要に応じて修正します。事業計画書を常にブラッシュアップしていくことが重要です。

リスクについて回答を用意しておく
投資家や金融機関から資金調達する際、事業リスクや自社の弱みなど答えづらい質問を受けることがあります。その場合、あらかじめ受けそうな質問を想定して回答を用意しておくと、その場でも落ち着いて対応することが可能になります。事業化支援Webアプリ「StartDash」には、投資家によく聞かれる質問を集約してあります。回答していくだけで想定問答集を作成し、出力できる機能が備わっています。>>詳細はこちら

事業計画書を効率よく作成する
事業計画書を作成するには事業について多角的に考えなくてはならず、まとまった時間を必要とします。できるだけ内容のブラッシュアップに時間をかけるために、フォーマットや書き方などの検討には時間を割かず、少しでも効率的に作成したいところです。

  • 事業計画書を効率的に作成できるソニーの事業化支援Webアプリ「StartDash」
    Sony Startup Acceleration Program(SSAP)が提供する無料の事業化支援Webアプリ「StartDash」を利用すると、事業計画書を効率的に作成することができます。
    チェックリスト形式の質問に回答していくだけで、はじめての方でも簡単に事業立ち上げに必要な要素を抜け漏れなく確認できます。また、チェックリストの回答内容から事業計画書などのドキュメントを自動で作成できます。>>詳細はこちら

 

事業計画書作成後のチェックポイント

1.内容は具体的になっているか?
その事業アイデアをはじめて見る人が理解できる内容か、抽象的な表現や曖昧な表現がないか、商品・サービスの説明が具体的か、などを確認します。

2.整合性がとれ、分かりやすく書いてあるか?
同じ事業計画書の中で相反することを書いていないか、用語の統一ができているか、意味が分かり難い部分がないかチェックします。

3.内容が専門的になりすぎていないか?
事業計画書を見る投資家や金融機関の担当者は、その業界や技術に詳しい人とは限りません。業界に詳しくない人、技術的な知識がない人が見ても分かるように平易にまとまっているか確認します。「専門知識があることが前提」の文章にならないように前提となる説明を加えます。

4.対象とする客層を絞りこみすぎていないか?
ターゲット層を特定することは重要ですが、あまりに条件を絞りこみすぎると、ターゲット層が狭くなりすぎ、投資家から「市場が小さい」と判断される可能性があります。

5.競合について書かれているか?
事業をはじめる上で、競合商品や競合他社について調べておくことがとても重要です。「自社の商品・サービスには競合はいない」と考えていても、調査不足や、認識のずれがあり、投資家や金融機関の担当者に指摘されることがあります。本当に競合は存在しないのか、自社で調べても分からない場合は、業界のエキスパートなどに競合先についてヒアリングする方法があります。

6.模倣されないよう対策は考えているか?
商品・サービスを模倣されないためには、競合が真似できないものを提供することです。例えば、競合が短期間に追いつけない高品質、低価格、強力な販路や、技術的な強み、知的財産権などが競争優位性になります。

7.売上や利益などの数値は根拠を伴っているか?
売上や利益などの数値は根拠をもって提示することが重要です。「販売数」や「商品単価」、「必要経費」など一つ一つの数値の根拠を示すことで事業計画書の信頼性が向上します。

8.必要な人材・スタッフを実際に確保できるか?
事業に必要なスタッフは、事業のフェーズにより変化します。起業時には最低限のオペレーションを実行できるスタッフを確保する必要があります。その後、事業計画に応じて必要なスキルを持つスタッフを確保する必要があります。計画的な人材採用と教育を行い、人材不足が事業の成長の妨げにならないようにします。

9.流通・販売方法が明確になっているか?
起業間もない企業にとって、どこからどのように部品や原材料を調達し、どこでどのように販売するのかを明確にすることは、流通・販売にかかるコストを把握することにもつながります。資金調達面でも重要なファクターですので、想定できる範囲内で可能な限り記載します。

 

事業計画書の書き方について、よくある疑問にお答えします

書き方以外の疑問はこちらの記事をご覧ください >>起業に欠かせない「事業計画書」とは

Q. 事業計画書は何ページぐらい必要ですか?
「事業計画書は何ページ以上必要」など、書式が決まっているものではありませんが、何十ページにも渡る分厚い文書は読み手の負担にもなりますので、大切な部分のみを要約し、10~20ページ程度に収めることが目安といわれています。

Q. 事業計画書は手書きでもいいですか?
パソコンで作成した方が読みやすく、後からの修正もしやすくなります。

Q. 事業計画書に特定フォーマットはありますか?
一般的に決まった形式やフォーマットはありません。ただし、金融機関などが融資する際にフォーマットを指定する場合があります。

Q. 収支計画は何年分書けばよいのですか?
一般的には3~5年程度の収支計画を書くのがよいといわれています。

 

伝わる事業計画書で起業の実現へ

事業計画書は事業の計画を伝えるための文書です。分かりやすい事業計画書を作成することがスムーズな事業立ち上げにつながります。無料の事業化支援Webアプリ「StartDash」では効率のよい事業計画書の作成をサポートしていますので、ぜひご利用ください。

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Sony Startup Acceleration Programはソニーが手がけるスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラムです。2014年から7年間で、80件以上の事業化検証、17の事業を創出(2021年6月末時点)。それらを通じて培った経験やノウハウを生かし、アイデア出しから事業運営、販売、アライアンス・事業拡大に至るまで総合的に支援する仕組みを整備し、スタートアップ支援サービスとしてみなさまにご提供しています。

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