2022.10.03
Sony Innovation Fund presents Remarkable Startups

株式会社TRUSTDOCK|「デジタルアイデンティティ」と「オンライン本人確認」の社会インフラ

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は2022年8月より、革新的なテクノロジーをもつスタートアップに投資しビジネスをサポートするSony Innovation Fund(SIF)と協業し、SIFの投資先スタートアップに支援提供を開始しました。SSAPとSIFはこの協業により、有望なイノベーションを育み、豊かで持続可能な社会を創り出すことを目指しています。

本連載では、SIFの国内投資先スタートアップを1社ずつご紹介します。

 株式会社TRUSTDOCK 代表取締役CEO 千葉 孝浩さんに、会社のミッションや事業内容をインタビューしました。

 

代表取締役CEO 千葉 孝浩さん

――会社のミッションを教えてください。

TRUSTDOCKのミッションは「デジタルアイデンティティとeKYC(※1)のインフラを創る」ことです。個人が主体となり個人データの適切な保護と利活用を行える、安心・安全なデジタル社会のインフラ構築を進めています。

※1 オンライン上で本人確認を完結するための技術(electronic Know Your Customerの略称)
株式会社TRUSTDOCKの会社ロゴ

――TRUSTDOCKではどういった事業を展開していますか?

TRUSTDOCKは、各種法規制に準拠した取引・手続きをデジタル化する際の「オンラインでの顧客確認」の課題を解決する、KYC(※2)の専門会社です。

例えばTRUSTDOCKでは、eKYCに全対応した「デジタル身分証アプリ」と「eKYC本人確認API(※3)サービス」を提供しており、これらは各種法律に準拠した本人確認を簡単に実現します。また本人確認のみならず、反社会的勢力に関係していないかを見極める作業やマイナンバーの取得など、あらゆる顧客確認業務を提供しています。

TRUSTDOCKはシステムを提供するだけでなく、24時間365日の目視業務もサポートします。そのためサービス事業者は、システムの開発コストだけでなくオペレーターの採用・教育などの人的コストも削減でき、早期に安定した高品質なKYC処理を自社サービスに組み込めます。

※2 本人確認を行うための手続き(Know Your Customerの略称)
※3 ソフトウェアコンポーネント同士が互いに情報をやりとりするのに使用するインタフェースの仕様
TRUSTDOCKが提供するサービスの仕組み

――ビジネスアイデアが生まれたきっかけは?またビジネスとしてどのように具現化しましたか?

アイデアが生まれたきっかけは、私の前の職場が注力していた、シェアリングサービスやマッチングプレイスなどのCtoC(Consumer to Consumer:個人間取引)のビジネスで感じた課題でした。オンライン上の個人間での取引は、信用・信頼の後ろ盾が無く、双方が不安に感じることが多いです。それが障壁となり、CtoCの取引は普及しづらいという課題があったのです。

この課題を解決すべく調査を進めたところ「顧客確認」の領域は、業界や法規制によって確認が必要な内容が千差万別だということがわかりました。例えば、カーシェアでは免許証の確認であったり、婚活サービスでは独身証明書を確認するケースもあったり、業界ごとに必要な確認項目はバラバラです。     

この領域ではDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでおらず、事業者自身も、顧客確認業務はその他の数あるバックオフィス業務の一つとして自社でやらざるを得ない物事と捉えていました。

そこで生まれたのが、TRUSTDOCKの事業の原型となるアイデアです。業界や法規則を問わず、顧客確認のDXを推進するソリューションを提供しようと考えたのです。

ソリューションとしては単純に確認ツールを提供するだけでなく、あらゆる顧客確認処理をAPI化することで、システムにAPIを繋ぐだけで業務処理が完了するので、事業者側での業務負担も激減し、サービス事業者がスピーディーに精度の高い「オンラインでの顧客確認」を実現できるようにしました。

――今後の期待や展望は?

コロナ禍で、業界を問わずあらゆる手続きや取引がオンライン化しています。オンラインでの手続き・取引時の「顧客確認」は、リアル社会だけでなくメタバースなどのバーチャル空間でも、今後ますます重要性が増すと考えられます。

また、GDPR(一般データ保護規則)が施行されたことからもわかるように「個人データを保護しつつ、データをどう利活用するのか」は、世界的に大きなテーマです。デジタル社会のeKYCインフラは、個人データの主権者である個人が納得する形で整備されるべきです。TRUSTDOCKはその一翼として、社会に根付くインフラ企業を目指しています。

 SIFは株式会社TRUSTDOCKに対し2019年4月に出資を行っています。TRUSTDOCKへの出資を担当している     ソニーベンチャーズ株式会社 北川 純と安藤 友より、注目ポイントをご紹介します。

1.バランスの取れたチーム構成

TRUSTDOCKでは、全方位にバランスの取れたチームが構成されています。技術開発チームは複雑な法令への対応や顧客のスムーズなサービス体験を実現し、営業・サポートチームは新興企業から大手金融機関まで開拓。海外チームは事業のグローバル展開を行っています。代表取締役CEO 千葉さんと経営陣、社員の方々の厚い信頼関係が垣間見え、そのチームワークにも注目しています。

2.高品質なワンストップソリューション

TRUSTDOCKのプロダクトの強みは「高品質なワンストップソリューション」を実現している点だと考えています。TRUSTDOCKはさまざまな業種のeKYC業務に対応し、サービス事業者が自社だけでは対応しきれない領域に、一貫したソリューションを提供しています。サービス導入はスピーディーで価格も他社と比較しても適正だという点で、eKYC分野のリーディングカンパニーの1社に成長していると認識しています。

3.グローバル志向

タイとシンガポールを皮切りに、グローバルの顧客基盤開拓にチャレンジしています。TRUSTDOCKはアーリーステージの段階から海外進出を視野に入れ東南アジアへの進出を行い、徐々に基盤が構築されています。eKYCのニーズはグローバルでも共通して高い点にも注目しています。

 

連載「Sony Innovation Fund presents Remarkable Startups」では、今後も定期的にスタートアップをご紹介してまいりますので、お楽しみに!

 

※本記事の内容は2022年10月時点のものです。

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は、「あらゆる人に起業の機会を。」をコンセプトに、2014年に発足したスタートアップの創出と事業運営を支援するソニーのプログラム。ソニー社内で新規事業プログラムを立ち上げ、ゼロから新規事業を創出した経験とノウハウを活かし、2018年から社外にもサービス提供を開始。経験豊富で幅広いスキルとノウハウをもったアクセラレーターの伴走により270件以上の支援を22業種の企業へ提供。大企業ならではの事情に精通。(※ 2022年12月末時点)

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