2022.09.05
Sony Innovation Fund presents Remarkable Startups

monoAI technology株式会社|ゲーム開発経験を活かしたメタバースプラットフォーム

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は2022年8月より、革新的なテクノロジーをもつスタートアップに投資しビジネスをサポートするSony Innovation Fund(SIF)と協業し、SIFの投資先スタートアップに支援提供を開始しました。SSAPとSIFはこの協業により、有望なイノベーションを育み、豊かで持続可能な社会を創り出すことを目指しています。

本連載では、SIFの国内投資先スタートアップを1社ずつご紹介します。

monoAI technology株式会社とは?

monoAI technology株式会社 代表取締役社長 本城 嘉太郎さんに、会社のミッションや事業内容をインタビューしました。

本城 嘉太郎さんの写真
代表取締役社長 本城 嘉太郎さん

――会社のミッションを教えてください。

monoAI technologyのミッションは「先進技術で、エンタメと社会の未来を創造する」ことです。通信技術とAI技術をコアとする最新技術を用いて新しいプロダクトを様々なパートナー企業と共に開発することで、企業価値の最大化を図ります。

monoAI technology株式会社の会社ロゴ
monoAI technology株式会社の会社ロゴ

――monoAI technologyではどういった事業を展開していますか?

私たちは、業界最大規模の同時接続が可能なメタバースプラットフォーム「XR CLOUD」を開発・運営しています。XR CLOUDは、パソコンやスマートフォンからどなたでも気軽にメタバース空間にアクセスすることができるメタバースプラットフォーム。XR CLOUDを使えば、バーチャルイベント、音楽ライブ、企業の社内懇親会、カンファレンスなど、メタバース空間を通して様々なイベントを開催することができます。monoAI technologyでは、目的やニーズに合わせたバーチャルイベントを、企画から運営まで一貫して行っています。

3Dモデルのアバターが会場でスクリーンを見ている画像と、3Dモデルのアバターが花火が打ちあがる夜のビル街にいる画像
XR CLOUDを用いたバーチャルイベントの様子(左:企業の社内イベント、右:バーチャル音楽フェス)

――ビジネスアイデアが生まれたきっかけは?またビジネスとしてどのように具現化しましたか?

私はもともとゲーム少年で「いつかゲームを作りたい」という想いがありました。転機となったのは19歳の時に、世界初のMMORPG※(ウルティマ オンライン™)に出会ったこと。MMORPGでは、いわゆる現代のメタバースのようにゲーム内でユーザー交流が出来ますし、ゲーム内通貨を用いて他ユーザーとの取引なども出来ました。当時はこのようなゲームは珍しかったのですが、「いずれこういったテクノロジーが、ゲーム以外の領域でも活用される時代が来る」と確信しました。

その後、monoAI Technologyの原型であるオンラインゲームの開発会社を創業。2018年頃から「そろそろ仮想世界でのビジネスが出来始めるのではないか」と考え、XR CLOUDの開発をはじめました。

※Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略。インターネットを介して数百人~数千人規模のプレイヤーが同時に参加できるオンラインゲーム。

――今後の期待や展望は?

仮想空間で学校に通ったり、仕事をしたり生活することにより、生まれた場所や国籍、ハンディキャップに関係なく、皆が活躍できる社会が実現できると考えています。そのような社会の基盤となるサービスを提供することを目指しています。

Sony Innovation Fund(SIF)が注目しているポイント

SIFはmonoAI technology株式会社に対し2022年1月に出資を行っています。monoAI technologyへの出資を担当したソニーベンチャーズ株式会社 松島 弘より、注目ポイントをご紹介します。

ソニーベンチャーズ株式会社 インベストメントダイレクター 松島 弘
注目ポイント 1.メタバース空間への同時接続数 2.豊富なクライアント 3.ゲーム開発会社としてのバックグラウンド

1.メタバース空間への同時接続数

国内でメタバースプラットフォームを展開する競合他社は何社かありますが、様々な面でmonoAI Technologyは優位性があるといえます。特に着目したのは1ノード(※)あたりの同時接続数。これまで多くの競合他社は、同時接続数が100名前後であることが一般的でしたが、monoAI Technologyは約1,000名の同時接続を実現しています。こういったネットワークの強みに注目しています。

※ネットワークに接続されているコンピュータ・ルータ・サーバーなどを指す単位。

2.豊富なクライアント

monoAI TechnologyはBtoBとBtoCの両方で様々なクライアントにサービスを提供しています。ピクシブ株式会社が主催するメタバース空間でのオンライン即売会イベント「NEOKET」や、阪急阪神ホールディングス株式会社が主催するオンライン音楽祭「JM梅田ミュージックフェス(β) 」などは、同社が手掛けています。受託開発型のビジネスを通じて、様々な開発実績やノウハウを積み重ねている点にも注目しています。

3.ゲーム開発会社としてのバックグラウンド

一般的に、ゲーム業界はメタバースを先取りしていると言われています。一方で、国内のメタバース系のスタートアップは、ゲーム業界のバックグラウンドが無いケースが多いです。monoAI Technologyはもともとゲーム開発の会社で、MMORPG開発の経験者も多く在籍しています。特にCTOの中島 謙互さんはゲーム業界でも大変著名な方で、リードエンジニアを担っています。また、同社はゲーム開発用の自社エンジンを持っており、ゲーム開発のノウハウや技術をメタバース開発にうまく転用できていることが特長の1つです。

 

連載「Sony Innovation Fund presents Remarkable Startups」では、今後も定期的にスタートアップをご紹介してまいりますので、お楽しみに!

 

※本記事の内容は2022年9月時点のものです。

Sony Acceleration Platformは、新たな価値を創造し豊かで持続可能な社会を創出することを目的に2014年にソニー社内の新規事業促進プログラムとしてスタートし、2018年10月からは社外にもサービス提供を開始。ソニーが培ってきた事業開発のノウハウや経験豊富なアクセラレーターによる伴走支援により、760件以上の支援を25業種の企業へ提供。
新規事業支援だけでなく、経営改善、事業開発、組織開発、人材開発、結合促進まで幅広い事業開発における課題解決を行ううえで、ソニーとともに課題解決に挑む「ソリューションパートナー企業」のネットワーク拡充と、それによる提供ソリューションの拡充を目指します。(※ 2024年10月末時点)

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