2024.02.15
Sony Innovation Fund presents Remarkable Startups

【特集】SIF投資先企業10社が出展!ソニーの技術交換会「STEF(Sony Technology Exchange Fair)」レポート

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は2022年8月より、革新的なテクノロジーをもつスタートアップに投資しビジネスをサポートするSony Innovation Fund(SIF)と協業し、SIFの投資先スタートアップに支援提供を開始しました。SSAPとSIFはこの協業により、有望なイノベーションを育み、豊かで持続可能な社会を創り出すことを目指しています。

SIFはソニーグループ内の技術者と連携し、ソニーが保有するグローバルネットワークを通じて、スタートアップ企業の成長と事業拡大を積極的に支援しており、こうした活動の1つに展示会等での発表機会の提供があります。2023年12月にはソニーグループ本社にて、新たな価値創造を目指すソニー社内の技術交換会「STEF(Sony Technology Exchange Fair)」が開催され、SIFの投資先スタートアップ企業10社も特別にブースを出展。今回はそのレポートをお届けします。

ソニーの新たな価値創造を目指す交換会「STEF」とは?

STEFは、各事業や研究開発組織で開発される多様なテクノロジーを互いに共有し意見を交わすことで、新たな価値創造につなげることを目的として、ソニーグループ内で毎年開催されている社内技術交換会です。例年100以上の技術テーマが発表され、1万人を超える社員が世界各地より集まる大きなイベントで、開発成果を社内に向けて広く発信したり、エンジニア同士や多様な社員と交流したりすることで知見を広げ、技術を磨く機会となっています。(※)

STEFに特別出展したSIFの投資先スタートアップ企業10社のブースの様子と、代表者コメントをそれぞれご紹介します。

STEFでのSIF投資先スタートアップ企業のブースの様子
STEFでのSIF投資先スタートアップ企業のブースの様子
SIF投資先スタートアップ企業のコメント集

株式会社aba

株式会社abaは、体温のあるテクノロジーを通じて、必要なときに必要なケアを届けるお手伝いをするケアテックカンパニーです。2023年10月30日(月)、排泄センサー「Helppad2」を発表しました。
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左から、矢田 美涼さん、営業部 小暮 泰生さん、取締役/技術開発部 谷本 和城さん
左から、矢田 美涼さん、営業部 小暮 泰生さん、取締役/技術開発部 谷本 和城さん

出展テーマ

センシング技術とAI技術を使い、便や尿の「におい」で排泄を検知する排泄センサー

コメント(出展の狙い・今後の展望など)

私達は介護用品メーカーや介護現場の方々が集まる展示会に出展したことは多々あるのですが、STEFのようにテクノロジー系の展示会には初めて出展しました。abaが開発する排泄センサー「Helppad2」は、介護業界の方々には喜ばれますが、テクノロジーの観点ではエンジニアの目にどう映るのか、さまざまなフィードバックをいただけて参考になりました。

「Helppad2」の開発にあたっては、SIFやSSAPにデザインなどのアドバイザリー支援をいただきました。Helppad2の世界観を具現化する形を提案いただき、品質保証やリスクマネジメントの点でもお世話になりました。既に北欧や東南アジアからも多数問い合わせをいただいており、今後はHelppad2のグローバル展開を考えています。そういった点でも今後ソニーグループと取り組みをご一緒できればと考えています。

株式会社elleThermo

elleThermoは東京工業大学発の発明である半導体増感型熱利用発電(STC)の社会実装、延いてはグローバルにおけるエネルギー問題解決を目的に設立されました。

左から、研究員 石原 基一さん、代表取締役 生方 祥子さん、ビジネスディレクター 金友 孝親さん、インターン 中村 祐太さん
左から、研究員 石原 基一さん、代表取締役 生方 祥子さん、ビジネスディレクター 金友 孝親さん、インターン 中村 祐太さん

出展テーマ

新しい熱エネルギー変換技術:半導体増感型熱利用発電

コメント(出展の狙い・今後の展望など)

elleThermoでは世界のエネルギー問題を解決する事業を行っており、熱エネルギーを直接電力に変える技術「半導体増感型熱利用発電(STC)」を研究しています。ソニーのデバイスの中に我々の技術を組み込めれば嬉しいですし、イメージセンサーとのコラボレーションなども期待しています。STEFでは想像以上に多くの方々とお話が出来て幅広い収穫がありました。

今後は幅広く、熱を使って事業展開したい方々を網羅する形で協業展開できればと考えています。既に多くの企業の方々と連携を進めており、最近では旭化成エレクトロニクス株式会社の昇圧 DC/DC コンバーターとelleThermoのSTCを組み合わせた実証実験の実施を発表しています。

テックタッチ株式会社

テックタッチ株式会社は「すべてのユーザーがシステムを使いこなせる世界」をミッションに掲げ、ノーコードでシステムのユーザー体験を改善できるシステム利活用支援ツール「テックタッチ」を提供しています。
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Senior Account Executive 椎名 巧さん
Senior Account Executive 椎名 巧さん

出展テーマ

「テックタッチ」 - すべてのユーザーがシステムを使いこなせる世界に

コメント(出展の狙い・今後の展望など)

私たちはシステム利活用支援ツール「テックタッチ」を提供しており、多くの企業などで導入いただいています。STEFには、ソニーグループの皆さまと、従業員向けのシステムの改善など、テックタッチを通じた接点を活用できればと思い出展させていただきました。会社や業種は問わず、社内で情報システムに携わっている方、またはマーケティングや商品企画、技術などを担当している方を中心にご興味を持っていただければと考えています。

また今後は社内でも生成AIのテクノロジー活用などにより新しい事業創出を検討中です。この文脈では、他社の方々に我々のテクノロジーに対してフィードバックをいただいたり、他社とタッグを組んで共同開発をしたりなどの展開も描いています。

株式会社TRUSTDOCK

TRUSTDOCKは、各種法規制に準拠した取引・手続きをデジタル化する際の「オンラインでの顧客確認」の課題を解決する、KYCの専門会社です。
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KYC事業部 マーケティンググループ マネージャー 林田 杏子さん
KYC事業部 マーケティンググループ マネージャー 林田 杏子さん

出展テーマ

eKYC本人確認サービス「TRUSTDOCK(トラストドック)」

コメント(出展の狙い・今後の展望など)

TRUSTDOCKのサービスは、ソニーグループ全てのカテゴリーにご提案できると考えています。特に金融・保険・通信の分野は、身分証を使った本人確認が法律で定められていますし、最近ではエンタメ、ゲーム、Web3、NFT、メタバースなどで年齢確認を実施するコンテンツが増えています。また親が子どものゲーム利用などを管理するペアレンタルコントロールのニーズも拡大しています。

STEFでは実際に金融やエンタメ系の方々ともお話できました。やはり事業を始めるにあたってオンラインでの本人確認が必要になるシーンは増えており、課題に対処する必要を感じてらっしゃる方も多いようです。何か事業を始める時には、不正取引対策、安心・安全や信頼性向上がキーワードとなります。その際はぜひ、TRUSTDOCKにお声がけいただきたいと思います。

NEW STANDARD株式会社

NEW STANDARD株式会社は、ミレニアル・Z世代のスペシャリストとして新しい価値(イミ)創造をユーザー起点でアジャイルに実現する、ブランドDXカンパニーです。
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執行役員 春原 由之介さん
執行役員 春原 由之介さん

出展テーマ

消費者のインサイトがわかるワンストップサービス「インサイト・コンパス」

コメント(出展の狙い・今後の展望など)

今回STEFでは、ミレニアルズ及びZ世代の潜在的な欲求やインサイト分析に必要なものを詰め込んだリサーチ・サービス「インサイト・コンパス」を紹介しました。製品・サービスを取り扱う企業の方々を対象に、インサイト分析のためのeラーニングコンテンツやインタビューメソッド等の提供を行っています。最近はZ世代をターゲットとしたマーケティングに苦労している企業様からご相談いただくことも多く、我々がインサイト分析をサポートすることで事業シナジーが起こることを期待しています。

また今後は、サービス提供にあたってのデータ蓄積の観点で、自社だけではカバーしきれない範囲のデータ連携も他社と行っていきたいと考えています。

株式会社pafin

pafinは金融とテック、両方で経験豊富な専門家が集まる先進的なFinTechスタートアップ企業です。

左から、システムアーキテクチャ担当 ケンレル エミリアンさん、代表取締役 共同創業者 アズムデ アミンさん、経営企画・事業開発担当 矢島 智子さん
左から、システムアーキテクチャ担当 ケンレル エミリアンさん、代表取締役 共同創業者 アズムデ アミンさん、経営企画・事業開発担当 矢島 智子さん

出展テーマ

Web3トランザクションの奥深くへ: ブロックチェーンデータ解析の力
(Web3の家計簿「defitact」、暗号資産の損益計算サービス「クリプタクト」)

コメント(出展の狙い・今後の展望など)

我々はWeb3領域で事業を展開しています。STEFでご紹介している2つのサービス、Web3の家計簿「defitact」、暗号資産の損益計算サービス「クリプタクト」はいずれもブロックチェーン上で取引をしている方向けのソリューションです。
他社との協業という意味では、今年の夏には株式会社NTT Digitalが開発するブロックチェーン・ウォレットにおいて、web3の社会実装の加速に向けた連携を発表しました。

ソニーグループではゲームやメディア、音楽、コンテンツなどWeb3と馴染みのある分野で事業を展開されているので、こういったファンに対するコミュニケーションの文脈でもご一緒できる部分があればと思っています。また、Web3というキーワードはまだまだ世の中に浸透していないと思っているので、まずはWeb3のユーザーを増やしたい、興味を持っていただきたいと考えています。

FastLabel株式会社

FastLabelは、オールインワンAIデータプラットフォームを開発・提供しています。このプラットフォームでは、AI開発に必要不可欠なデータ収集からアノテーション、自動化、運用後のチューニング(MLOps基盤構築)までを一気通貫で実行可能です。
インタビュー記事はこちら 

FastLabelの出展内容

出展テーマ

"データセントリックAI開発"を包括的にご支援

コメント(出展の狙い・今後の展望など)

私たちは最近、生成AI用のデータセットの提供を開始しており、他社と何か一緒に出来ないかと考えています。FastLabelのパーパスは、AIのインフラを創造し、日本の企業を世界レベルに押し上げること。日本を代表するメーカー等の企業と組みながら、ドローン、カメラ、自動運転、EC・小売りなどの分野を深堀っていきたいです。
既に、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社のヘルスケアサービスプラットフォーム「X.SINCE」 にデータコンサルティング・データ収集・アノテーション代行サービスを提供し、食事画像解析AIのモデル精度の向上などを実現した実績があります。もし生成AI用のデータセット等にご興味があればお声がけください。

株式会社マツリカ

株式会社マツリカは、クラウドアプリケーションの開発・提供や営業活動におけるコンサルティング業務を通じ、テクノロジーの力であらゆるワークライフを支援し、人々の生産性向上と創造性の解放を実現しています。

左から、Partner Alliance Manager 瀬戸山 大志さん、Business Development 竹中 龍聖さん
左から、Partner Alliance Manager 瀬戸山 大志さん、Business Development 竹中 龍聖さん

出展テーマ

世界最先端のセールステクノロジー「デジタルセールスルーム」を日本にローカライズしたプロダクト「DealPods」

コメント(出展の狙い・今後の展望など)

STEFでは、2023年4月にローンチしたデジタルセールスルーム「DealPods」と、CRM機能を備えた営業支援ツール「Mazrica Sales」を紹介しました。
「DealPods」は北欧や欧米を中心に流行っているビジネスツールで、複雑な商談をシンプルにする、営業と顧客が共同で使うポータルサイトです。まだ日本では浸透していないジャンルではありますが、コロナ禍でオンライン会議ツールが急激に浸透した転換点のように、大きな変化を起こすポテンシャルを秘めたツールです。
「Mazrica Sales」はCRM機能を備えた、最後発で作られた営業支援ツールです。従来のCRMツールは使いこなすために高度な知識が必要なことが多いですが、Mazrica Salesは手軽に使えるUI・UXにこだわっており、データ入力だけで活用いただけます。

デジタルセールスルームもCRMツールも、海外に比べると日本ではまだまだ浸透していないので、導入率を上げるための協業・連携を他社と組んで行っていければと考えています。

株式会社ミライロ

株式会社ミライロは、「自らの色を描ける未来、自らの路を歩める未来をデザインする」をミッションに、障害者と事業者の声から生まれたソリューションを展開しています。
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取締役副社長 民野 剛郎さん
取締役副社長 民野 剛郎さん

出展テーマ

デジタル障害者手帳 ミライロID

コメント(出展の狙い・今後の展望など)

ソニーグループの皆さまとはユニバーサルマナー検定のご活用をはじめとした、連携の事例が多数あります。一方でまだまだご一緒できる分野があると思っているので、認知度拡大の意味でもSTEFに出展しました。ミライロではデジタル障害者手帳「ミライロID」を活用してリサーチができたり、定性調査やユーザーインタビューにも対応したりしています。多くの製品・サービスのアクセシビリティ対応やインクルーシブデザイン対応に貢献できると考えています。

また今後は「障害者の雇用」という課題に対して、自社で保有するパーソナルデータを活用したマッチングサービスを検討中です。まずは自社で開発をする予定ではありますが、今後の展開次第では他社の皆さまとご一緒できればと思っています。

株式会社RevComm

株式会社RevCommは、「コミュニケーションを再発明し、人が人を想う社会を創る」という理念のもと、音声技術とAIによりコミュニケーション課題を解決する企業です。
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取締役 重城 聡美さん
取締役 重城 聡美さん

出展テーマ

MiiTel: AIによる⾳声解析機能付きクラウドIP電話サービス

コメント(出展の狙い・今後の展望など)

RevCommは、音声解析AI電話「MiiTel(ミーテル)」を提供しています。STEFには、MiiTelを幅広く知っていただく機会になればと思い出展しました。ソニーグループ内にも営業やマーケティングに携わる方が多くいらっしゃると思うので、お役にたてるケースがあると思います。
またソニーグループを含めた他社との協業という観点では、音声データをとるためのマイクなどの最適なデバイス選定というハード面の知見提供や、収集した音声データの解析結果を活用したソリューションの検討などを、ぜひ幅広く実施していきたいと考えています。

総括:STEFを振り返って
ソニーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長 波多野 和人

Sony Innovation Fund では、エレクトロニクス、エンタメ、金融など多種多様な事業グループの垣根を超えてスタートアップの支援を行えることが、他社にはない特長だと考えています。なかでもSTEFは年に一度、世界中から一万人以上のソニーのエンジニアやトップマネジメントが一斉に集まるので、スタートアップの皆さまには効率良く色々な部署に営業する場として活用していただくことはもちろんですが、ソニーのグローバル感や多様性を肌で感じ取り、新たな発見や刺激を通じて成長していく機会創出の場でもあって欲しいという思いがありました。今回のSTEFはコロナ規制もなく、当日はひっきりなしに来場者が訪れました。中にはディープに話し込む方々もいましたので、これをきっかけに多くのビジネス連携が生まれることを期待しています。

今回ご出展いただいた企業以外にも、SIFでは世界中のエキサイティングなスタートアップに投資をしています。今後は、よりダイナミックなスタートアップ連携へチャレンジし、新たな可能性を追求していきたいと考えています。
SIFの投資先や事業連携に関心がある方は、いつでもお気軽にお声がけください!

Sony Innovation Fundやスタートアップに関するお問い合わせはこちら

連載「Sony Innovation Fund presents Remarkable Startups」では定期的にスタートアップをご紹介してまいりますので、お楽しみに!

 

※本記事の内容は2024年2月時点のものです。 

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は、「あらゆる人に起業の機会を。」をコンセプトに、2014年に発足したスタートアップの創出と事業運営を支援するソニーのプログラム。ソニー社内で新規事業プログラムを立ち上げ、ゼロから新規事業を創出した経験とノウハウを活かし、2018年から社外にもサービス提供を開始。経験豊富で幅広いスキルとノウハウをもったアクセラレーターの伴走により660件以上の支援を24業種の企業へ提供。大企業ならではの事情に精通。(※ 2024年3月末時点)

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