2023.07.10
Sony Innovation Fund presents Remarkable Startups

シナモンAI|企業の成長戦略を後押しする、カスタマイズ可能なAI開発

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は2022年8月より、革新的なテクノロジーをもつスタートアップに投資しビジネスをサポートするSony Innovation Fund(SIF)と協業し、SIFの投資先スタートアップに支援提供を開始しました。SSAPとSIFはこの協業により、有望なイノベーションを育み、豊かで持続可能な社会を創り出すことを目指しています。

本連載では、SIFの国内投資先スタートアップを1社ずつご紹介します。 

シナモンAIとは?

シナモンAI 代表取締役Co-CEO 平野 未来さんに、会社のミッションや事業内容をインタビューしました。

代表取締役Co-CEO 平野 未来さん
代表取締役Co-CEO 平野 未来さん

――会社のミッションを教えてください。

株式会社シナモン(以下、シナモンAI)のパーパスは、「誰もが新しい未来を描こうと思える、創造あふれる世界を、AIと共に」です。このパーパスを実現するためのミッションとして「世界規模で起きているトランスフォーメーションのなかで志を共有する多様なパートナーとともにAIの力で大きなインパクトを共創する」を掲げています。

シナモンAIの会社ロゴ
シナモンAIの会社ロゴ

――シナモンAIではどういった事業を展開していますか?

シナモンAIの事業概要は「AIプロダクト事業、AIコンサルティング事業」です。パーパスに基づき、高度なビジネス AIソリューション実現のため、AIコンサルティングと AIプロダクトを提供しています。顧客が保有するナレッジからAI時代の新たな事業構造を創造し、飛躍的な成長を実現するパートナーとして、多数の国内大手企業への提供実績を有しています。

また、AI研究開発機能をベトナムのハノイ・ホーチミンおよび台湾に構え、高度な AI 人材を獲得・育成するエコシステムを構築し、非構造化データを幅広くカバーする技術力を蓄積しています。導入企業のご要望によってカスタム可能なAIプロダクトを提供しており、最先端AI-OCR(※1)「Flax Scanner」、自然言語処理エンジン「Aurora Clipper」、音声認識エンジン「Rossa Voice」などがあります。そのほかにも、独自の AI時代の戦略デザイン「ハーベストループ」(※2)と顧客のパーパスをつなげ、デジタルトランスフォーメーションやAI活用の推進を支援しています。

※1  AI技術を取り入れた、画像データのテキスト部分を認識し文字データに変換する光学文字認識機能(OCR)のこと
※2  競合優位性を高めるためのシナモンAIが提唱するフレームワーク
シナモンAIの特徴
シナモンAIの特徴

――ビジネスアイデアが生まれたきっかけは?またビジネスとしてどのように具現化しましたか?

私は学生時代に1社目を創業しました。そしてその会社を売却した後は、グローバルなスタートアップを創造すべくアジアを放浪。その過程でシンガポールにて、堀田(シナモンAI 共同代表)、家田(シナモンAI 執行役員)と出会い、シナモンAIを共に創業しました。

「シナモンAI」を創業したのは、私が第一子を出産したことが1つのきっかけです。ちょうどその時期に、過労による自死事件が日本で注目を集めました。私は子供の将来を想像し心を痛め「こんな働き方を次世代に残さない。働き方を根本的に革新する。」と未来を描きました。こういったきっかけもあり、AI事業に取り組むことになりました。

AI=生産性向上と考え、人のポテンシャルを最大化すべく研究開発を進め、AIエンジンを連続して市場導入し、それらを用いた高度なAIソリューションで、国内大企業のDXを牽引しています。

――今後の期待や展望は?

政府、経済界、アカデミアなど多様なステークホルダー、そしてシナモンAI自身のこれまでの活動が実を結び、日本における働き方は改善されました。シナモンAI創業時に描いた未来である「AIを活用した生産性向上」は、実現に向けて大きく前進したと思っています。一方で、昨今のAIの進化はすさまじく、我々の想像を超え始めています。

シナモンAIは、進化するAIとともに、もっと人間が人間らしく創造性の溢れる仕事に集中する未来を描いています。ちょうど昨年パーパスを、創業当時の「創造あふれる世界を、AIと共に」より、「誰もが新しい未来を描こうと思える、創造あふれる世界を、AIと共に」と書き換えました。

今後は、新しいパーパスを実現するため、業界を先導するIDP(Intelligent Document Processing)技術をコアとし、様々なパートナーのKnowledge-Centric Transformation(ナレッジを中心としたトランスフォーメーション)の実現を推進してまいります。

Sony Innovation Found(SIF)が注目しているポイント

SIFは株式会社シナモンに対し2018年5月に出資を行っています。シナモンAIへの出資を担当しているソニーベンチャーズ株式会社 富高 忠房より、注目ポイントをご紹介します。

ソニーベンチャーズ株式会社 シニアベンチャーキャピタリスト 富高 忠房
1.シリアルアントレプレナーの創業者 2.優秀なベトナム人材を活用したAI開発 3.生命保険・製造業など幅広い業界へのAI導入

1.シリアルアントレプレナーの創業者

代表取締役Co-CEOの平野さんは大学在学中に起業しSNSサービスなどを開発されたご経験をお持ちで、2011年にはその会社をmixi(ミクシィ)に売却しています。その後、堀田さん・家田さんと共にシナモンAIを創業しています。シナモンAIの創業者は実績のあるシリアルアントレプレナーで、独自の AI 時代の戦略デザイン「ハーベストループ」を提唱しています。

2.優秀なベトナム人材を活用したAI開発

シナモンAIが独自開発するAIエンジンの高い技術力を支えているのが、ベトナム出身のAI人材です。シナモンAIはベトナムにも開発拠点を持ち、現地の優秀な人材を採用しています。ベトナムの大学でITの講義を行いそこから人材を採用するなど、優秀なベトナム人材の中から更に絞り込んだトップクラスの人材がシナモンAIには多く存在しています。

3.生命保険・製造業など幅広い業界へのAI導入

シナモンAIでは、顧客のニーズにあったAI-OCR「Flax Scanner」を皮切りに、生命保険、製造業、物流業、食品製造など、幅広い業界に対してAIを展開しています。例えば製造業向けには、仕様書、図面、マニュアル、報告書などを含む技術文書の高精度なデジタル化を、生命保険業界向けには、支払・引受業務に関する業務効率化などをサポートしています。

連載「Sony Innovation Fund presents Remarkable Startup」では、今後も定期的にスタートアップをご紹介してまいりますので、お楽しみに!

※本記事の内容は2023年7月時点のものです。

Sony Acceleration Platformは、新たな価値を創造し豊かで持続可能な社会を創出することを目的に2014年にソニー社内の新規事業促進プログラムとしてスタートし、2018年10月からは社外にもサービス提供を開始。ソニーが培ってきた事業開発のノウハウや経験豊富なアクセラレーターによる伴走支援により、760件以上の支援を25業種の企業へ提供。
新規事業支援だけでなく、経営改善、事業開発、組織開発、人材開発、結合促進まで幅広い事業開発における課題解決を行ううえで、ソニーとともに課題解決に挑む「ソリューションパートナー企業」のネットワーク拡充と、それによる提供ソリューションの拡充を目指します。(※ 2024年10月末時点)

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