2023.06.30
Sony Innovation Fund presents Remarkable Startups

株式会社hokan|保険業界をアップデートする、業界特化のバーティカルSaaS

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は2022年8月より、革新的なテクノロジーをもつスタートアップに投資しビジネスをサポートするSony Innovation Fund(SIF)と協業し、SIFの投資先スタートアップに支援提供を開始しました。SSAPとSIFはこの協業により、有望なイノベーションを育み、豊かで持続可能な社会を創り出すことを目指しています。

本連載では、SIFの国内投資先スタートアップを1社ずつご紹介します。  

株式会社hokan とは?

株式会社hokan 代表取締役 小坂 直之さんに、会社のミッションや事業内容をインタビューしました。

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代表取締役 小坂 直之さん

――会社のミッションを教えてください。

hokanのミッションは「保険業界をアップデートする」です。
300年以上の歴史を持つ「保険」。その長い歴史の中でさまざまな要素が積み重なり、保険業界には非効率な業務と改善されないシステムで疲弊している方々が存在しています。そんな現状をテクノロジーの力で変えたい。hokanの原点はここにあります。
まずは保険募集人(※1)の業務を楽にし、保険の契約者や契約検討中の方に寄り添う時間を増やすことを目指します。保険代理店のみならず、保険流通のプラットフォーマーとして、誰もが正しく適切に保険商品を享受できる社会をつくっていきます。

※1  保険契約の募集を行う人のこと
株式会社hokanの会社ロゴ
株式会社hokanの会社ロゴ  

――hokanではどういった事業を展開していますか?

hokanで展開している2つの事業をご紹介します。

➀既存事業:クラウド型保険代理店システム
「適正な営業活動」と「組織の強固な監査体制」を実現するクラウド型保険代理店システム「hokan」を提供しています。システムのユーザーとなるのは主に保険代理店の方々で、これまで紙ベースで実施されていた消費者との各種コミュニケーションをhokanシステム上で完結し、コンプライアンス遵守を行いつつ工数削減を実現。適切な保険を消費者に推奨することが可能となります。

hokanのシステムはカスタマイズが可能で直感的な操作感で利用できるため、各保険代理店の業務に沿ったDXを推進できる点を評価いただいています。また私達はユーザーとのコミュニケーションを通じて保険代理店業務のニーズを把握しており、それを元に自社のエンジニアがシステムを改良し続けています。業界や業法の変化に低コストで対応できる点も大きな特徴です。このように現在は「DX推進×保険業界特化型」という2軸でユニークなポジショニングを確立しています。

クラウド型保険代理店システム「hokan」のイメージ
クラウド型保険代理店システム「hokan」のイメージ

②新規事業:FEVO(For EV Owners)
EV自動車ユーザーへの保険を契機としたライフサービスの提供などを行うFEVO(For EV Owners)事業を進めています。具体例としては、EV自動車に特化した保険の見積もりサイトが事業の1つにあります。これまでEV自動車ユーザーは、ウェブ上で保険の見積もりを入手する手段がありませんでした。こういった課題を解決しつつ、EV自動車ユーザー向けの価値提供を行うコミュニケーションプラットフォームを構築していきます。

今後、脱炭素社会に向けた日本のEV車への需要とニーズが高まることが確実視されている状況下で、hokanは新たな価値を提供するとともに社会に貢献していきます。

EV自動車に特化した保険の見積もりサイトのイメージ
EV自動車に特化した保険の見積もりサイトのイメージ

――ビジネスアイデアが生まれたきっかけは?またビジネスとしてどのように具現化しましたか?

私はhokanを立ち上げる前、自ら保険代理店を創業し経営していました。2016年には保険業法の改正があり、保険代理店に求められるコンプライアンスの水準と業務負荷が高まりました。そういった状況下で、保険営業の社員が非効率な業務に追われ、本来顧客に費やすべき時間の確保ができないという課題に直面しました。今後の新しい時代の保険代理店に最適なシステムとして、操作性と拡張性を兼ね備えた保険代理店特化型のクラウドシステムの必要性を強く感じたことが、hokanを創業することにしたきっかけです。

既存のシステムでは機能が不足していたり、改良速度が遅く業界や業法の変化に対応できていなかったり、サポート体制が万全でなかったりという点が課題でした。

――今後の期待や展望は?

2つあります。1つ目は「hokan」における機能拡充です。保険流通のプラットフォーマーとして保険代理店のペインを解消する機能を積極的に開発することで、保険が持つ真の価値を正確に消費者に届けていく支援を行いたいと考えています。最近は、主に大企業グループの従業員を対象に保険販売を実施している「企業内代理店」と呼ばれる方々への導入が加速しており、さまざまな属性のお客様にも価値発揮できるようにソリューションの幅を広げていきたいと考えています。
2つ目は新規事業の複数展開です。ライフスタイルの多様化とともに複雑化するビジネス課題の解決に向け、保険会社向けの新規事業を複数展開していくことで、保険業界のアップデートを図っていきたいと考えています。

Sony Innovation Fund(SIF)が注目しているポイント

SIFは株式会社hokanに対し2018年12月に出資を行っています。hokanへの出資を担当しているソニーベンチャーズ株式会社 北川 純と安藤 友より、注目ポイントをご紹介します。

ソニーベンチャーズ株式会社 北川 純
1.業界特化のバーティカルSaaS(※2)2.険業界への深いインサイト 3.開発・セールス・CSの厚い体制

1.業界特化のバーティカルSaaS(※2)

保険業界は巨大な市場で、さまざまな規模の事業者が参画しています。その一方で、デジタル化には大きな課題があり、この課題を解決するソリューション提供の観点では非常に可能性のある領域です。hokanはそこにいち早く目を付けて顧客基盤を築いてきました。

※2 業界・業種に特化したSaaS(Software as a Service)

2.保険業界への深いインサイト

自ら保険代理店の経営経験をお持ちの代表取締役 小坂さんのみならず、メンバーは保険会社出身の方も多く業界の実態を良くご存知です。プロダクト開発における的確な優先順位付け、マーケティング・営業からオンボーディングまで代理店へのきめ細かいサポート体制などに、メンバーの豊富な経験・ノウハウが活かされていると感じます。

3.開発・セールス・CSの厚い体制

会社の中心に開発チームがいることも注目しているポイントの1つです。CTOの横塚さんを中心に、開発チームも日々進化しています。また、セールスチームに加えカスタマーサポート(CS)の体制も整っています。ユーザーのニーズに応じて課題を適切に抽出し、それを解決する機能を実装し、顧客に届けるという一連の企業活動がそれぞれのチームの強い連帯で非常に綺麗にワークしている印象を持っています。hokanは保険業界特有の文化や体質をおさえながら、業界の次世代化の風穴を開けているテック企業です。

連載「Sony Innovation Fund presents Remarkable Startup」では、今後も定期的にスタートアップをご紹介してまいりますので、お楽しみに!

※本記事の内容は2023年6月時点のものです。

Sony Acceleration Platformは、新たな価値を創造し豊かで持続可能な社会を創出することを目的に2014年にソニー社内の新規事業促進プログラムとしてスタートし、2018年10月からは社外にもサービス提供を開始。ソニーが培ってきた事業開発のノウハウや経験豊富なアクセラレーターによる伴走支援により、760件以上の支援を25業種の企業へ提供。
新規事業支援だけでなく、経営改善、事業開発、組織開発、人材開発、結合促進まで幅広い事業開発における課題解決を行ううえで、ソニーとともに課題解決に挑む「ソリューションパートナー企業」のネットワーク拡充と、それによる提供ソリューションの拡充を目指します。(※ 2024年10月末時点)

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