Sony Startup Acceleration Program(“SSAP”)のアクセラレーターは、新規事業の立ち上げを支援し加速するマインドセットとスキルを兼ね備えたプロフェッショナル集団です。それぞれが実際の事業経験を通じて学んだ豊富で専門的な知識を持ち、様々な分野で新規案件の事業化や収益化をサポートしています。
本連載では、多数のアクセラレーターの中から各回1名ずつをピックアップしご紹介いたします。
清水 稔 Minoru Shimizu
――担当支援領域
デザイン
- 新規アイデアのコンセプト化・ビジュアル化から事業化までをデザインの観点から支援。
――担当事例
toio™、wena™などのソニー社内から生まれた事業の他、京セラ株式会社が手掛けた「Possi」やマイクロソニック株式会社が手掛けた「MAMMOECHO」のデザインマネジメント担当
アクセラレーターインタビュー
――これまでのキャリアを簡単に教えてください。
インダストリアルデザイナーとしてカメラ(サイバーショット、ハンディカム®)やスマートフォンXperia™、パーソナルコンピュータ(VAIO)など、ソニーを代表する製品のデザイン、デザインマネジメントを担当してきました。また、デザインの表現力を最大化させるCMF(COLOR:色、MATERIAL:素材、 FINISH:仕上げ)の開発も行ってきました。
現在はSSAPから生まれたwenaやtoioなどのデザインマネジメントを担当したのち、一般企業やスタートアップのデザイン面での新規事業アイデアの可視化とその商品デザインを行っています。具体的には、開発プロセス自体へのデザインの関わり方や、開発者の想い・商品の魅力をお客様にどのようにお届けするのか等、新規事業に必要なデザインのサポートを実践させていただいています。
――支援するうえで大事にしていることは何ですか?
皆さまのアイデアをお客様に一番相応しい表現で誕生させ世に送り出すサポートを、デザイン視点で行うことが私の役目です。その中で2つ大事にしていることがあります。
1つは、アイデアを素早く可視化しその妥当性を検証することです。SSAPで支援する方々のアイデアは世の中にまだ無い、新しい商品であることが多いです。つまりその製品を使うユーザーの体験も新しいものです。そのため、早い段階でアイデアをスケッチやプロトタイプで可視化し、議論と検証を繰り返すことが重要です。これが商品クオリティの向上に繋がります。
もう1つは、プロジェクトのゴールイメージの可視化です。そしてそのゴールイメージを、プロジェクトに関わるメンバー全員で共有して開発を進めることが重要です。ゴールイメージとは、お客様への提供価値やその商品がもたらす世界感のことを指します。具体的には、ゴールイメージを絵や写真、キャッチコピー等で表現することが多いです。ゴールイメージを共有できていると、開発プロセスの段階で行われる決断もゴールに沿っているか否かで判断できますし、ぶれることなくプロジェクトを進める指針になってくれます。
――SSAPの活動を通して実現したいことはありますか?
皆さまのキャリアや経験、世代、場所の制限なく、生活をよりよくする商品・サービスが誕生するお手伝いがしたいと思っています。
その為には誰もがクリエイティブな視点と発想を持つことだと思っています。まずは若い世代、特に子どもたちにクリエイティブの楽しさを体験してもらうデザインプログラムの実践を少しずつ始めています。
――オフの楽しみを教えてください。
田舎で育ちましたので野遊びが大好きで、キャンプや山登りを楽しんでいます。
最近はキャンプ道具を自作し、それを実際に使う楽しみをプラスしました。写真(左)は自作のテントとタープです。「軽量で風に強いテント&タープ」をコンセプトに、2本のポールでタープとテントを連結して部材を少なく軽量にしています。また、ゴム引きシートという伸縮性のある布を使い耐風性を持たせています。テントはポールを中心から偏心させスペース効率が良く、タープは裾が外に折れ、中にはらんだ風を上手く逃がす形状です。企画構想し、スケッチや小さな紙の模型を作りアイデアを可視化してデザイン検討を行っています。生地取りや縫い順の構想を繰り返しCAD設計(※)も行いました。後は夜なべのミシン作業で仕上げました。
他にもランタンポールや焚火台なども自作しています。成功も失敗もありますが自作アイデァを使う楽しみは格別です。
――最後に一言お願いします。
世の中に無いものを創造していくこと、言葉で語られていたアイデアを形にしていくことには「産みの苦しみ」があり大変な時もありますが、同時にチャレンジの楽しみもあります。皆さまのプロジェクトを成功に向けて、デザイン力でしっかりサポートさせていただきます。