Sony Startup Acceleration Program(“SSAP”)のアクセラレーターは、新規事業の立ち上げを支援し加速するマインドセットとスキルを兼ね備えたプロフェッショナル集団です。それぞれが実際の事業経験を通じて学んだ豊富で専門的な知識を持ち、様々な分野で新規案件の事業化や収益化をサポートしています。
本連載では、SSAPに所属する多数のアクセラレーターの中から各回1名ずつをピックアップしご紹介いたします。
泉谷 健介 Kensuke Izutani
――担当支援領域
プロデューサー
- Seed Stageでの新規アイデアの事業検証から事業化、事業運営までを事業企画の観点から支援
――担当事例
商品企画・ニーズ検証を中心とした支援を多く担当
- 大企業を多数担当
- Virtual Production、ソニー・東京大学・JAXAによる「Sony Space Entertainment Project」などソニー社内案件多数
アクセラレーターインタビュー
――これまでのキャリアを簡単に教えてください。
これまで、ソニーを含めて計4社で、ビジネス開発、マーケティング、商品企画などの仕事でキャリアを積んできました。ソニー入社前は、外資系・日系のIT企業でアライアンスマーケティング、システムコンサルやプロジェクトマネージャー等に携わっていました。ソニー入社後はドバイ駐在等を経てBtoBtoC向け空間音響商材の新規事業のビジネスオーナーとして立ち上げからEXITまで担当しました。
――支援するうえで大事にしていることは何ですか?
3つあります。
1つ目は、支援先のプロジェクトチームの方々に「必ず事業を立ち上げ、成功させる」という強い意志を持っていただくことです。その為には、確実に前進していることをメンバーに体感していただく必要があります。事業検証プロセスや事業テーマに応じて、適切な手法やフレームワークを提案し、出来る限り一緒に楽しく検証することを心がけています。
2つ目は、インタビューに時間をかけることです。インタビューの種類は「①専門家から知見を得る」「②市場からインサイトを発見する」「③ユーザ候補に事業仮説をぶつけてみる」など多岐に渡ります。「インタビューを通じて、何を得るか」の事前設計と、インタビュー結果からのビジネスコンセプトの修正が重要です。インタビューから得た率直なフィードバックでチームの心が折れかけることもありますが、チームの視野が狭くなってくるフェーズほどインタビューは重要だと思っています。
3つ目は、出来る限り「可視化」することです。情報を図やフレームに落し込むことで、現状が整理でき課題などが見えてきます。チーム内で同じイメージを共有できることも利点です。その可視化されたものがたたき台となって議論が進み、次のアクションが見えてくることが多いです。私は、自分がプロジェクトリーダーとなって事業検証をすることもあるのですが、依頼元やチームメンバーで同じイメージを共有できるよう、テーマごとに可視化して丁寧に進めることを心がけています。
――SSAPの活動を通して実現したいことはありますか?
SSAPが新規事業における「エコシステム」そのものになれると良いです。大企業、スタートアップ、学生がSSAPという基盤の中で有機的に結びついて継続的に新しい事業を生み出し続けていくイメージです。例えば、誰かが考えたアイデアを他の誰かが拾い上げて検証してみて、さらに別のアイデアを持った人が繋がって、SSAPの持つ事業化プロセスの中で事業化が進んでいくのが理想的です。アイデアを出した人も自分の知らないところで、勝手に事業に巻き込まれていくようになると面白いと思います。
研修で実施したアイデアソンで面白いアイデアが出て来ても、誰も事業化する意志がないことが多いので、そのまま研修の終了と同時にアイデアが消えていくこともあります。もったいないですね。そういったアイデアの種も、新規事業が生まれる可能性を多いに秘めているはずです。
――オフの楽しみを教えてください。
以前は、サッカーやラグビーなどのスポーツ観戦や旅行が好きだったのですが、1年半のリモートワークを通じて大きく変わりました。今は、ガーデニングにはまっています。寄せ植えをして玄関やルーフなどにディスプレイしています。家族からは「こんなおっさんが作ったとは思えないぐらい可愛いね」と好評?(笑)です。
最近は、ハーブ類も育て始めて、料理に使っています。冷凍パスタのランチに生パセリとバジルをのせて味変するのがお気に入りです。なお、シソは虫に食べられて茎しか残っていません。
実はガーデニングを始めたのは、あるプロジェクトを支援させていただいたことがきっかけでした。そのプロジェクトの「持続可能な農業を通じて環境課題解決に貢献する」というビジョンに共感し、自分も土いじりをして学びたくなった為です。とはいえ、まだ野菜に手を出していないので、今年の夏は有機栽培でトマトやきゅうりに挑戦しようと思っています。
――最後に一言お願いします。
企業の中で新規事業を立ち上げ成功させるには、自社のマネジメント層に、理解者であり、かつサポーターとなってくれる存在を見つけることが必須です。そのマネジメントには複数年に渡り、社内で戦って新規事業への投資をコミットしてもらう必要があります。新規事業を担当する側は、そのマネジメントにビジョンや事業案に共感してもらい、覚悟を促すだけの事業性とエビデンスを示す必要があります。
そのサポートをするのがSSAPの支援です。企画が通らず、諦めかけている方など、まずSSAPにご相談いただきたいと思います。