2019.11.14
アクセラレーター紹介

「いろいろな人と接し、気づき、チャレンジを繰り返す」

Sony Startup Acceleration Program(“SSAP”)のアクセラレーターは、新規事業の立ち上げを支援し加速するマインドセットとスキルを兼ね備えたプロフェッショナル集団です。それぞれが実際の事業経験を通じて学んだ豊富で専門的な知識を持ち、様々な分野で新規案件の事業化や収益化をサポートしています。

本連載では、SSAPに所属する多数のアクセラレーターの中から各回1名ずつをピックアップしご紹介いたします。

水間 浩彰 Hiroaki Mizuma

――担当支援領域

品質・コンプライアンス・カスタマーサービス

  • 品質の向上やコンプライアンスの観点から支援

――担当事例

AROMASTIC、wena™toio™などのソニー社内から生まれた事業をはじめ、京セラ株式会社が手がけたPossiや、ソニー・グローバルエデュケーションが手がけるKOOVなど、SSAPが関わる案件を品質面で全て担当

――実際に支援を受けたお客様からのコメント

「モノづくりに精一杯で、品証の考えまで設計が及んでいないところがあった時に、適切な指摘をいただけて助かりました。」
「客観的なコメントをもらえることで、問題が発生した際に安易な解決法に逃げなくなり非常にありがたいです。」

Sony Startup Acceleration Program アクセラレーター 水間浩彰

アクセラレーターインタビュー

――これまでのキャリアを簡単に教えてください。

私はデータストレージのエンジニアとして、主に光ドライブ関連の開発・設計を入社以来20年以上担当してきました。ストレージというと、商品側から見ると部品の一つでしかないわけですが、例えば皆さんが写真やデータをクラウドに上げるとき、意識していないところでHDDなどのストレージが使われていて、重要なデバイスの一つです。私が担当した光ドライブは、容量や書き込み/読み込みスピードの面で世界最高のパフォーマンスを誇り、例えば、ソニーの業務用アーカイブシステムや映像編集機などに採用され、放送業界や官公庁で広く使われています。
長くハードウェアを担当してきましたが、新しい領域でチャレンジしたいと思っていたところに、当時の品質・環境担当役員からの勧めもあり、2015年4月にSSAPへの参画を決めました。お客様へ届くBtoCの商品にはこれまで関わったことがなく、かつ難易度も高い新規事業ということで、新しいチャレンジへの期待と漠然とした不安が入り混じったような気持ちだったのを覚えています。

商品やサービスは、1つでもコンプライアンス違反があれば世の中には出せません。ソニー内には、商品カテゴリごとに「品質オフィサー」と呼ばれる品質の責任者がおり、それぞれ情報交換をしながら会社全体の商品品質を担保しているのですが、私は新規カテゴリの品質オフィサーとして、SSAPが関わるあらゆるソフトウェアやハードウェアの品質を任されています。参画当初は、BtoC領域での経験も人脈も少なく、コンスーマ製品の商品化の際に必要になるお作法(確認項目)がわからない部分もあり、大変苦労をしましたね。そこから、どんな業務も経験だと思って積極的に取り組み、短い期間にSSAPの多くの案件に携わることで、OJTでスキルを身につけていきました。いろいろなバックグラウンドやスキルレベルの人が集まるSSAPにおいて、その人が今、どういうことを求めているのかを理解し適切にサポートを行う際に、この経験はとても活きています。右も左もわからない人にでも、寄り添った支援ができるのが私の強みだと思っています。

――支援するうえで大事にしていることは何ですか?

前述の通り、1つでもコンプライアンス違反があれば商品やサービスは世の中に出せません。例えばEULA(使用許諾)の正確な記載、電波法など通信に関わる規制、安全に関する規制など、全てがクリアになっていなければ、法律違反や、火災や怪我などのお客様への不利益につながってしまいます。商品を世に出すうえで、ノウハウが乏しい新規事業の商品・サービスでは品質の確保は容易なことではありませんが、絶対に疎かにはできない部分です。まず、そのマインドをプロジェクトメンバー全員に根付かせ、品質面での妥協がないようにサポートすべく、自らも学びを続けて品質の観点から譲れない部分は厳しく指導するようにしています。加えて昨今、重要性が増しているアクセシビリティについても配慮していますね。
また商品やサービスを生み出すうえで、商品・サービスをローンチした後のロードマップやIP(知的財産)まで、長期的な視点も持ちながら品質向上に努めることも重視しているポイントです。なぜ、この商品はこの仕様なのか、次の商品はどうなっていくべきなのか、常に会話の中から気づきを与えるようにしています。
仕様や商品性、プロモーション訴求方法など、最終的な判断は各プロジェクトが行いますが、適切な判断を下すための指針を示せるようにプロジェクト管理や設計のノウハウを伝授します。その結果として、支援を受けた人たちに、この人に「支援してもらってよかった」、「ためになった」「助かった」と感じてもらえることが、私の大きなモチベーションです。

――SSAPの活動を通して実現したいことはありますか?

異なる業種へのチャレンジには、大変興味があります。異業種・他社との協業が当たり前となるように、貢献していきたいです。例えば、口に入れるものやヘルスケア、介助器具など、せっかくスタートアップをソニーがやるからには、新しい領域にどんどん踏み込んでいきたいです。
また、研究開発部門との連携を強化することで、まだビジネスにはなっていないけれど確かな技術として存在するシーズを発掘し、育て、世の中に役立つものとして形にできるように、サポートしていきたいです。

――オフの楽しみを教えてください。

月1くらいで草野球をしています。もともと、小・中学校以来野球からは遠ざかっていたのですが、子供が少年野球を始めたことをきっかけにコーチとして参加するようになりました。結局、子供が卒団したあとに、コーチをしていた仲間と草野球を始めました。やっぱり自分で体験することの方が楽しいですからね。その仲間とは、野球以外でも飲み会や旅行でよく集まります。会社とは違う地域のコミュニティでいろいろな人がいて、面白いですよ。
また、考えに詰まったり気分が落ち込んだときには、本を読みますね。一度読んだ本を、また読み返すこともしばしばです。

Sony Startup Acceleration Program アクセラレーター 水間浩彰。草野球の仲間と野球観戦。
横浜球場にて、草野球の仲間(右)と野球観戦

――最後に一言お願いします。

シーズはあるけれどどうビジネスにしていくか悩んでいるような人たちには、是非SSAPに相談に来てほしいです。スタートアップ段階ではプロジェクトメンバー個々の守備範囲を広くする必要がありますし、必ずしも、当初考えていた方向に進むとは限らないものですが、いろいろな人と接し、気づき、チャレンジを繰り返すことで、振り返れば大きな成長を感じることが出来ます。とにかくまずはやってみよう、そういうマインドでチャレンジしていただければと思います。

 

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は、「あらゆる人に起業の機会を。」をコンセプトに、2014年に発足したスタートアップの創出と事業運営を支援するソニーのプログラム。ソニー社内で新規事業プログラムを立ち上げ、ゼロから新規事業を創出した経験とノウハウを活かし、2018年から社外にもサービス提供を開始。経験豊富で幅広いスキルとノウハウをもったアクセラレーターの伴走により660件以上の支援を24業種の企業へ提供。大企業ならではの事情に精通。(※ 2024年3月末時点)

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