Sony Startup Acceleration Program(SSAP)のアクセラレーターは、新規事業の立ち上げを支援し加速するマインドセットとスキルを兼ね備えたプロフェッショナル集団です。それぞれが実際の事業経験を通じて学んだ豊富で専門的な知識を持ち、様々な分野で新規案件の事業化や収益化をサポートしています。
本連載では、SSAPに所属する多数のアクセラレーターの中から各回1名ずつをピックアップしご紹介いたします。
市川 亜紀子 Akiko Ichikawa
――担当支援領域
商品企画・マーケティング
・新規アイデアのコンセプト化・ビジュアル化から仮説構築までを企画&デザインの観点から支援
・ビジネスパートナー募集
――担当事例
主に商品企画・マーケティング領域の支援を担当
・シンクタンク、大手電機メーカー機等の大企業の他、中小企業なども担当
・ソニー社内事業部案件など多数
アクセラレーターインタビュー
――これまでのキャリアを簡単に教えてください。
ソニー入社後、放送機器の事業本部でエンジニアと、海外販社のエンジニア、そして顧客である放送局の技術部門をつなぐリエゾン業務で、技術的なサービス提供や仕様づくりに携わりました。その後、当時のソニーの新事業であったPDA※の商品企画を担当したのち、本社にて株主や投資家向けの広報IR/SR業務や、本社間接業務のサービス設計、BCPなどリスクマネジメント業務を担当しました。
SSAPに参画したのちは、SSAPから生まれた新規事業を担当、その後クラウドファンディング・ECサイトの運営とテストマーケティングの支援をしました。現在は、これまでの経験を活かして、社内外の新規事業におけるアイデアの可視化や事業仮説構築、可視化するためのクリエイティブ制作ディレクション、コミュニケーションデザインを行っています。
――支援するうえで大事にしていることは何ですか?
新規事業が抱える課題は、突き詰めると悩むポイント(本質)は似ていることが多いものの、置かれている状況やご担当者の思いは当然ながら違います。お客様のお話を伺いながら、「どんなアプローチで伴走したらいいだろうか?」と、SSAPが持っているフレームやノウハウなどを踏まえて、着手する順番や実践型演習の流れや型を戦略的に考えます。
新規事業は計画通りに進まないケースも多く、壁にぶつかっても前に進むためにはモチベーションの維持、プロジェクト責任者や担当者の思いの強さが大事になります。しかし、想いが強くなればなるほど作り手目線、自社目線になりがちなので、顧客視点に立ち返ることを意識してもらえるように心がけて対話しています。
アイデア探索からビジネスモデル・事業計画をつくる、事業化準備の「0 → 1」フェーズの伴走支援の場合、「どうすればいい?」と思考がぐるぐる回って、具体的なことを頭の中で思い描けていない状態で相談されるケースが多くあります。課題を整理して言語化、可視化することは、決まった答えなどない取り組みなので、不安や苦しさを感じるのが普通だと思います。そんなプロジェクトの皆様に寄り添いながらも、自分事化しないと新規事業は進められないので自立・自走ができるように時には厳しいアドバイスをさせていただくこともありますが、自らの時間を使って思考錯誤してもらえるようなディレクションを心がけています。
――SSAPの活動を通して実現したいことはありますか?
これまでの経験を生かして、「あらゆる人に起業の機会を」というSSAPのコンセプトの実現、社会実装に向けてのサポートができればと思っています。この2年間、芸術大学の大学院(MFA)で、「デザイン思考による創造」と「伝統・文化の探求」を両軸に、課題解決の社会実装について学びました。SSAPの知見、ノウハウを活かした実践と、アカデミックな視点でのデザイン思考の実践、そんな合わせ技を強みにして、新しい価値創造に貢献していきたいです。
――オフの楽しみを教えてください。
この2年間は仕事と大学院、二足の草鞋を履いていたので、あまりオフがありませんでしたが、ガリガリと勉強したというよりは苦楽しい時間でした。普段は、本を読んだり、映画やスポーツを観たりと、のんびり過ごすことが好きです。
昔からスポーツ観戦は好きでしたが、日本で開催されたラグビーW杯で “にわかファン”になり、一気にはまりました。スポーツ観戦はテレビで楽しむのがほとんどですが、スタジアムでの生観戦は迫力など体験価値が違いました。観戦するスポーツはなんでも好きで、昨年のWBCやバスケットボールW杯など、ユニフォームを着て楽しみました。
プロフェッショナルな技や試合展開もありますが、特に国際試合は国民性や文化に触れる機会にもなりますし、個性豊かな選手たちや試合に至るまでのストーリーなども興味深いです。スポーツを自分ですることはあまりないので、基本的に誰かを応援することが好きなのかもしれません。
――最後に一言お願いします。
SSAPの強みは、実践経験を積んだ商品企画とエンジニアとデザイナー、三位一体なった支援が提供できることだと考えています。
好奇心を持って、新しいことにチャレンジする方を応援し、対話することで私自身も成長しながら、ワクワクする、正解のない新しい何かを生みだすための切磋琢磨を皆様と出来ましたら、こんな嬉しいことはありません。アクセラレーターとして皆様とご一緒できる機会を楽しみにしております。