Sony Startup Acceleration Program(SSAP)のアクセラレーターは、新規事業の立ち上げを支援し加速するマインドセットとスキルを兼ね備えたプロフェッショナル集団です。それぞれが実際の事業経験を通じて学んだ豊富で専門的な知識を持ち、様々な分野で新規案件の事業化や収益化をサポートしています。
本連載では、SSAPに所属する多数のアクセラレーターの中から各回1名ずつをピックアップしご紹介いたします。
岩瀬 俊一郎 Shunichiro Iwase
――担当支援領域
プロトタイピング&マニュファクチャリング
- 新規アイデアの実用化・量産化をモノづくり・電気・メカ・ソフトウェアの観点から支援
――担当事例
サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社、マイクロソニック株式会社等
アクセラレーターインタビュー
――これまでのキャリアを簡単に教えてください。
新卒でソニー(現:ソニー株式会社)に入社し、VAIO(※1)やPlayStationのCPU、チップセット、グラフィックス、マイクロコントローラ等の基幹部分の電気設計を担当。システム制御や映像出力、高速インターフェースといった設計業務から、試作、量産、発売後の不良解析と様々な業務に従事しました。
その後ソニーコンピュータサイエンス研究所に異動し、ソフトウェア担当として、効率的なエネルギー利用の実現を目指す新規事業の立ち上げに携わりました。その中でソフトウェアを商品化するまでのプロセスを実行したり、自身が開発したソフトウェアをオープンソースソフトウェアとしてGitHub(※2)に公開したりと、通常の電気設計の担当者が行わないような経験もしました。
――支援するうえで大事にしていることは何ですか?
最も大事にしていることは、常にお客様と共通のイメージを持ち続けることです。支援の途中でお互いが目指すイメージがずれてしまうと、後になって大きな手戻りが発生し、お客様の信頼を失う恐れがあります。そのため、お客様に進捗を説明する際には、なるべく図やイラストを用いてできる限り理解しやすく、共通のイメージを描いて頂けるよう工夫しています。また、お客様の製品開発を加速させるスピーディーな対応も心がけています。電気設計担当のアクセラレーターとして回路設計や評価を素早く進めるのはもちろんのこと、計画当初は予定に無かった開発が必要になった場合にも、支援のスピードを落とさないことを意識しています。
――SSAPの活動を通して実現したいことはありますか?
大きく2つあります。1つ目は、数か月あればアイデアを形にできるということをより多くのお客様に体験・感動して頂くことです。そしてお客様のビジネスが軌道に乗るまで伴走し、軌道に乗った後にお客様と昔の苦労話をしながらお酒が飲めたら最高です。
2つ目はエンジニアの活躍の場をつくることです。エンジニアの中には、業務の細分化により本来の力を発揮できていない方や、経験豊富でまだまだ活躍できるにも関わらず定年退職をされてしまう方もいます。そのような方々のリソースを活用し、エンジニアには活力を、お客様にはリーズナブルで高品質なサービスを提供できるWin-Winの仕組み作りを実現したいと考えています。
――オフの楽しみを教えてください。
自分が幸せでないと他人も幸せにできないと考えているので、幸せを感じる時に分泌されるといわれている脳内物質「ドーパミン」「セロトニン」「オキシトシン」を出すような趣味を楽しんでいます。ドーパミンは成功や達成感、セロトニンは心と身体の健康、オキシトシンは人間関係や動物たちとの触れ合いなどで分泌されるそうで、これらは3大幸福物質と呼ばれているそうです。オフの日には各脳内物質の分泌量をイメージしてその時に足りない物質を分泌させるように心がけています。例えばドーパミンが足りないと感じれば、ゲームや化石発掘、ラズベリーパイ(※3)で面白い機能を実装するなどして達成感を味わいます。セロトニンが足りないと感じれば、マラソンや登山、ハイキングに出かけ、オキシトシンが足りないと感じれば、友人と飲みに行ったり愛犬と遊んだりしています。最近はよく愛犬と遊んでいるので、オキシトシンの分泌量が多くなっていると思います。
――最後に一言お願いします。
「プロトタイプ開発」と言っても、そのクオリティは会社によって様々です。費用はリーズナブルだけれども、実際にそれを使ってPoC(事業化検証)を行うと足りない機能があったり、途中で仕様が変わっていたりしたために実施したい検証ができなかったという話をよく耳にします。我々は仕様策定から試作、PoCまで伴走することができるため、お客様が実現したいビジネスに最後まで寄り添うことができます。新規事業は産みの苦しみがあると言われますが、一緒に苦しみ、そして楽しんで乗り切る自信と覚悟があります。新規事業をお考えの方は是非ご相談ください。
※本記事の内容は2022年8月時点のものです。