2023.01.30
大企業×新規事業 -Inside Stories-

【凸版印刷編 #4】新規事業の山頂に、改善型のアプローチで登りつめる

Sony Startup Acceleration Program (SSAP)によるオリジナル連載「大企業×新規事業 -Inside Stories-」は、SSAPの担当者が大企業内の新規事業組織のトップにインタビューする企画です。

今回インタビューしたのは、凸版印刷株式会社(以下、凸版印刷)。凸版印刷では、事業領域の拡大と新たな価値の創出を図るべく、福岡を拠点とする新規事業組織を2017年に設立。スタートアップ企業などの事業アイデアと凸版印刷の経営資源を融合させ新規事業を共創する、公募型のオープンイノベーションプログラムなどを実施しています。

凸版印刷株式会社 九州事業部 ビジネスイノベーション営業本部 DX推進部 部長 高 博昭(たか・ひろあき)さんが語る、福岡を拠点に新組織を立ち上げたワケと福岡ならではのメリットとは?これからの凸版印刷が注力する領域と、高さんご自身のターニングポイントとなったある事業とは?凸版印刷の新規事業組織のリアルに迫ります。

新規事業の山頂を目指す、高さんのモチベーションとは?

――高さんが考える、新規事業に取り組む醍醐味はズバリ何ですか。

「誰もやったことのない未知の領域を自ら切り開き、新たな景色を見られること」だと思っています。

新規事業の推進はよく「どうやって山に登るか?」に似ていると言われます。山登りも新規事業の推進も、大きな目標を達成したいという一心で前に進みます。新規事業では、上り方もスピードも手段も、自分で決めていくべきだと思います。どういうルートであったとしても、その頂上で景色を見られるかどうかが重要で、その景色を見る瞬間の爽快感が醍醐味なのではないでしょうか。

――未知の領域での挑戦で試行錯誤するからこそ、より景色が綺麗に見えるのかもしれませんね!これまでで一番、記憶に残っている情景は?

イスラエルのエルサレムで見た絶景かな(笑)、というのは冗談ですが、いくつも新規事業を創ってきて、景色を忘れた案件は1つも無いですし、何かしらの濃い記憶が1つひとつにあります。デジタル印刷機の事業を開始して、海外企業との調整を終えてビジネスとして回り始めた時の記憶は、大変だった分強いかもしれません。

――高さんの熱意やモチベーションは、どこから生まれているのかが気になります。

新しいことを常に探求していたい、仕事を常に楽しいと思っていたいので、僕にとってはそれがモチベーションです。
情報は常にインプットするようにしていて、最近は特に社外の知り合いやブレーンのような方々とのコミュニケーションから仕事のヒントを得ることが多いです。昔はまだ知識も情報量も少なかったので、一時期ビジネス書を大量に読み漁ったこともあります。

僕はどちらかと言うと、人からこうしなさいと言われて「はい」と答えるタイプではないです。仕事の先にゴールがあるのは良いのですが、手段やゴールへの登り方は自分で考えるから放っておいて欲しいと思いますし、その方が俄然やる気が湧きます。会社からすると異端児と思われているかもしれません(笑)。

社内の一室で、数十人の従業員がガッツポーズで並んでいる写真
co-necto2018の成果報告会の様子(一番右が高さん)

フードテックやガバメントテックは掘ると面白いはず

――今後どのような新規事業に挑戦したいですか?

凸版印刷では中期経営計画を発表しています。その計画にもある通りDX(デジタルトランスフォーメーション)・SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)領域にはあくなき挑戦をしていきたいと思います。

九州・西日本エリアのフィールドでいくと、飛び地の新規事業や破壊的イノベーションというよりは、まずは業界の課題を解決するインプルーブ(改善)型の事業に力を入れていくつもりです。その展開には、凸版印刷のアセットであるITやマーケティング、運用オペレーションなどのノウハウを活かしたいです。

――具体的に挑戦したい領域があれば、可能な範囲で教えてください!

個人的には「フードテック」「ガバメントテック」と言われる領域に挑戦したいと考えています。昨今のトレンドからも、もう少し掘ると面白いはずです。

フードテックは、SDGsやESG(※)など、企業にとって必須の領域に含まれます。牛や豚ではなくて大豆から肉を作る例なども昨今よく聞きますが、凸版印刷のキーコンセプトであるSXの面で、食の課題は大きいですしビジネスチャンスがあると思います。

ガバメントテックで挑戦したいのは、行政系の手続きの効率化。日本の手続きは特に煩雑だと言われており、行政の窓口に実際に行かなければならないことも多いです。こうした課題を解決する製品・サービスの開発に興味があります。

※環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉
机の上に野菜と顕微鏡が置かれているイメージ写真と、ノートパソコンとスマートフォンが通信しているイメージ写真
イメージ

新規事業に挑戦する人が循環する会社へ

――最後に、高さんにとって「新規事業」とは?

新規事業は僕にとって「自分と会社を成長させてくれるフィールド」。新規事業に身を置くと、自分自身が成長しなくては前に進めません。そういった意味でも、僕にはこの言い方が腑に落ちます。

新規事業というフィールド・土壌の中で生み出す個々の案件は、例えるなら苗や種のようなもの。それらにいずれ実がなるようにするためには、手塩をかけて育てる必要があります。外から大きな木を買ってきて、僕らのフィールドにポンと植えれば実がなるかと言えば、そうではない。事業を開発していくためには、失敗も経験しながら労力をかける必要があるのです。

――企業で新規事業に関わる方々に向けて「これだけは伝えたい!」ということはありますか?

僕自身もかつてはそうでしたが、多くの社会人は、会社の既存事業にアサインされ、ある程度決められた業務領域をもとに仕事をこなし、決められた路線を歩むのではないかと思います。

しかし、新規事業では自らの手足で山を登るために道を切り開いていく必要があります。傍から見ると、新規事業やDX推進などと言うと、華やかなイメージを持たれがちで「楽しそうなことをやっていますね」と言われることもありますが、実際中身はハードです。ゼロの状態から、目標を自分自身で設定して、その目標をどうクリアするか?と考えるのです。これが難しいのは確かで、もちろん失敗をすることもあるでしょう。でもその過程で得られる経験やスキルは必ずその後、役に立ちます

僕は多くの人に新規事業を経験してほしいと思っています。そして、同じ人が滞留するのではなく、ある程度人が循環してくのが理想です。そしてそれがいずれ、個々と会社の成長に繋がるのだと思います。

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凸版印刷株式会社 九州事業部 ビジネスイノベーション営業本部 DX推進部 部長 高 博昭さんに迫った今回の「大企業×新規事業 -Inside Stories-」。

インタビューのハイライトをまとめます。

新規事業に取り組む醍醐味 未知の領域を自ら切り開き、新たな景色を見られること、新規事業をマネジメントする上で大切なこと ・ビジネスの基本に沿って再現性を意識する・メンバーにエンジンとなる熱量を持ってもらう、立ちはだかる壁の乗り越え方 目に見える成果を出し、発信していく

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※本記事の内容は2023年1月時点のものです。

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は、「あらゆる人に起業の機会を。」をコンセプトに、2014年に発足したスタートアップの創出と事業運営を支援するソニーのプログラム。ソニー社内で新規事業プログラムを立ち上げ、ゼロから新規事業を創出した経験とノウハウを活かし、2018年から社外にもサービス提供を開始。経験豊富で幅広いスキルとノウハウをもったアクセラレーターの伴走により620件以上の支援を23業種の企業へ提供。大企業ならではの事情に精通。(※ 2024年1月末時点)

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