2022.04.21
大企業×新規事業 -Inside Stories-

【ソニー編 #2】たった1人、未知で複雑で壁だらけだった

Sony Startup Acceleration Program (SSAP)によるオリジナル連載「大企業×新規事業 -Inside Stories-」は、SSAPの担当者が大企業内の新規事業組織のトップにインタビューする企画です。

今回インタビューしたのは、ソニーグループ株式会社でスタートアップの創出と事業運営を支援するSSAP。
SSAPの責任者 小田島 伸至が新規事業組織の立ち上げの過程でぶつかった数々の“壁”、新規事業には意外にも関係が無かったポイントとは?これまでに19の事業を創出してきたSSAPの過去と今、そして未来に迫ります。

1人だからこそ、出来ること

――SSAPは、いつ・誰が・どのようなきっかけで作ったのですか。

SSAP(当時はSeed Acceleration Program(SAP))は2014年4月、私1人で始めました。
私は北欧で事業を立ち上げた後、ソニー本社の事業戦略部門にて、既存事業の立て直しや新しい事業の創出に携わりました。その過程で「ソニーの中に、次々に新規事業が生まれる仕組みを作りたい」と考えるように。これがSSAPを始めることになったきっかけです。

――小田島さん1人でプログラムを立ち上げたとのこと、仲間は欲しくなかったのですか? 

当初の構想では、SSAPというプログラムを“大きな事業計画”と“沢山の人員”で作ろうしていました。しかし、当時の上司から告げられたのは、「まずは1人で始めてみたら」という意外な言葉。その時私は、正直驚きました。

今振り返れば、1人で始めたことによって気付いたことが沢山あります。それはまさに、新規事業を創る上で大切なことばかり。例えば、1人で始めると時間も動ける範囲も限られているので、本当に必要なものだけが作られていきます。自分が行った仕事に再現性ができ、そのポジションに新たな人員が必要になって、初めて仲間を増やします。組織を立ち上げる際に必要な仕事は数え出したらキリがない。しかしスタートしたばかりの組織に一番必要なことは、必要最低限のものをスピーディーに効率的に形にしていくことだったのです。

2014年 社内起業のプログラム発足 国内新規事業第1号誕生、2015年 販売インフラ クラウドファンディングサービスローンチ、2016年 海外向けのプログラム発足、2017年 海外新規事業 第1号誕生 事業拡大機能追加、2018年 社外の新規事業開発支援を開始、2019年 社外向けサービス拡充
SSAPの沿革より引用

壁だらけな毎日を照らした"北極星"?

――プログラムを作る際、もしくは作った後に立ちはだかった壁はありましたか。

SSAPを作る過程でも作った後も、未知で複雑なことばかり、壁だらけでした。
一番大きかった壁は、社内・社外の関係者からのバイアスです。社内外問わず、一般的に大きな組織で働いている人は、基本的に保守的で変化を嫌う傾向にあると言われています。アイデアが面白そうで将来性があっても、リスクがあると怖がることが多いのです。しかし一方で、いざ新しいことに取り組み一度動き始めると、流れが止まらなくなり「続ける」ことに主軸を変えてしまう傾向が多いのも事実です。それは事業が上手くいかなくなって、収束すべきタイミングだったとしても、です。

そのため新規事業のプログラムをつくる過程で大切にしたことは、速やかに小さく初め、必要な際には速やかに軌道修正し、時が来たら速やかに終わらせること。これを常に意識していました。

インタビューの様子

――とにかくスピード感と柔軟性が大切なんですね。大きすぎる壁を前に心が折れそうになった時は、どうしたらよいのでしょう?

大事なことは、自分の北極星(目標)をセットし、そこに希望を持ち続け強く想うこと。そして日々、北極星に向かって少しずつ進んでいるのだという自覚を持ち続けることではないでしょうか。
どうしても簡単に越えられない壁にぶつかった時には、それを壁と捉える前に「なぜ上手くいかないのか?」と考え、答えを探し出します。解決策が見つかり最終的に上手くいけば、それは自分にとっての壁ではなくなります。

そしてもう1つポイントがあるとすると、目標が合致する人のみを組織に迎えることです。つまり、合致しない人とは一緒に組織や事業を運営しようとしないことです。それは、合致しない理由があるからです。
合致する仲間が増えた後は、目標を達成するための予算と期限を明確にした上で、ゴールに向けてとにかく沢山試します。万が一、予算が尽きたり期限を過ぎたりしても結果が出なかったのであれば、速やかにその挑戦を終わらせます。

「やる気」×「アイデア」の最大化

――新規事業の組織をマネジメントする上で絶対に外せないポイントはありますか。

新規事業には「やる気」と「アイデア」が何より大切だと思っています。そしてやる気とアイデアの掛け合わせを最大化させることです。この掛け合わせが上手く作用すると、1人でやっていたことに仲間が加わって2人になり、やがて10人になり、仲間が増えより大きなインパクトが生み出しやすくなります。

――やる気とアイデアの重要性に気付いたきっかけは?

私がソニー本社の事業戦略部門で既存事業の立て直しや新しい事業の創出に携わっていた時のこと。オフィスの会議室で黙々と作業したり、会議を繰り返したりしたのですがなかなか上手くいかず、ふと気付いたのです。自分達には見えていない現場の状況もあるし、組織内だけでは出来ないこともあると。組織に閉じず、さまざまな人が必要だったのです。
それからは「やる気」のある人の「アイデア」を集めて、そのアイデアを最大化させることを意識しました。これらが上手く掛け合わさると、事業に良い影響を与えます。

イメージ図:ソニーグループ本社ビル
イメージ:ソニーグループ本社ビル

>>次回 【ソニー編 #3】新規事業に、"年齢"も"企業の垣根"も関係ない? につづく

ソニー編 インタビュー記事・動画一覧はこちら 

※本記事の内容は2022年4月時点のものです。

あらゆる人に起業の機会を。

Sony Startup Acceleration Programはソニーが手がけるスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラムです。2014年から8年で、100件以上の事業化検証、19の事業を創出(2022年3月末時点)。それらを通じて培った経験やノウハウを生かし、アイデア出しから事業運営、販売、アライアンス・事業拡大に至るまで総合的に支援する仕組みを整備し、新規事業支援サービスとしてみなさまにご提供しています。

ランキング