Sony Startup Acceleration Program (SSAP)によるオリジナル連載「大企業×新規事業 -Inside Stories-」は、SSAPの担当者が大企業内の新規事業組織のトップにインタビューする企画です。
今回インタビューしたのは、ソニーグループ株式会社でスタートアップの創出と事業運営を支援するSSAP。
SSAPの責任者 小田島 伸至が新規事業組織の立ち上げの過程でぶつかった数々の“壁”、新規事業には意外にも関係が無かったポイントとは?これまでに19の事業を創出してきたSSAPの過去と今、そして未来に迫ります。
1人だからこそ、出来ること
――SSAPは、いつ・誰が・どのようなきっかけで作ったのですか。
SSAP(当時はSeed Acceleration Program(SAP))は2014年4月、私1人で始めました。
私は北欧で事業を立ち上げた後、ソニー本社の事業戦略部門にて、既存事業の立て直しや新しい事業の創出に携わりました。その過程で「ソニーの中に、次々に新規事業が生まれる仕組みを作りたい」と考えるように。これがSSAPを始めることになったきっかけです。
――小田島さん1人でプログラムを立ち上げたとのこと、仲間は欲しくなかったのですか?
当初の構想では、SSAPというプログラムを“大きな事業計画”と“沢山の人員”で作ろうしていました。しかし、当時の上司から告げられたのは、「まずは1人で始めてみたら」という意外な言葉。その時私は、正直驚きました。
今振り返れば、1人で始めたことによって気付いたことが沢山あります。それはまさに、新規事業を創る上で大切なことばかり。例えば、1人で始めると時間も動ける範囲も限られているので、本当に必要なものだけが作られていきます。自分が行った仕事に再現性ができ、そのポジションに新たな人員が必要になって、初めて仲間を増やします。組織を立ち上げる際に必要な仕事は数え出したらキリがない。しかしスタートしたばかりの組織に一番必要なことは、必要最低限のものをスピーディーに効率的に形にしていくことだったのです。
壁だらけな毎日を照らした"北極星"?
――プログラムを作る際、もしくは作った後に立ちはだかった壁はありましたか。
SSAPを作る過程でも作った後も、未知で複雑なことばかり、壁だらけでした。