2022.06.23
大企業×新規事業 -Inside Stories-

【JR東日本編 #4】コロナ禍の大打撃はチャンス 新規事業は僕の「青春のリベンジ」

Sony Startup Acceleration Program (SSAP)によるオリジナル連載「大企業×新規事業 -Inside Stories-」は、SSAPの担当者が大企業内の新規事業組織のトップにインタビューする企画です。

今回インタビューしたのは、JR東日本グループのCVC(Corporate Venture Capital)であるJR東日本スタートアップ株式会社(以下JR東日本スタートアップ)。ここでは、一般のスタートアップ企業のアイデアや技術とJR東日本グループの経営資源を繋ぎ、実証実験や事業化をサポートしています。

JR東日本スタートアップの代表取締役社長 柴田 裕さんが語る、会社設立の秘話やスタートアップ企業との共創に挑む理由とは?社会インフラを持つJR東日本だからこその"強み"と、その裏腹にある"苦労"とは?
これまでに92件のPoC(実証実験)を行い、そのうち41件を事業化してきたJR東日本スタートアップのリアルに迫ります。

コロナの影響で、駅から人がいなくなった

――コロナ禍で組織や事業への影響はありましたか?

新型コロナの影響は約2年前から多方面で受けています。特にJR東日本では鉄道系の事業が大打撃。コロナの影響で駅から人がいなくなりましたからね。お客様の移動が激減したことで、もろに影響を受けたわけです。それに伴い、JR東日本スタートアップを取り巻く環境も激変しました。JR東日本グループ全体が多くの領域で大幅なコストダウンを進める中で、私たちも例外ではありませんでした。

しかし、JR東日本スタートアップにとって有難かったのは、新規事業のチャレンジに対して「止めろ」と言われなかったことです。むしろ、この大変な逆境を乗り越えるためには、新たなチャレンジを急がなければならない。JR東日本として、新規事業がより一層重要なものとなったのです。

駅のホームに電車が止まっているのに人が誰もいないイメージ写真
イメージ:駅の様子

――コロナの影響もあり、JR東日本のカルチャーが少しずつ変わり始めているのですね。

JR東日本は社会インフラを持つ会社なので、どうしても"黄色い線の内側"で勝負をするしかありません。「自分たちが失敗してもOK」とは、口が裂けても言えませんし、あり得ません。JR東日本スタートアップも、"黄色い線の外側"に出るつもりは毛頭ありません。

しかし、"黄色い線の内側"は間違いなく、新しいチャレンジが受け入れられ始めています。しかも、コロナ禍によって環境は激変しました。将来の人口減少を見据えたグループ経営ビジョン「変革 2027」でしたが、そこで描いた未来が前倒しでやって来ました。変革メニューを10倍速で進めないといけません。それこそ、スタートアップ企業のような外部と連携した新規事業が重要になる。そう考えています。

スタートアップの熱量に惚れ、失った青春を取り戻す

――柴田さんにとって、ズバリ"新規事業"とは? 

僕にとって、新規事業は「青春のリベンジ」
大企業で働く人に「仕事は好きですか?」と聞くと、ウッと答えに詰まってしまう人が多い印象があります。しかし、僕が普段接しているスタートアップ企業や起業家の皆さんにとっては愚問なんですよね。彼らは仕事が好きで好きでしょうがなくて、大きな夢に向かって日々突き進んでいます。彼らの熱量たるや…、当事者意識のかたまりです。

そんなスタートアップ企業の方々を見ていると、常に「自分はどうだろう」と考えさせられます。その過程で、僕は何十年かぶりに、JR東日本に入社した当時の夢を思い出したのです。「地域創生」「地域のため、社会のためになること」がやりたくて入社したんだったな、と。
しかし、当時はそんな夢を語っていると、青臭いと言われる風潮がありました。そして社会人生活を送るにつれて、稟議を通したり、会議用の資料を綺麗に作ったり…、いつしか僕自身も「そういった作業をそつなくこなすこと」=「仕事が出来ること」だと考えるようになっていました。

左:柴田さん(一番左)と、プログラムで採択されたスタートアップ企業「株式会社ヘラルボニー」のメンバー 右:柴田さん(左から2番目)と、プログラムで採択されたスタートアップ企業「株式会社VILLAGE INC」のメンバー
左:柴田さん(一番左)と、プログラムで採択されたスタートアップ企業「株式会社ヘラルボニー」のメンバー
右:柴田さん(左から2番目)と、プログラムで採択されたスタートアップ企業「株式会社VILLAGE INC」のメンバー

――大企業の中でサラリーマンをするうちに忘れかけていた、"入社当時の夢"を思い出したのですね。

そうです。しかしスタートアップ企業の方々は、がむしゃらに日々事業化を目指して取り組んでいます。僕はシンプルに、その熱量に惚れます。彼らの夢を実現することに、僕の忘れていた夢を重ね合わせています。

スタートアップ企業の方々の夢を、僕も一緒に追い求めることで「失った青春」を今、取り戻しています。リベンジですね。

イベントのステージ壇上で講演する柴田さんの写真
JR東日本スタートアッププログラム Demo Dayにてプレゼンテーションをする柴田さん

―――企業で新規事業に関わる方々に向けて「これだけは伝えたい!」ということはありますか?

僕は今、スタートアップ企業との連携で日々各地を飛び回り、色々な事業に携わっています。
大企業で働く皆さんの中には、本当はリベンジしたくてうずうずしている方がいるのではないでしょうか?もしかすると、僕のように昔の夢を忘れかけている人もいるかもしれません。

でも、熱量を取り戻すにはまだ遅くないです。グローバル化が進み世界で日々会社が生まれ力を伸ばしていますが、残念ながらそこに日本発のスタートアップはまだ少ない。ただ、日本には大企業がしっかりと守ってきた、世界に誇れる社会インフラがあります。その社会インフラをもって大企業がスタートアップを後押しすることで、実現できる新規事業がたくさんあります。それこそ、環境とか社会課題解決とか、日本が世界をリードする事業が生まれる素地があると思います。これって、めちゃくちゃやりがいがないですか?大企業が変われば、日本の失われた数十年のリベンジもできると、私は思っています。
僕自身も、失われた数十年の青春のリベンジをやっていきます。

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JR 東日本スタートアップ 代表取締役社長 柴田さんに迫った今回の「大企業×新規事業 -Inside Stories-」。
インタビューのハイライトをまとめます。

HIGHLIGHTS 新規事業に取り組む醍醐味:「大企業」×「スタートアップ企業」で、社会インフラを活用し0→1→100を実現できる 新規事業をマネジメントする上で大切なこと:マインド「いい汗かこう!忙しいけど、苦しいけど」、心構え「黄色い線の内側でやんちゃしよう!」 立ちはだかる壁の乗り越え方:まずは成功事例を形にし、関係者に周知する

より詳しいインタビューの様子は、動画へ!

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※本記事の内容は2022年6月時点のものです。

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Sony Startup Acceleration Programはソニーが手がけるスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラムです。2014年から9年で、130件以上の事業化検証、20の事業を創出(2022年9月末時点)。それらを通じて培った経験やノウハウを生かし、アイデア出しから事業運営、販売、アライアンス・事業拡大に至るまで総合的に支援する仕組みを整備し、新規事業支援サービスとしてみなさまにご提供しています。

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