2023.06.12
大企業×新規事業 -Inside Stories-

【資生堂編 #3】顔色めざめるフィルム型サプリ、香料研究から生まれたスティック状クリーム

Sony Startup Acceleration Program (SSAP)によるオリジナル連載「大企業×新規事業 -Inside Stories-」は、SSAPの担当者が大企業内の新規事業組織のトップにインタビューする企画です。

今回インタビューしたのは、株式会社資生堂(以下、資生堂)。資生堂では研究開発拠点であるみなとみらい地区の資生堂グローバルイノベーションセンター(以下、GIC)にて、オープンイノベーションプログラム「fibona」に取り組んでいます。fibonaは資生堂の研究員と外部のさまざまな人と知の融合から新たなイノベーションを目指しています。

株式会社資生堂  fibona プロジェクトリーダー中西 裕子(なかにし・ゆうこ)さんが語る、研究所発でfibonaが立ち上がったワケ、クラウドファンディングで話題を呼んだ意外なプロダクト、資生堂が注目する新たな領域とは?資生堂のオープンイノベーション推進組織のリアルに迫ります。

 目標金額をわずか3日で達成した"食品"とは?

――fibonaから生まれたプロジェクトで、特に印象的だったものを教えてください!

最近クラウドファンディングを実施した件がちょうど2つあるのでご紹介します。

1つ目は、フィルム型サプリ「Lämmin」です。このサプリは、大事な場面の10分前に摂取することで、いきいきとした顔印象をサポートします。Lämminはクラウドファンディングを開始してわずか3日で目標金額を達成しました。

フィルム型サプリ「Lämmin」顔印象に着目したサプリ。会議などの大事な場面の10分前にパッと摂取するだけで、顔色めざめ、明るさと自信を瞬時チャージして、表情も気持ちも前向きに導きます。薄くて軽いフィルム型で、いつでもどもでもパッとひとくち、サッと溶けて使いやすいです。

資生堂が開発している化粧品や食品の素材を応用する形で、Lämminが生まれました。自社で研究開発した美容成分シベリア人参や、温感フレーバーやショウガも採用。口の中に入れた瞬間から、温かみのある味わいとパチパチする刺激を実感いただける仕掛けになっています。

Lämminの企画メンバー
Lämminの企画メンバー

瞬時にリフレッシュできる4種のスティック状クリーム

――商品が"化粧品"ではなく、サプリという"食品"である点も新しいですね!2つ目の印象的なプロジェクトは?

もう1つは、資生堂の香料研究が生んだ「リトリートスティック」です。これもクラウドファンディングを実施し、目標金額の5倍を上回る額で成功しました。

資生堂の香料研究が生んだ「リトリートスティック」仕事の合間に手軽にお使いいただく、パーソナル空間を演出するアイテム。肌に塗って、自然を感じる4つの香りがセットになっています。仕事中にも、家でのリラックスタイムにも自然の香りに満たされる、ひとときのリフレッシュ体験を楽しめます。

リトリートスティックはリップクリームのような形状をしていて、手や首などにさっと塗ることで香りが楽しめます。周囲にも香らせる香水とは違って、リトリートスティックは自分がリフレッシュするためのもの。クラウドファンディングでは自然界の香りのゆらぎに着目した4種類のスティックをセットでお届けしました。

ベース/Morning Bloom ほんのりあたかかく肌になじむ、朝の開花する花々の香り ベース/Evening Bloom ひんやりと肌になじむ、午後に開花する花々の香り プラスオン/Gentle Breeze さらさらと肌になじむ、おだやかな風でゆれる木々の香り プラスオン/Refreshing Rain しっとり肌になじむ、森に降る雨のような香り

――Lämminとリトリートスティックいずれも、クラウドファンディングを行って成功を収めたのですね。

はい、これらはfibonaの活動の1つである、アジャイルに開発し市場に導入する「SpeedyTrial」に該当します。既存の研究だとローンチまでに数年かかることが一般的ですが、そのサイクルを早め、スピーディーに開発しお客さまの反応を見ることにチャレンジしました。今後も、クラウドファンディングに参加してくださったサポーターの方々を対象に体験イベントやアンケートを実施して、商品をブラッシュアップする予定です。

不安の分だけ無限の可能性がある

――ちなみに、これらの商品に資生堂のアセットはどう活かされていますか?

Lämminには、血色や血流を良くするためのライフサイエンス的な研究知見が活かされています。加えて、Lämminの効果を検証して効果データとして表すフェーズでも、それを専門領域とする方々にサポートいただきました。

リトリートスティックには、資生堂の香りの研究知見が活かされていますし、商品をスティックの形状に仕上げる点では化粧品の処方開発のノウハウが役立ちました。またリトリートスティックは、先ほどご紹介した研究所内の製造施設で製造されています。

――新たなプロジェクトが続々と生まれているfibona。中西さんにとって、新規事業につながる研究開発やオープンイノベーションを行う醍醐味は?

やはり、自由度が高く無限の可能性にチャレンジできることでしょうか。

既存事業の商品にも、いつまでにどの市場で売り上げをいくら達成するか、という制約条件の中で考える面白さがあります。一方で新たなプロジェクトを生み出す際には、最初は未来の可能性を考える必要があるので想像も膨らませやすく、チャレンジしがいがあると思っています。自由度が高すぎて不安になることも多いですが、私はそのチャレンジを楽しんでいます。

>>次回 【資生堂編 #4】人生100年時代 「美しさの定義」のイノベーションとは?  につづく

資生堂編 インタビュー記事・動画一覧はこちら 

※本記事の内容は2023年6月時点のものです。

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は、「あらゆる人に起業の機会を。」をコンセプトに、2014年に発足したスタートアップの創出と事業運営を支援するソニーのプログラム。ソニー社内で新規事業プログラムを立ち上げ、ゼロから新規事業を創出した経験とノウハウを活かし、2018年から社外にもサービス提供を開始。経験豊富で幅広いスキルとノウハウをもったアクセラレーターの伴走により620件以上の支援を23業種の企業へ提供。大企業ならではの事情に精通。(※ 2024年1月末時点)

バックナンバー

大企業×新規事業 -Inside Stories-

ランキング