2021.06.24
Startup Switch 2021

京セラ|“VUCAの時代”、ワクワクする体験の提案を

ソニーグループ株式会社(以下ソニー)と京セラ株式会社(以下京セラ)、DIC株式会社(以下DIC)、株式会社LIXIL(以下LIXIL)は、スタートアップや起業予定の個人を対象としたコンテスト「Startup Switch 2021」を開催し、ビジネスプランの募集を行っています。

「Startup Switch 2021」は、独創的なアイデアやテクノロジーを活用して持続可能な社会創出を目指すスタートアップや起業予定の個人を対象としたコンテストです。起業家のチャレンジを応援するとともに、審査を行う4社との接点を持つことで、スタートアップにとって変化点となる機会を提供します。

今回は、Startup Switch 2021のコラボレーション企業・審査員である、京セラ株式会社 理事 研究開発本部 稲垣 正祥さんにインタビューしました。

新規事業創出に注力、他社や他大学とのオープンイノベーションも。

――稲垣さんのご担当領域は?

私は主に、研究開発本部のマネジメントのサポート、オープンイノベーションの加速による新規事業創出、フロンティア領域の開拓などを担当しています。

――京セラ内での新規事業やオープンイノベーション等の取り組みはありますか?

京セラは、社内スタートアップ制度を設けるなど、新規事業の創出に注力しています。特に、若い世代の社員に「自分たちの感性や思いをビジネスに生かせる」という可能性を感じてもらい、誰もが積極的にチャレンジする企業風土を目指しています。
また、他社や大学とのオープンイノベーションも盛んに行っています。昨年は、自動運転化やMaaSの普及に向け、新しいコックピットの世界観を提案したコンセプトカー「Moeye(モアイ)」の開発や腸内フローラに関する共同研究などを発表しました。
研究開発体制の強化にも努めており、2019年5月には、みなとみらいリサーチセンターを設立。現在は、情報通信や環境エネルギー分野における研究開発体制の強化を目的に、鹿児島国分工場内に新たに研究棟を建設中です。

コンセプトカー「Moeye(モアイ)」
コンセプトカー「Moeye(モアイ)」

Possiをはじめとした新製品の開発、「消費者が求める価値」の追求。

――SSAPとの取り組みの事例は?

先月末より一般販売を開始した、子どもの仕上げ磨き用歯ブラシ「Possi(ポッシ)」は、SSAPの社外向け案件第一号としてライオン株式会社と共同開発しました。当社の圧電セラミック素子を歯ブラシヘッドに搭載し、歯にあたったブラシから骨を通じて音が耳に伝わる仕組みです。実用性に加えて、エンタテインメント性を兼ね備えた製品で、子どもが嫌がる歯磨きを親子で楽しめる時間に変える、新たな価値を提案しています。
また、当社の「薄型軽量太陽電池モジュール」を活用した新製品の開発に関しても、昨年からSSAPに参画しています。当社は、長きわたり、太陽光発電システムを製造、販売していますが、このモジュールは、変換効率・信頼性をそのままに、大幅な薄型化、軽量化を実現しました。軽い、薄い、曲がる、という特長を活かした新製品を開発中です。

子どもの仕上げ磨き用歯ブラシ「Possi(ポッシ)」
子どもの仕上げ磨き用歯ブラシ「Possi(ポッシ)」

――Possiに加え、新製品開発でもご一緒させていただきました。SSAPと組んで良かったことは?

コンシューマー向け製品の立ち上げのスピード感、クラウドファンディングやSNSを活用したマーケティング手法を学び、吸収できたことです。Possiは、SSAPの参画から9ヶ月で開発品の発表とクラウドファンディングを実施しました。SSAPを通し、研究者たちは、スピード感をリアルに体感できたことに加え、「消費者が求める価値」を追求することの重要性を学ぶことができたと考えています。当社は、BtoBビジネスが多いこともあり、研究者が消費者の要望を直接聞く機会はそう多くありません。SSAPを通し、この部分を徹底的にトレーニングできたことは非常に有意義な経験でした。

“VUCAの時代”に、スタートアップの斬新な着眼点を期待して。

――「Startup Switch 2021」でスタートアップとの接点に期待していることは?

“VUCAの時代”と言われる今日、単に「便利」とか「楽ちん」というだけでは、あっという間にレッドオーシャンの波に飲み込まれてしまいます。スタートアップの皆さんから、新たな価値観や社会の仕組みを創出するような斬新な着眼点、思い切り尖った解決策、ワクワクする体験の提案を待っています。当社は、そんな皆さんのビジネスアイデアの事業化を支援するとともに、連携の輪を拡げ、オープンイノベーションを加速していきたいと考えています。

Startup Switch 2021の詳細はこちら

Sony Acceleration Platformは、新たな価値を創造し豊かで持続可能な社会を創出することを目的に2014年にソニー社内の新規事業促進プログラムとしてスタートし、2018年10月からは社外にもサービス提供を開始。ソニーが培ってきた事業開発のノウハウや経験豊富なアクセラレーターによる伴走支援により、760件以上の支援を25業種の企業へ提供。
新規事業支援だけでなく、経営改善、事業開発、組織開発、人材開発、結合促進まで幅広い事業開発における課題解決を行ううえで、ソニーとともに課題解決に挑む「ソリューションパートナー企業」のネットワーク拡充と、それによる提供ソリューションの拡充を目指します。(※ 2024年10月末時点)

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