2021.11.08
Startup Switch 2021

DIC賞 ハロースペース株式会社|磁石を用いた自家発電型自転車で描く、究極のクリーンモビリティ構想

「独創的なアイデアやテクノロジーを用いて、社会課題の解決を図る」を募集テーマに、ソニーグループ株式会社(以下ソニー)と京セラ株式会社(以下京セラ)、DIC株式会社(以下DIC)、株式会社LIXIL(以下LIXIL)で開催した、スタートアップや起業予定の個人を対象としたコンテスト「Startup Switch 2021」。
今回は最終審査会でDIC賞を受賞したハロースペース株式会社(※敬称略)についてご紹介致します。

 

■ ハロースペース株式会社ご紹介

ハロースペース株式会社の方々
ハロースペース株式会社の方々

―――御社の事業内容について教えてください。
弊社は新エネルギーの研究開発とデジタルコンテンツの制作事業を行っております。特に注力しているのが、超電導(※)や磁石を利用した超効率的な発電技術の開発です。磁気の回路などに工夫を凝らし、発電中の磁石の抵抗をゼロにすることで、モビリティが推進中に抵抗なく発電できる技術を確立しました。これを電動アシスト自転車や電気自動車などに組み込み、外部充電不要な自立型モビリティの社会実装に取り組んでおります。
この技術は風力発電や小規模な水力発電などのコストパフォーマンスの飛躍的な改善に応用ができますので、最近ではスマートビレッジ構想やスマート農業のIoTデバイスの電源開発などにも取り組み始めております。

※ある温度以下で電気抵抗がゼロになる現象


―――Startup Switch2021に応募されたきっかけは?また印象的だったことがあれば教えてください。
インフラに依存しない自家発電型のスマートEバイク(※)をエンジニアと構想し、熊本の地場企業、アクセラレーター、研究機関、金融機関などのサポートを得て、自家発電型のスマートEバイクのプロトタイプが完成し、いよいよ製品開発に取り組み始める段階でSSAPにご相談させて頂きました。そこでSSAPのご担当者様から、Startup Switch 2021のご案内を頂きました。我々にとっては製品開発、量産販売などは未知の領域で、大手企業のサポートを必要としておりますので、大手企業とスタートアップのコラボを目的とした今回のコンテストは絶好のチャンスだと思い応募させて頂きました。

※電動アシスト機能を搭載した自転車
磁石の力を用いた自家発電型のスマートEバイク
磁石の力を用いた自家発電型のスマートEバイク

―――今回DIC賞を受賞されましたが、実際に受賞されてみていかがですか?
世界的な一流企業に認めて頂き、とても光栄です!
起業を目指してから家族や周囲に迷惑ばかりかけてきましたが、これでようやく胸を張って今の仕事に取り組むことができます。これまでできるだけ目立たないようやってきましたが、今回の受賞を機にスマートEバイクを積極的に世界に打ち出していこうと思っています。


―――今後の期待と展望は?
スマートEバイクの製品化にあたって、環境配慮としてリサイクル素材を利用したいと考えております。DIC様はリサイクルプラスチックなども取り扱っていらっしゃるので、是非お力を貸して頂きたいです。
また最近では、インド工科大学と連携しシェアサイクル向けに無人運転機能を実装した自立型スマートEバイクの開発にも取り組み始めました。これが完成すれば、どこに乗り捨ててもステーションに自動で戻っていきます。もちろん自家発電機能も搭載しますのでMaaS(※)やシェアサイクルにとって最適な究極のクリーンモビリティが完成します。

2022年1月には、ラスベガスで開催される世界最大の電子機器見本市「CES2022」にてJETRO様の推薦を得て、J-Startup/JAPANパビリオンでスマートEバイクを出展することが決定しました。この機会を最大限に活かして、クラウドファンディングでスマートEバイクのプリセールスを実施したいと思っています。
さらにその先には、自立式の超電導自動車や超電導発電機、太陽光電池や全個体リチウムイオン電池の高度化、非燃焼系の航空推進システム、超音速推進システムなどの社会実装を目指しております。最終的には、惑星間旅行を可能とする非燃焼系の半永久的な宇宙推進システムを開発し、宇宙社会の開拓に貢献したいと望んでおります。

※複数の交通手段のサービスをひとつのサービスとして結び付けること。人々の移動を大きく変える概念
最終審査会での授賞式の様子
最終審査会での授賞式の様子

■ 審査員コメント

DIC株式会社 新事業統括本部 事業企画部長 小寺 真介さん
「受賞おめでとうございます。自転車は環境にも健康にも良く、さらにシェアサイクルは資源を大事にするにも関わらず、なかなかビジネスとして成立していない現状があります。しかしハロースペース株式会社様が取り組む自家発電型自転車は、永久磁石でアシストしながら発電を行いシェアリングし、その電力を使って誰かが充電できるようになります。コストの部分が課題だと思いますが、ぜひ応援したいです。
色々なアイデアが詰まっているので、まだまだビジネスモデルの考え甲斐がある非常に面白いプランですし、アイデアを実現するための技術も持たれているということで選ばせて頂きました。」

 

Sony Acceleration Platformは、新たな価値を創造し豊かで持続可能な社会を創出することを目的に2014年にソニー社内の新規事業促進プログラムとしてスタートし、2018年10月からは社外にもサービス提供を開始。ソニーが培ってきた事業開発のノウハウや経験豊富なアクセラレーターによる伴走支援により、760件以上の支援を25業種の企業へ提供。
新規事業支援だけでなく、経営改善、事業開発、組織開発、人材開発、結合促進まで幅広い事業開発における課題解決を行ううえで、ソニーとともに課題解決に挑む「ソリューションパートナー企業」のネットワーク拡充と、それによる提供ソリューションの拡充を目指します。(※ 2024年10月末時点)

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