2020.11.26

「薄型軽量太陽電池モジュール」とは?技術紹介インタビュー|技術シーズアイデアコンテスト

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は、企業が保有する技術の新たな用途探索を支援する「技術の使い方を考えよう!技術シーズアイデアコンテスト」を実施します。
本コンテストは、企業で開発された優良な技術を社会に広く公開することで、オープンイノベーションを促進し、技術の新たな用途を発掘することを目的としており、今回は京セラ株式会社(以下京セラ)が保有する技術「薄型軽量太陽電池モジュール」をテーマに、用途アイデアを募集します。

本記事では、「薄型軽量太陽電池モジュール」とはどのような技術か、技術の特徴やアイデアのヒント等を、京セラ株式会社 研究開発本部 エネルギーシステム研究開発部の松岡 遼さん(写真左)と鈴木 勇輝さん(写真右)にインタビューしました。

【経緯】オープンにアイデアを募る理由

――まずお二人の「薄型軽量太陽電池モジュール」プロジェクトでの役割は?

松岡:京セラの研究開発本部エネルギーシステム研究開発部にて、現在はプロジェクトリーダーとして当技術を担当しています。

松岡 遼さん 京セラ株式会社 研究開発本部 エネルギーシステム研究開発部(2020年2月撮影)

鈴木:私も松岡さんと同じ所属で、プロジェクトでは事業戦略を担当しています。

――今回、SSAPにて「技術シーズアイデアコンテスト」を行うことになった経緯や目的をお教えください。

松岡:今回、「薄型軽量太陽電池モジュール」の新しい用途を開拓しようとした目的の一つに「社外の意見を聞く、新しい視点を取り入れる」ことがあります。京セラは、45年以上にわたり太陽電池を研究開発してきていますが、それゆえに発想が凝り固まってしまうことが課題でもありました。
そのため、今回このようにアイデアコンテストを行うことで、広く新しい視点を取り入れたいと考えております。
当初は、社内外の様々な方とディスカッションすることで技術の新しい用途を模索することを検討していたのですが、「ディスカッションよりアイデアコンテストの方が当初の目的を達成できるのでは」とSSAPの方々から提案をいただき、このコンテストを実施することになりました。

京セラのプロジェクトメンバーとSSAPによるディスカッションの様子(2020年2月撮影)

【技術概要】京セラが開発する「薄型軽量太陽電池モジュール」とは?

――今回、用途アイデアを募集する技術はどのようなものですか。

鈴木:「薄型軽量太陽電池モジュール」です。弊社従来品と同等の出力、耐久性のまま重量1/4以下、薄さ1/10以下と、大幅な薄型化・軽量化を実現し、製品を曲げることも可能です。「薄型軽量太陽電池モジュール」は、新たな価値を提供する、これまでに無い太陽電池です。

――太陽電池は一般的に、どのような用途で使われていますか。

鈴木:一般家庭、公共施設の電力源やメガソーラーと言われる太陽電池発電所として使われています。また、街灯等の独立電源としても使われています。昨今では非常時やアウトドアレジャーでの電源としても注目されています。

鈴木 勇輝 さん 京セラ株式会社 研究開発本部 エネルギーシステム研究開発部(2020年2月撮影)

――「薄型軽量太陽電池モジュール」技術が発明された背景は?

松岡:工場の屋根や公共施設や建物の壁面に太陽電池が使用される際に、よく課題となっていたのが「設置先の重量制限や形状の制限に耐え得る製品が無い」ということ。軽量で、かつ曲がる太陽電池を実現しようとすると、どうしても耐久性に問題が生じてしまうのです。
そこで我々が、“設置場所の制約を受けにくい”上に、“⻑期信頼性が確保できる”という両者を実現する太陽電池「薄型軽量太陽電池モジュール」を開発しました。

【技術特徴】3つのポイントと他製品との違い

――京セラで開発した「薄型軽量太陽電池モジュール」の特徴は?

鈴木:ポイントは大きく3つあります。

  1. 軽量/薄型
    設置厚み:1/10以下 (フレーム以外では約1/3)
    重量:1/4以下
    ・耐荷重などの制約で設置困難な場所へ設置可能
    設置場所例
    ・倉庫/工場屋根/ビル壁面/庇/アーケード
    ・移動体/看板(デジタルサイネージ)
    ・自販機/電灯
  2. フレキシブル
    ・曲面設置可能
  3. 高出力/高信頼性
    ・透光性の⾼いカバー材料+結晶Si太陽電池の組み合わせで従来の太陽電池モジュール同等の⾼出⼒
    ・耐湿性、耐荷重、UV耐性など、従来の汎用タイプ太陽電池モジュールと同等クラスの耐久性

――他の製品と比較すると、どのような特徴がありますか?

松岡:現在主に使用されている太陽電池パネル(※1)は、結晶シリコン(Si)太陽電池セル(※2)を保護するために、ガラスを用いていました。そのため、どうしても太陽電池の重量が重くなり、設置できる場所が制限されていました。また、軽量で薄型の太陽電池としては、アモルファスシリコン(※3)を採用した太陽電池がありますが、性能が低く長期信頼性に課題がありました。
我々が開発した太陽電池は、特殊な部材を用いることで、この課題をクリアし、今までのSi太陽電池の性能を維持しつつ、長期信頼性を確保しました。アモルファスシリコンの太陽電池ほどではないですが、2次元、3次元の加工も可能となっております。

※図中に記載の数値は、試作中の参考データです。用途、設計により変更になる可能性があります。
※1:太陽光で発電するパネルで、ここではカバーガラス、封止材、保護フィルム、太陽電池セル、フレームなどから構成される。
※2:光エネルギーを電気エネルギーに変換する。主材料としてシリコンが使われている。
※3:ケイ素を主体とする非晶質半導体である。結晶シリコンと比較して薄膜の太陽電池が製作可能であり、製膜が容易などの特徴を持つ。

【アイデアのヒント】特徴を生かした用途事例・応募者へのメッセージ

――アイデアコンテスト応募者へのヒントとして、技術の用途の例として提示するならばどのようなものがありますか。

鈴木:開発した太陽電池の“軽い”、“薄い”、“曲がる” 特徴を活かして、今まで利用することが困難だった場所で利用できたら面白いと考えています。たとえば、室内のブラインドやビニールハウスで太陽電池を利用するとか。デザイン性が認められるのであれば、歴史的建造物につけて電気代の削減に貢献したいですね。
他社も始めていますが、自動車などのモビリティ分野への展開も考えています。太陽電池自体は、光の波長によって性能が変わりますので、自由に持ち運べる特徴を活かして、今までの発電した電気を充電するだけではない新しい太陽電池の使い方もできるのではないかと考えています。

――アイデアコンテストに応募される方に向けたメッセージがあればお願いいたします。

松岡:今回、太陽電池の新しい使い方でアイデアコンテストを実施します。太陽電池は、屋根置きや大規模発電所向けに、大きな面積の箇所に設置する用途で広まり、大きく重いものでした。一方、薄型軽量太陽電池は、「いつでも、どこでも、だれでも」のコンセプトのもとに、薄い、軽いという特性を利用し、持ち運べるものに対するマッチングを検討しております。
また、太陽電池の特徴である「光が当たると電気信号に変わる」特徴を生かした新しい使い方も検討しております。そのような今までにない太陽電池の使い方につながる新しいアイデアお待ちしております。

鈴木:今回開発した薄型軽量太陽電池の“軽い”、“薄い”、“曲がる” という特徴を生かし、今まで太陽電池が使われていなかった場所やもので使えないかと考えております。また、従来品よりは、サイズ自由度が高いことも特徴です。このような特徴を生かし、デザイン的にも、エネルギー的にも課題を解決できるアイデアお待ちしております。

>>技術シーズアイデアコンテストへの応募はこちらから

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Sony Startup Acceleration Programはソニーが手がけるスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラムです。2014年から6年間で、60件以上の事業化検証、16の事業を創出(2020年12月1日時点)。それらを通じて培った経験やノウハウを生かし、アイデア出しから事業運営、販売、アライアンス・事業拡大に至るまで総合的に支援する仕組みを整備し、スタートアップ支援サービスとしてみなさまにご提供しています。

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