2021.11.01
Startup Switch 2021

京セラ賞 株式会社マリス creative design|障がい者と健常者の言葉の垣根さえもなくなる社会を目指して

「独創的なアイデアやテクノロジーを用いて、社会課題の解決を図る」を募集テーマに、ソニーグループ株式会社(以下ソニー)と京セラ株式会社(以下京セラ)、DIC株式会社(以下DIC)、株式会社LIXIL(以下LIXIL)で開催した、スタートアップや起業予定の個人を対象としたコンテスト「Startup Switch 2021」。
今回は最終審査会で京セラ賞を受賞した株式会社マリス creative design(※敬称略)についてご紹介致します。

 

■ 株式会社マリス creative designご紹介

株式会社マリス creative designのみなさんの写真
株式会社マリス creative designのみなさん

―――御社の事業内容について教えてください。
「障がい者と健常者の言葉の垣根さえもなくなる社会の創造」をビジョンに、①福祉用具・機器、介護用品のレンタルと販売業、②設計コンサルタント・アドバイザー業を行います。
①では福岡県北九州市にて開発・実証を進めている視覚障がい者のための歩行アシスト機器「seeker」が、旭化成グループアクセラレーションプログラム「LIFE CO-LAB.(ライフコラボ)」にて優秀賞を獲得するなど、今後の事業化に向け大きな期待を集めています。
②では高品質な製品化サポート業務を行っております。大手しか知らない高品質な製品化・量産化までの道のりを設計段階からサポートします。サポート体制として、日立製作所やソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社(現:ソニー株式会社)などの大手で量産までの製品開発を多数経験したメンバーが在籍しています。弊社と一緒に最短の工数で高品質な製品化が実現できます。

歩行アシスト機器「seeker」を用いた、駅ホーム転落事故を防ぐための実証実験の写真
歩行アシスト機器「seeker」を用いた、駅ホーム転落事故を防ぐための実証実験

―――Startup Switch2021に応募されたきっかけは?また印象的だったことがあれば教えてください。
「seeker」の開発をより進めたり認知を進めたりするためにソニー様が進めるStartup Swich2021に応募したいと考えました。やはりソニー様が開催するということで世間の注目度も高いコンテストです。そのような場に応募させていただくことは大変名誉なことであると考えました。そして私が育った場所でもありますので、そのような会社様と一緒に事業が進められればこれ以上の幸せはないと思った次第です。
応募で大変だったのは、他のプログラムではない「フリーハンドシート」「ビジネスモデルキャンバス」がある点でしょうか。ただ、私はソニー在籍中に記載したことがあったので、懐かしくもあり、楽しく記載させていただきました。審査の中では、視覚障がい者向けという身近ではない事業に非常に真摯に聞き入っていただいて大変ありがたかったです。


―――今回京セラ賞を受賞されましたが、実際に受賞されてみていかがですか?
正直に言うと障がい者向けの自立機器というのは日本で理解されにくいです。すごいですねと言われることは多いですが、本当に理解している日本人は少ないです。それは日本では障がい者が外に出かけることが少なく、みなさんが身近に感じていないからです。京セラ様は実際に視覚障がい者向け機器の研究をされているため身近に感じていらっしゃると思い、そのような会社様の賞をいただけたことが何より嬉しく感じております。


―――今後の期待と展望は?
今後は「seeker」をたくさんの人に使っていただけるように、高齢者向けと健常者向けもブラッシュアップしていく予定です。そのため確実に視覚障がい者向けの機能を構築していきたいと考えています。そのためには、設計を進めると共に実証実験を行っていくことが重要です。拠点である北九州市以外でも駅ホーム、歩行者用信号機のある場所など様々な場所で実証実験を進めていきたいと考えております。
特に駅ホームは鉄道事業者の協力が不可欠なため、なかなか進めることが難しい部分がありますが、これにはより視覚障がい者の現状や危機を理解していただくしかないと考えております。なかなか理解されにくいですが、確実に視覚障がい者の命が毎年奪われています。この現実を理解していってもらうことが重要だと考えております。そして、その現状を憂いて協力してくれる鉄道事業者が出てくることを切に願っております。この実証実験を進めることで視覚障がい者向けの機能の精度を上げていきたいです。加えて上述した高齢者向けを構築するために高齢者施設などでヒアリングを始めております。協力会社と共にここも並行して急いで進めていきます。

最終審査会での授賞式の様子
最終審査会での授賞式の様子

■ 審査員コメント

京セラ株式会社 理事 研究開発本部 稲垣 正祥さん
「8組の素晴らしいアイデアの中でも、株式会社マリス creative design様の「seeker」は社会的意義が大きく、応援すべきテーマだと考えました。これまで、テクノロジーやビジネスの視線は、健常者を前提に生産性や利便性の向上に向きがちでしたが、人にはそれぞれ違いや個性があり、健常者か障がい者か?という明確な境界はありません。多様性を尊重し、ジェンダーや年齢、障がいの有無などを超えて、誰もが人間らしい生活のできる社会の実現に期待したいと思います。」

 

Sony Acceleration Platformは、新たな価値を創造し豊かで持続可能な社会を創出することを目的に2014年にソニー社内の新規事業促進プログラムとしてスタートし、2018年10月からは社外にもサービス提供を開始。ソニーが培ってきた事業開発のノウハウや経験豊富なアクセラレーターによる伴走支援により、760件以上の支援を25業種の企業へ提供。
新規事業支援だけでなく、経営改善、事業開発、組織開発、人材開発、結合促進まで幅広い事業開発における課題解決を行ううえで、ソニーとともに課題解決に挑む「ソリューションパートナー企業」のネットワーク拡充と、それによる提供ソリューションの拡充を目指します。(※ 2024年10月末時点)

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