「独創的なアイデアやテクノロジーを用いて、社会課題の解決を図る」を募集テーマに、ソニーグループ株式会社(以下ソニー)と京セラ株式会社(以下京セラ)、DIC株式会社(以下DIC)、株式会社LIXIL(以下LIXIL)で開催した、スタートアップや起業予定の個人を対象としたコンテスト「Startup Switch 2021」。
今回は最終審査会でソニー賞 準グランプリを受賞したFastLabel株式会社(※敬称略)についてご紹介致します。
■ FastLabel株式会社ご紹介
―――御社の事業内容について教えてください。
当社は「AI開発を10倍速くする」をミッションに掲げ2020年1月に創業。AI開発の領域において、AIに学習させるための教師データの作成、分析、管理の効率化および精度向上を実現するアノテーション(※)プラットフォーム「FastLabel」を開発・提供しています。
これまでに開発したα・β版は既に、建設、不動産、保育、製薬など幅広い業種に貢献し、高品質アノテーションで設計士の業務時間を1/4にするなどの成果を実現しております。また、2021年2月に資金調達を完了し、2021年10月26日には正式版のリリースを致しました。
今回の正式リリースに伴い、かねてよりご要望の多かったアノテーションツールの一部機能を無料提供します。
「FastLabel」を導入すると、新たなツールやソフトウェアをインストールする必要なく、お手持ちのパソコンのブラウザ上(Chrome)でアノテーション作業やレビュー、データ管理が可能になります。
―――Startup Switch2021に応募されたきっかけは?また印象的だったことがあれば教えてください。
きっかけに関してですが、元々エンジニア2名で創業したこともありまして、事業開発系が弱いと常々感じておりました。そのため積極的に事業支援をいただけるようなアクセラレーションプログラムを探しておりました。今回、技術系の会社かつ新規事業開発を多く推進されているソニー様のプログラムが非常に魅力的だったので応募しました。
印象的だったことは最終審査で小田島さんより現実的な事業でこれから絶対に必要となるというフィードバックいただき、益々この事業への自信を持つことができたことです。
また、「営業面で苦労しそうだが、そこを乗り越える熱意が伝わった」というお言葉をいただき、事業のみでなくそういった面でも評価いただけたことが非常に嬉しかったです。
―――今回ソニー賞 準グランプリを受賞されましたが、実際に受賞されてみていかがですか?
非常に魅力的な事業を展開されているファイナリストが多い中、弊社を準グランプリに選んで頂き非常に光栄です。グランプリを獲れなかったことは非常に悔しいですが、この悔しさ、そして頂いたフィードバックをもとにさらに事業をブラッシュアップしてまいります。
―――今後の期待と展望は?
事業支援のところで、現在注力している教師データ作成サービスをどうやってグロースさせていくか、次のファイナンスに向けての事業計画なども合わせて支援を期待しております。またソニーグループ内でもさまざまなAIの取り組みをされているかと思いますので、ぜひ我々で支援できることがないかニーズの調査や実際のサービス提供までできると理想です。さらに技術的なところもソニーコンピューターサイエンス研究所様などがAI研究をされているので、教師データ作成に利用する各種AI技術など何か一緒にR&Dができると嬉しいです。
弊社の今後の展望といたしましては、AI開発プロセス全体を支援する開発プラットフォームへ進化させていきたいと考えています。現在は教師データの作成を効率化するための技術を開発しておりますが、今後、不足データを人工的に作成する技術、少ないデータで素早く精度をあげられるアクティブラーニングの機能などを開発して、AI開発を高速化するプラットフォームにしてまいります。
■ 審査員コメント
ソニーグループ株式会社 Sony Startup Acceleration Program責任者 小田島 伸至
「この度は多くのスタートアップや起業予定の皆様にご参加頂きありがとうございました。着眼点はどれも素晴らしく社会的価値も高いものばかりでした。その中で数件選ばないといけないのは非常に難しかったですが、今日時点、比較的ニーズとソリューションがリアリスティックな提案を選ばせて頂きました。
FastLabel株式会社様の教師データに課題ありという着眼点は素晴らしく、解決されたら社会は大きく前進すると思います。実際の普及には営業活動が重要かと思いましたが、その馬力と熱意をお持ちなのがピッチからよく伺えました。是非、実現させ普及させて頂きたいと思います。」