2020.02.06
東大とソニーの社会連携講座

#09 学生の振り返りインタビュー

Sony Startup Acceleration Program(以下SSAP)は、2019年度に東京大学と社会連携講座を開講しました。企業と大学・学生が連携し、スタートアップを創出する「産学協創エコシステム」の発展を目指しています。本講座では、年1回のニーズ検証結果をピッチするイベント「オーディション」を軸に、「トレーニング」、「ワークショップ」等が行われています。

今回は、スタートアップ・アイデアのオーディション最終審査でGOLD AWARDに選ばれたチームの学生4名に、社会連携講座を振り返って学んだこと、苦労したこと、今後の展望等をインタビューしました。

「大学の講義」の中でスタートアップに挑戦。自分たちで0から形にすること。

――講座に応募したきっかけは?

写真左:北島 薫さん 東京大学大学院修士1年 、写真中央:佐藤 裕実子さん 東京大学大学院修士1年、写真右:眞鍋 美祈さん 東京大学大学院修士1年
写真左:北島 薫さん 東京大学大学院修士1年 、写真中央:佐藤 裕実子さん 東京大学大学院修士1年、写真右:眞鍋 美祈さん 東京大学大学院修士1年

佐藤:2019年4月にあった社会連携講座のオリエンテーションで聞いた、今回の講座のプロデューサーの1人でもあるSSAPの杉上さんご本人の新規事業の立ち上げの話がきっかけです。事業経験がある人からビジネスを学べるということが、スタートアップにチャレンジしてみたいと思っていた私にとって魅力的でした。

北島:「大学の講義内で新規事業の創出に挑戦できる」という点が気になり応募しました。面白そうなことをやって単位が貰えるなら、という単純な動機です。

藤林:私と眞鍋さんは、元々知り合いだった北島さんから声を掛けてもらい、6月のオーディション一次審査後から参加しました。今回のスタートアップ・アイデアのオーディションはチームメンバーに1人トレーニング受講者がいれば良いというルールだったため、私達はトレーニングの受講はしていませんでしたが、途中から今回の講座に参加することになりました。

――元々スタートアップ等の活動には興味がありましたか?

眞鍋:スタートアップ的な活動はやったことがなかったですが、私はモノを作るのが好きなので、大学の中にあるスペース「本郷テックガレージ」を利用して、過去に何度かモノづくりをした経験があります。メディアアート系で香りのデバイスを作ったり、音声認識のシステムを構築したりしていました。

北島:学部生の頃にインターンでスタートアップに関わったことはありましたが、「0からアイデアを創出する」ところから携わった経験はありませんでした。

佐藤:私は周囲の友人でスタートアップに関わっている人が多く元々興味があり、実践的に自分も学んでみたいという想いが強かったです。

藤林:私は現在進行形でロボット系のベンチャーで働いていたり、大学内ベンチャーに携わったり等、様々な形でスタートアップには関わっており、今回の講座にも非常に興味がありました。

藤林 駿佑さん 東京大学大学院修士1年
藤林 駿佑さん 東京大学大学院修士1年

――チームはどのように組みましたか?またそれぞれの役割は?

北島:このプロジェクトの基盤となるアイデアが生まれたのは、元々知り合いだった眞鍋さんと藤林さんと飲みながらアイディエーションした時のことでした。その時に出てきたアイデアのコンセプトが秀逸で絶対にニーズもあると確信できたので、そこでチームを組むことを決めました。一次審査が終わった後にチームを編成し直すタイミングがあり、そこで佐藤さんがチームに加わってくれました。

佐藤:北島さんがリーダー兼エンジニアリング、藤林さんがマーケティングやデザイン、眞鍋さんと私で顧客調査やプロトタイプ開発などを行いました。

藤林:役割は一応ありましたが、それぞれのフェーズで全員が知恵を出し合って形にしていったイメージです。今回の私たちのアイデアは、チームメンバーそれぞれの体験や悩みに基づくものでした。それぞれが独自の角度で、プロジェクトに対して強い想いを持っていましたね。

初めての顧客インタビュー、繰り返しのプロトタイピング。支えになったのは「プロデューサー」の存在。

――講座では具体的にどのようなトレーニングを受けたり、フィールドワークを行ったりしましたか?

北島 薫さん
北島 薫さん

北島:ニーズ検証の手法等を学ぶ「トレーニング」を軸に、自分達で実際にプロトタイピングやインタビューを進めました。

眞鍋:顧客インタビューを15回、プロトタイピングは5回行いました。私達のチームのアイデアは女性の靴(ハイヒール)に関するものだったのですが、顧客インタビューはメンバーで手分けして、百貨店の婦人靴売り場の販売員さんに話を聞いたり、靴の会社の経営者に話を聞いたりしました。

佐藤:本当に沢山インタビューしましたよね。顧客インタビューを進めるにあたって、トレーニングでコーチングをしてくれたメンターさんのネットワークが驚くほど広く、私達のプロジェクトの加速に役立ちました。多くの有識者や顧客ターゲットに近い方々を紹介してもらえました。

藤林:私は男なのでもちろんハイヒールを履いたことが無かったのですが、まずは自分自身が顧客体験をすることも必要だということで、実際にハイヒールを履いてみたりもしました。自身が体験することで新たな視点を持てるようになり、このプロジェクトを始めてからは街中を歩く人の靴や足元をよく観察するようになりました。

――当初、社会連携講座に期待していたことは?逆に不安に思っていたことは?

北島:期待していたことは、プロジェクトチームにプロデューサーがついて、新規事業を実際に立ち上げた経験のある人のサポートももらえるという点。一方で、この講座の初年度の受講生となるので、どこまでレールが引かれているのかという点には若干の不安はありました(笑)。

佐藤:私はこれまでずっと部活に所属していたこともあり、今回の社会連携講座のような、実践的でまとまった時間が必要になる活動はやったことがありませんでした。講座の受講は、自分が最後までやりきれるか、という点は不安でしたね。しかし実際に一次審査の後チームメンバーとプロジェクトが決まってからは、そんな不安は一切なくなりました。

藤林:私は、個々のキャラクターが濃いこのメンバーで、うまく最終審査までやっていけるのかを心配していました。結果、このメンバーだったからこそ作り上げられたプロジェクトになったとは思います。

眞鍋:アイデアを出しモノの形を作った経験はありましたが、ビジネス視点で考え手を動かすということは行ったことがありませんでした。メンターからコーチングを受けるのも初めて。アイデアやコンセプトの面白さの追求と、ビジネス視点での実現性の追及、どちらに軸足を置いたらよいのかということは、講座が始まる前に少し不安でしたね。

チームメンバーで衝突したことも。学生の「今」経験できたことは、きっと今後の糧になる。

――講座の半年間で苦労したことは?また学びになったことは?

藤林:私は改めて「チームでプロジェクトを進めることの難しさ」を実感したと共に、逆に「チームだからこそ実現できること」も発見しました。メンバーそれぞれの想いが強かったゆえに考え方の違いで衝突したこともありましたが、結果的には上手くバランスを取りながら進められたと思います。

北島:衝突、しましたね(笑)。ただ最初のチームビルディングの段階で、プロデューサーのすすめにより、このプロジェクトのミッション・バリューを考えたり、チーム名を考えたりしたことがありました。これは必要な作業なのか?と当時は正直疑問に思っていましたが、実際に半年間駆け抜けてみて、最初にチームで決めた“立ち戻れる原点”があったからこそ、ブレずにプロジェクトを進めることができたと思っています。

眞鍋:最終審査までの半年間は、週1回のコーチングを中心に、週1~2回はチームでミーティングを行い、その他にも顧客インタビューやフィールドワークを行いました。オンラインでのコミュニケーションには、講座用のグループウェア内にチーム用のチャンネルが作られるのですが、そこにプロデューサーやメンターの方々にも入ってもらってToDoの整理やスケジューリングなど、抜け漏れがあれば随時コメントを貰っていましたね。

写真左:佐藤 裕実子さん、写真右:眞鍋 美祈さん
写真左:佐藤 裕実子さん、写真右:眞鍋 美祈さん

佐藤:ターゲットを考えたり、ビジネス視点でのスケーラビリティを考えたりは、これまで突き詰めて行ったことが無かったので苦労しました。私達4人だけでは考え忘れていることも多々出てきますが、事業経験のあるプロデューサーやメンターが客観的な視点で外から突っ込んでくれてとても助かりました。

――半年間をどのように振り返りますか?

佐藤 裕実子さん
佐藤 裕実子さん

佐藤:学生のうちにこういったビジネス視点で物事を考える経験が出来たことは、今後の自分の糧になる気がしています。最初は不安が沢山ありましたが、意外に抵抗なくやり切れて、やる気さえあれば出来るんだな、ということを感じました。今後就職しても、細々と仕事をこなしていくのではなく、常に新しい事業にチャレンジしていきたいと考えるようになりました。

北島:自分がこれまでモノづくりにおいて、「顧客価値」を考えたことがほぼ無かったということに気付きました。あんなに沢山の人にインタビューをしたことはないですし、今後の自分の研究や仕事でも役立つスキルになると思います。

眞鍋: 今回こうやって企業の中のプログラムと関われて、アイデアを突き詰めて考え形にすることができれば、社会人になっても機会を与えてもらえ、認めてもらえるのだということもわかりました。

藤林:私は、プロジェクトの中でマーケティングを主に担当し、最終審査でピッチを聞く方々にどのように興味を持ってもらうか、どのように魅力を訴求するかを必死で考えました。このチームでプロジェクトを半年間やり遂げたことは自信にも繋がります。

――今後のチームの展望は?

眞鍋:0から生み出したアイデアがここまで形になったので、今後も活動は続けたいとは考えています。

北島:次の目標を決めて、事業計画等の具体的なプランを立てていく予定です!

学生メンバー 東京大学
あらゆる人に起業の機会を。

Sony Startup Acceleration Programはソニーが手がけるスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラムです。2014年から6年間で、50件以上の事業化検証、15の事業を創出(2020年7月1日時点)。それらを通じて培った経験やノウハウを生かし、アイデア出しから事業運営、販売、アライアンス・事業拡大に至るまで総合的に支援する仕組みを整備し、スタートアップ支援サービスとしてみなさまにご提供しています。

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