2019.07.22
「REON POCKET」舞台裏

#01 REON POCKET誕生秘話

※この記事は2021年12月1日に更新されました。

Sony Startup Acceleration Program(以下SSAP)では、2014年から社内を中心とした新規事業創出プログラムを始め、多くの事業を立ち上げてきました。2019年7月22日(月)には、SSAPのオーディションを通過した新規事業アイデア、インナーウェア装着型冷温ウェアラブルデバイス「REON POCKET」のクラウドファンディング開始を発表。そんな「REON POCKET」の舞台裏を、連載にてご紹介してまいります。

今回は、ソニーグループ株式会社 REON事業室 統括課長 伊藤 健二とソフトウエア開発マネージャー 伊藤 陽一に、アイデアが生まれたきっかけやクラウドファンディングに至るまでのストーリーをインタビューしました。

アイデアを事業にして、環境課題をテクノロジーで解決する。

――「REON POCKET」とはどのような商品なのでしょうか?

伊藤陽一:「REON POCKET」は、インナーウェア装着型の冷温両対応ウェアラブルデバイスです。これから始まる夏本番。スーツで働くビジネスパーソンの方々をはじめとする“夏の暑さ”に悩む方々に向けて、テクノロジーで新たな快適性を提供するウェアラブルデバイスとして開発しました。

――なるほど、これからの季節にうってつけですね。どのように暑さに対して快適性を提供するのですか?

伊藤陽一:下の図のようなイメージで、「REON POCKET」の端末を専用インナーウェアの背面ポケットに装着し、スマートフォンのアプリ経由で端末の温度をコントロールします。端末の冷温部が直接首元に触れており、この部分の温度が変化することで、 自分自身で冷温感を調節することができるのです。

REON POCKET

――「REON POCKET」が生まれたきっかけは?

伊藤健二:アイデアが生まれたきっかけは、2017年に行った中国・上海出張で感じた、地球温暖化への不安です。当時7月の上海の気温は38度。猛暑に驚愕した一方でホテル等の室内は空調がガンガンに効いていて寒いほど。上海中で空調がフル稼働している様子と、気温とのギャップに環境への問題意識を持ち、「環境課題をテクノロジーで解決する」ことをコンセプトに掲げREON POCKETを開発しました。

伊藤陽一:私はもともとソニーには、「新しいことをやりたい」と思って入社しました。ずっと変わらずそう考えていたので、常に一兆個はアイデアを抱えていました(笑)。実は2013年頃に一度SSAPのスキームで新規事業にチャレンジしたことがあり、その活動の過程で伊藤健二さんと出会いました。後に電流により冷却・加熱を行える半導体素子(ペルチェ素子)を使ったREON POCKETのアイデアを健二さんが発案し、今に至ります。

SSAPオーディションに、クラウドファンディング準備。チームで駆け抜けた半年間。

――SSAPによる新規事業アイデアのオーディションに応募した理由は?

伊藤陽一:アイデアを商品にしたい、事業にしたいという思いが強かったからです。また、SSAPが行う新規事業アイデアのオーディションは1年中いつでも応募できるシステムになっており、自分達のペースで応募できたことも大きかったです。そのおかげで、ビジネスモデルが整理できたタイミングで応募することができました。プロトタイプの完成度を高めたり、ソフトウエアの開発を行ったり、チームメンバーで慣れないミシンを使って、インナーウェアを作りこむ日々もありました。

―そして無事、新規事業アイデアのオーディションに通過されたのですね。そこからはどのようなステップを?

伊藤陽一:オーディションの通過が決まったのが、2019年1月末。そこから、2020年の夏をターゲットに、事業化に向けた準備を進めました。チームメンバーで補いきれない部分はSSAPのアクセラレーターによるサポートも貰い、専門家の方々によるコーチングや、ピッチ演習、品質観点でのサポート等、様々なステップを踏んで来ました。ようやく準備が整い、2020年7月22日にクラウドファンディングへの挑戦が始まりました。

伊藤健二:2019年4月に正式にプロジェクトが発足して、3か月後のクラウドファンディング実施を目指しました。7月24日から26日にかけて東京ビッグサイトにて開催される『猛暑対策展』にも「REON POCKET」を出展する予定で、約2か月間という短期間で製品を作り込みました。

ソニーグループ株式会社 REON事業室 統括課長 伊藤 健二
ソニーグループ株式会社 REON事業室 統括課長 伊藤 健二

若い世代に、よりよい地球環境を。

――ついにスタートを切った「REON POCKET」。そこにかける想いは?

伊藤陽一:「REON POCKET」は、スーツで働くビジネスパーソンに“快適性”を届けます。しかし単純にそれだけではない未来も見据えています。個々人の温度環境が快適になることで、将来的には空間全体の消費エネルギーを減らすことに繋がるはず。そうして微力ながらも、地球環境に貢献できればと思っています。今の若い世代によりよい地球環境を残すことができれば、そう本気で考えています!

伊藤健二:日々変化していく地球環境に対して何かソリューションを提案したいと思い、「REON POCKET」を開発しました。この製品が人々のライフスタイルに溶け込み、当たり前に必要とされる将来を目指しています。

ソニーグループ株式会社 REON事業室 ソフトウエア開発マネージャー 伊藤 陽一
ソニーグループ株式会社 REON事業室 ソフトウエア開発マネージャー 伊藤 陽一

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Sony Acceleration Platformは、新たな価値を創造し豊かで持続可能な社会を創出することを目的に2014年にソニー社内の新規事業促進プログラムとしてスタートし、2018年10月からは社外にもサービス提供を開始。ソニーが培ってきた事業開発のノウハウや経験豊富なアクセラレーターによる伴走支援により、760件以上の支援を25業種の企業へ提供。
新規事業支援だけでなく、経営改善、事業開発、組織開発、人材開発、結合促進まで幅広い事業開発における課題解決を行ううえで、ソニーとともに課題解決に挑む「ソリューションパートナー企業」のネットワーク拡充と、それによる提供ソリューションの拡充を目指します。(※ 2024年10月末時点)

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