Sony Startup Acceleration Program(以下SSAP)では、これまで培ってきた経験やノウハウを、スタートアップの事業化支援サービスとして社外にも提供中です。2018年10月からは京セラ株式会社(以下”京セラ”)にサービス提供を開始し、京セラのメンバーがソニー本社内の専用スペース「Incubation Booth」に入居しています。そんな取り組みから生まれたPossi。どのような経緯でSSAPが京セラへサービス提供をするに至ったか、またどんなドラマがあったのか等、本プロジェクトを、連載にてご紹介してまいります。
まずは、プロジェクトの京セラ側代表である、京セラ株式会社 研究開発本部 フューチャーデザインラボ 所長の横山 敦さんと、ソニー株式会社Startup Acceleration部門 副部門長の小田島の対談をお届けします。まずはお二人の視点から、今回のプロジェクトの概要をご紹介します。
大企業「京セラ」が「SSAP」と挑む、BtoCの新しい事業。
――まず、Sony Startup Acceleration Program(SSAP)に参画することになったきっかけは?
横山:そもそもの背景からいきますと、京セラは、自社で持つ技術を用いて、新しい事業を創ろうとしていました。そのような中、2017年10月に、あるご縁で”SSAP”のことを知り、初めてクリエイティブラウンジ(ソニー本社1階)を訪問しました。その際、ちょうど外部へのサービス提供を検討しているという話を聞き、私は「ぜひご一緒したい。京セラでもそのための仕組みを立ち上げよう」と考えました。そこから内部で準備を進め、2018年8月に、小田島さんと初めて打ち合わせさせていただき、正式にSSAPの事業化支援サービスに申し込みをしました。
小田島:そうでしたね。初めて横山さんにお会いした時に、「SSAPの仕組みを使ってみたい」という強い想いを伝えて頂きました。想いを共有し、一緒にできる外部の会社を探していたタイミングでもあったので、「是非一緒にやりましょう」とお返事しました。その後は話が進むのが早かったです。一度京セラさんのオフィスにも伺って、具体的な案件・技術の摺合せや、チームメンバーとの顔合わせも行いました。
横山:おっしゃる通り。とてもスピーディーに進みましたよね。
小田島:はい、そこで実際に見せて頂いたプロジェクトの内容も面白かったので、横山さんとの初めての打ち合わせの2か月後、2018年10月1日から、正式にプロジェクトが走り出しましたね。こちらも京セラさんのプロジェクトを迎える環境を整えるべく、急ピッチで社内に京セラさんのスペースをつくりました。
――事業化検討を進めるにあたって、SSAPの4本柱支援はどのように役立っていますか?
横山:たくさんあります。もともと、京セラ独自で”BtoC”、コンスーマー向けの新しい事業を創ろうという動きもありました。しかし(京セラはBtoB事業が主なこともあり)なかなか経験の無い分野で、ノウハウが豊富にある訳ではありませんでした。
これまで、SSAPの中の4本柱(「Ideation」、「Incubation」、「Marketing」、「Expansion」)のうちの2つ、「Ideation」「Incubation」を利用してきましたが、京セラだけでは考えられなかったレベルに広がってきました。SSAPからアイデアや技術、デザインを提供頂き、京セラが持っているノウハウも併せ、相乗効果の結果です。
期待通りの「厳しさ」と、期待以上の「信頼感」
――2018年10月の開始から数か月経ち、事業化の進捗の印象や、チームの変化などは?
横山:良い意味で、「厳しく指導頂いている」というのが感想です。チームメンバーからも、「とても大変だが、良い意味で鍛えられる」という話を聞いています。
新しいことに取り組んでいるわけですから、やはりチームメンバーは大変なことも多いでしょうが、彼らのこれからの変化が楽しみです。そういった経験が、彼らのキャリアのプラスになることは間違いないですから。
小田島:そうですね。京セラさんからは腕に自信のある方が参画してくださっていますし、アイデアや技術力も、コアがしっかりとしていますよね。だから世に出たら絶対に「Wow」なモノですし、喜ばれることは確信しています。非常に楽しみです。
――「良い意味で厳しい指導」、とのことですが、最初にSSAPに抱いていた印象とのギャップはありましたか?
横山:ギャップや差異、というよりは、「SSAPのことが、段々とわかってきた」という表現が正しいです。もともと、この取り組みを始める際、メンバーへの厳しさは期待していました。でもやはり、前例のないことですし、プロジェクトのゴールが鮮明に描けていたわけでは無かったです。
しかし日が経つにつれ、小田島さんをはじめとするSSAPの皆さんへの信頼感は、どんどん大きくなりますね。コミュニケーションの取り方や、案件の進め方。何事もそうですが、信頼できる、というのは本当に大切で、それがどんどん大きくなる感覚です。アクセラレーターの皆さんが、親身に伴走してくれています。
小田島:それはとても嬉しいご意見ですね。
横山:本当にSSAPの方は、それぞれ専門分野に長けていて刺激ですし、頼りになります。実際に、このプロジェクトをやってみないと分からなかったことです。
――また、SSAPとして、初めての社外案件となった京セラさんのプロジェクトやメンバーの方の印象は?
小田島:今回の京セラさんのチームメンバーは、皆さんエレクトロニクスご出身の方。だからか、コミュニケーションの感覚としては、社内の違う部署のエンジニアと会話しているような感覚です。
横山:そうなのですね。
小田島:皆さん、実力も自信もおありなので、ちょっとした指摘ではぶれないコアを持っています。アドバイスを吸収した後の進み具合は、驚きますね。私の予想を常に上回るスピードで、事業化検討が進んでいっています。
横山:ありがたい限りです。社内でスペースまで用意して頂いて、チームメンバーも私も感動しています。
企業同士で作る新規事業、サステイナブルにインパクトを。
――今後の、京セラ・SSAP、お互いへの期待は?
横山:まずは、今準備中の商品をローンチさせることです。そしてその後も、新規事業の創出を、サステイナブルに進めていく仕組み作りを、一緒に行っていきたいです。時代やトレンドの変化に柔軟に対応しながら、いち早く実行に移せたら、と考えています。
小田島:SSAPとしては、これまで、社内向けにやってきたのと同じように、活動を深めていきたいと思います。
横山:まさに、そうですね。このプロジェクトを進めながら思いますが、大企業同士で新規事業を創るという新しい事例で、また世の中も変わってくると期待しています。
京セラもオープンイノベーションの促進を図るべく、新たなシステム関連の研究開発拠点となる「みなとみらいリサーチセンター」を設立したばかりです。今回のプロジェクトを皮切りに、今後もSSAPと、世の中に大きなインパクトを残せれば、と思います。
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『オープンイノベーションによる企業間連携 Possi誕生ストーリー』(全10回)
#02 三児の父・京セラのエンジニアが解決したかった「あの苦労」。プロジェクトリーダーの想い
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