2023.02.21
Startup Switch 2022

エステー賞 ASTRA FOOD PLAN株式会社|過熱水蒸気を用いた装置の開発・活用で、サスティナブルな社会の実現を目指す

「独創的なアイデアやテクノロジーを用いて、社会課題の解決を図る」を募集テーマに、ソニーグループ株式会社(以下ソニー)とアサヒグループジャパン株式会社(以下、アサヒグループジャパン)、エステー株式会社(以下、エステー)は、スタートアップ企業を対象としたビジネスプランコンテスト「Startup Switch 2022」を開催しました。
今回は最終審査会でエステー賞を受賞したASTRA FOOD PLAN株式会社(※敬称略)についてご紹介します。

 

■ ASTRA FOOD PLAN株式会社ご紹介

ASTRA FOOD PLAN株式会社のみなさん
ASTRA FOOD PLAN株式会社のみなさん

―――貴社の事業内容について教えてください。
当社は、過熱水蒸気技術を用いて食品を乾燥させる装置『過熱蒸煎機』(※特許出願中)を開発・販売しているフードテックベンチャーです。
過熱蒸煎機は、高い生産効率と高コストパフォーマンス、高クオリティを実現したことから、これまでコストの問題で有効活用できなかった野菜の芯や皮、ヘタをはじめとする端材や、規格外農作物などの未利用資源を付加価値の高い食材にアップサイクルすることができます。
また、食品残渣(ざんさ)※ 廃棄等の課題を抱える事業者に過熱蒸煎機を販売すると同時に、本装置で作られる食品粉末の用途開発を食品メーカーと協力して行うことで、 “かくれフードロス”問題の解決を目指しています。

※ 食品関連事業所から出る食品由来のごみ
過熱蒸煎機と人参の端材からできた食品粉末
過熱蒸煎機と人参の端材からできた食品粉末

―――Startup Switch2022に応募されたきっかけは?また印象的だったことがあれば教えてください。
コンテストの告知を拝見した際、アサヒグループジャパン様とエステー様が審査員として参加されていることを知り、ぜひ当社の事業や技術について知って頂きたいと思い、応募を決めました。
他のビジネスコンテストにもいくつか出場していますが、Startup Switch 2022では応募時に必要な資料に関して、事業化支援Webアプリ「StartDash」で作成した事業計画書を提出できる点が他と違って印象的でした。StartDash上で表示される指示に従い入力していくと、ビジュアルも内容もきちんとした事業計画書が仕上がるため、非常に画期的なWebアプリだと思いました。当社の創業当初、事業計画書は本を見ながら四苦八苦して作った経験があり、その時に使いたかったなと思いました。これから起業する方にはおすすめしたいです。


―――今回エステー賞を受賞されましたが、実際に受賞されてみていかがですか?
大変光栄です。かねてよりエステー様と協業したいと思っておりましたので、念願叶ってとても嬉しいです。
実は最終審査会の結果発表時は商談中で、お客様と一緒に結果を聞いていました。受賞は取引先や世間からの信用度向上にも繋がりますので、大変ありがたいです。


―――今後の期待と展望は?
当社では“かくれフードロス”となっている食品残渣や、規格外農作物などを粉末にして新たな食品原料にアップサイクルする、という取り組みを行っています。前職で食品業界にて企画や開発を行ってきた私自身のバックグラウンドや人脈を活かし、大手食品メーカーの協力も得られ、おかげさまで食品へのアップサイクルについては形になってきました。
次に取り掛かりたいのは、食品以外へのアップサイクルです。食品残渣は、玉ねぎや人参の端材のように粉末状にしても美味しいものもありますが、茶殻やビールの搾りかすなど、粉末状にするとあまり美味しくないものもあります。後者については、特定の成分を抽出したり、飼料や養殖魚の餌にしたり、バイオマスエネルギーへ転用するなど、食品以外への利用が有効だと考えています。過熱蒸煎機は食品以外の分野でも活用できます。
エステー様とはぜひ茶殻の有効利用について一緒に取り組みたいと考えております。ペットボトル飲料の残渣である茶殻は大量に発生しており、一部を除いてほとんどが廃棄されています。エステー様と当社の技術を組み合わせることで、消臭剤や猫砂等に生まれ変わらせることができるのではと期待しております。

最終審査会での授賞式の様子
最終審査会での授賞式の様子

■ 審査員コメント

エステー株式会社 新規事業開発室 室長 清水 佳代さん
「おめでとうございます。選定させて頂いたポイントは、この数十年の間に世界中で大きな問題になるであろう食の問題、フードロスの解決に取り組まれている点で、是非応援させて頂きたいと思いました。また、当社では間伐材から精油等を抽出する技術もありますので、相互ソリューションも検討できればと思っています。」

※本記事の内容は2023年2月時点のものです。

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は、「あらゆる人に起業の機会を。」をコンセプトに、2014年に発足したスタートアップの創出と事業運営を支援するソニーのプログラム。ソニー社内で新規事業プログラムを立ち上げ、ゼロから新規事業を創出した経験とノウハウを活かし、2018年から社外にもサービス提供を開始。経験豊富で幅広いスキルとノウハウをもったアクセラレーターの伴走により660件以上の支援を24業種の企業へ提供。大企業ならではの事情に精通。(※ 2024年3月末時点)

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