2022.03.10
SSAP & Z世代!

#06 地球規模の課題に挑む!RIMIXグローバルチャレンジ

Sony Startup Acceleration Program(以下SSAP)は、東京大学・東京藝術大学と社会連携講座を開講し、学校法人立命館(以下立命館)が設立した「立命館・社会起業家支援プラットフォームRIMIX(Ritsumeikan Impact-Makers Inter X(cross))」とも連携し支援をしています。またこれらの教育機関との連携に加え、一般企業に対してもZ世代の発想を生かした新規事業創出支援や、Z世代向けの研修の実施サポート等を行っています。

SSAPは2021年度、「総長 PITCH CHALLENGE」に加えて、新たな試みとしてオンラインのアイデアコンテスト「RIMIXグローバルチャレンジ」の開催支援を行いました。
今回はRIMIX事務局の冨田 沙樹さんとSSAPアクセラレーターの堂道 有香に「RIMIXグローバルチャレンジ」の内容や開催目的ついてインタビューしました。

左:学校法人立命館 起業・事業化推進課 冨田 沙樹さん 右:SSAP アクセラレーター 堂道 有香
左:学校法人立命館 起業・事業化推進課 冨田 沙樹さん
右:SSAP アクセラレーター 堂道 有香

地球規模の課題について考える「RIMIXグローバルチャレンジ」とは

2021年8月~9月にかけて、立命館の学生を対象に実施された、地球規模の課題を知り、取り組むオンラインのアイデアコンテスト。設定されたテーマについて、学生たちが学び、解決方法を考える、というものです。今回のアイデアコンテストで設定されたテーマは「難民問題」と「食糧問題」。

――なぜグローバルな社会課題をテーマにしたアイデアコンテストを実施したのでしょうか?

冨田:RIMIXは立命館に在籍する学生や生徒、児童が対象となっています。立命館は、留学生と日本人が半数ずつ在籍する立命館アジア太平洋大学(APU)や、国際的な学位プログラムを持ち留学生が多数在籍している立命館大学があり、教育や研究、学びのグローバル化を推進しています。しかしながら、RIMIXのプログラムとして、グローバルな社会課題を直接のテーマとしたものはありませんでした。

一方、コロナ禍が長期化する中で、留学機会や長期休暇での海外渡航の機会が失われ、学生の関心も国内の身近なところに移っているような印象を持ちました。現在のビジネスや生活は1つの国では完結せず世界のつながりを基にしています。そこで日本にいる自分と世界の課題を結びつけて考える機会を作ることが重要と考えました。
また、例年であれば学生が様々な経験を積む夏季休暇の時期に、感染者数増加のため国内でも移動が困難になりました。そのため同時期に在宅でも何か取り組むことができる機会を作りたい、という思いがありました。

RIMIXでは社会課題を、ビジネスを通じて解決する人材の育成支援を目的としているため、堂道さんに相談し、それに沿ったテーマ設定でオンラインでのアイデアコンテストの内容設計をしていただきました。

テーマは「難民問題」と「食糧問題」 現場の声を学生に届ける

――数ある社会課題の中で、テーマを「難民問題」と「食糧問題」に設定した理由を教えてください。

堂道:アイデアコンテストは、講演やセミナーとは異なり、自らが考える過程が長いため、受動的ではなく能動的にそれぞれのテーマについて学ぶことができます。与えられたテーマに対して、質の高いアウトプットを目指すことでより深くテーマについて知ること、考えることができると思っています。「難民問題」と「食糧問題」は、普段生活する上で学生にとってあまり馴染みがないことかもしれません。しかし、私が前職の国際NGOで関わったことがあるテーマだったので、実体験と知識をもって学生の相談に乗ることができ、学生に深く考えてもらうことができると思いました。

――学生により深くテーマについて考えてもらうために工夫した点はありますか?

堂道:それぞれのテーマに対して募集するアイデアを具体的に設定しました。
また、両テーマとも最前線で関わる素晴らしい方々を知っていたので協力を仰ぎ、審査員と事前学習企画としてそれぞれのテーマに関するオンライン講演「Summer Global Session」をお願いしました。それぞれの具体的な募集アイデアは下記としました。

課題A:難民問題、課題B:食糧問題

◆ 難民問題:「障がいを抱えた難民パラアスリートをサポートするアイデア」を募集
学生との心理的距離を少しでも近づけるべく、「難民問題」では「難民選手団」をサブテーマに設定し、アイデアを募集しました。ちょうど東京で開催されるオリンピックとパラリンピックが目前に迫っている時期で、「難民選手団」がニュースやSNSで取り上げられていました。顔も名前もない「難民問題」よりも、顔と名前のある「難民となったアスリート」にフォーカスをあてることで心理的距離を少しでも縮められればと思っての工夫でした。審査員には長年にわたり難民アスリートの取材を続けた元NHK報道局ディレクターの飯野 真理子さんを招きました。

◆ 食糧問題:「ルワンダで収穫した野菜やフルーツが無駄にならないためのアイデア」を募集
漠然とした「食糧問題」ではなく、今実際に起きている問題について身近に考えてもらうため、「ルワンダでの食糧問題」をサブテーマに設定し、アイデアを募集しました。審査員には、ルワンダ出身、日本育ちで、現在ルワンダの食糧問題に取り組んでいるKivu Cold Groupのイマニシムエ・サムエルさんに協力いただき、事前学習では実際にルワンダで起きている食糧問題について解説してもらいました。学生に現状を知ってもらった後、「ルワンダで暮らす貧しい農家の方が育てたトマトが破棄されるのを防ぐためにはどうすればよいか?」と、よりかみ砕いた問いかけをすることで、難しく思える問題をシンプルに考えられるよう設計しました。また、実際にルワンダから来日したサムエルさんが自身の体験も踏まえて伝えることで学生の心にも響いたのではないかと思います。

審査員2人のオンライン講演「Summer Global Session」のアーカイブ動画は以下からご覧いただけます。

■「Summer Global Session:シリアで何が起きているの? 難民パラアスリートの人生から学ぶ難民問題」元NHK報道局ディレクターの飯野 真理子さん 講演

■「Summer Global Session:世界の一員として私にできること ~二国間で育った経験から、食の課題に取り組むまで~」Kivu Cold Group イマニシムエ・サムエルさん 講演

「RIMIXグローバルチャレンジ」を終えての感想

――参加した学生からはどんな反応がありましたか?

冨田:学生からはアンケートで以下のようなコメントをもらいました。
・将来海外で働くことを視野に入れているため、アフリカの課題にも一度触れてみたく参加した
・実際にルワンダをよく知る方からのお話を聞いた上でアイデアを考えられるのが良かった
・前から国際問題に興味があり、私の意見によってもしかしたら問題解決の糸口が見つかるかもしれないとワクワクした
・これまで検討したことのない新しいテーマを考えることができて勉強になった

――アイデアコンテスト「RIMIXグローバルチャレンジ」を終えての感想を教えてください。

冨田:今回のアイデアコンテストでは、堂道さんの国際NGOでのご経験やネットワークを通じて、学生に考えてもらいたいテーマと具体的な募集アイデアを設定することができました。普段学生と心理的距離がある分野や地域の内容にもかかわらず、学生が親しみを持ってアイデアを考えることができたのではないかと思います。
また、単発のアイデアコンテストではなく、それぞれのテーマの専門家や当事者による事前学習「Summer Global Session」や相談会を実施することで、課題が人に結びつき、その人達の置かれた環境等への想像力の向上につながったように思います。立命館の起業支援や事業化支援では、世界の様々な場所でグラスルーツイノベーション、つまり草の根レベルからイノベーションを生み出すことを目指しています。引き続き、このような機会を検討していきたいと思います。

堂道:「世界の地球規模課題に触れ、関心を持ち、学生が持つ技術やクリエイティビティを課題解決のアイデアとして活かしてもらいたい」というRIMIXの願いは、私がSSAPで実現したいことそのものだったので、とても嬉しく、胸が高まったことをよく覚えています。また、アイデアコンテストで集まった1つ1つのアイデアについては、背景にある想いに深く感動し、感銘を受けました。
今回は地球規模の課題についてアイデアコンテストを通じて学生に解決策を考えてもらいましたが、地球規模の課題解決は、文字通り「総力戦」で挑む必要があると個人的に考えています。個人、企業、政府、国際社会等が1つになって挑まなければなりません。私は、ソーシャルビジネスへの障壁をなるべく低くし、丁寧に寄り添い、社会的意義の高い価値をどんどん世の中に出していきたいので、こうした地球規模の課題を考える機会をこれからも増やしていきたいと思います。

参加した学生(一部)と審査員、アイデアコンテストの運営メンバーの集合写真
参加した学生(一部)と審査員、アイデアコンテストの運営メンバーの集合写真

 

※本記事の内容は2022年3月時点のものです。

あらゆる人に起業の機会を。

Sony Startup Acceleration Programはソニーが手がけるスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラムです。2014年から8年で、100件以上の事業化検証、19の事業を創出(2022年3月末時点)。それらを通じて培った経験やノウハウを生かし、アイデア出しから事業運営、販売、アライアンス・事業拡大に至るまで総合的に支援する仕組みを整備し、新規事業支援サービスとしてみなさまにご提供しています。

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