2021.04.15
学生を、社会起業家に!with 立命館

#05 立命館総長 仲谷さん×SSAP 小田島 インタビュー「社会課題解決に取り組む起業家人材を」

Sony Startup Acceleration Program(以下SSAP)は2019年9月より学校法人立命館(以下、立命館)が設立した「立命館・社会起業家支援プラットフォームRIMIX(Ritsumeikan Impact-Makers Inter X(cross))」と連携し、学生・生徒・児童のアイデアのブラッシュアップ、事業化への課題検証等を支援しています。2019年度は、総長ピッチチャレンジ(※)に参加する学生に向けてSSAPがアイデアを形にするための支援を行い、2020年度も継続してワークショップやトレーニング、コーチング等を行っています。

※立命館の学生・生徒・児童のプロジェクトをビジネスレベルまでブラッシュアップし、総長へピッチを行うコンテスト。

今回は、学校法人立命館 総長 仲谷 善雄さんと、SSAP責任者の小田島 伸至に本プログラムの振り返りや今後の展望についてインタビューしました。

約5万人の学生・生徒・児童が学ぶ立命館。社会課題に関心を持ち、社会実装を。

――仲谷様は立命館の総長としてどのような役割を担われていますか。

仲谷:学校法人立命館は、北海道、滋賀、京都、大阪、大分にキャンパスを持ち、立命館大学・立命館アジア太平洋大学、4つの附属中学校・高等学校(立命館、立命館宇治、立命館慶祥、立命館守山)と立命館小学校に総数約5万人の学生・生徒・児童が学んでいます。総長として、設置する大学と附属校の教学に関する事項を総括し、また立命館大学の学長を兼務し、教育研究に関する事項を統括する役割を担っています。

――プログラムでは「総長ピッチチャレンジ」に向けて、学生たちが自らのアイデアをブラッシュアップしました。最終イベントを総長ピッチと名付け、総長自らがピッチをご覧になる形にした狙いがあればお聞かせください。

仲谷:立命館にはかねてより、SDGsに代表されるような、人類に共通する社会課題に関心を持ち、正課・正課外を問わず学生が主体となって様々な活動をする土壌があります。また、学生を見ていると、実践的な学びやリアルで困難な課題ほど本気になって取り組むことという実感もありました。総長ピッチというコンテストの場で、学生・生徒達が発想した課題解決のアイデアをビジネスプランとしてプレゼンすることは、社会実装への機運を高めていく絶好の機会になると考え、企画しました。

学校法人立命館 総長 仲谷 善雄さん
学校法人立命館 総長 仲谷 善雄さん

「やる気」のある人をSSAPがサポートし、社会課題解決のきっかけを作る。

――2019年度よりSSAPは立命館RIMIXプログラムと連携し支援を行っていますが、そのきっかけや理由をお教えください。

小田島:ソニーでは「あらゆる人に起業の機会を。」という目標のもと、新しい事業や価値を作り出したい人をサポートするSSAPを2014年から運営しています。一言で言うと起業家の想いを叶える仕事で、皆様の頭の中にあるアイデアをいち早く実現するため、ソニーがこれまでの経験で培ったノウハウを提供しています。アイデア創りから商品化、事業性検証、販売、拡大まで事業に必要なことを一気通貫で支援しています。そういった活動を通じて、自ら社会や人の課題を見つけて解決し対価を得られる人材を育てることも狙っています。これがまさに立命館さんのやろうとしている「社会課題解決人材の育成」と合致するものであり、2019年よりサポートをさせていただくことになりました。

――SSAPとして小田島さんがプログラムに期待していたことは?

小田島:社会課題の解決に重要なのは何よりもやる気をもった人の存在だと思います。課題に気付き定義するのも人ならば、解決策を実行するのも人。結局、最初に動く人が重要なのです。立命館さんにはそういった未来を変えられる人材が沢山いらっしゃると思っており、事務局の熱意も凄い。そうした方々をSSAPがサポートしアイデアを世に出し活躍するきっかけを作ることで、沢山のアイデアが速やかに社会実装され社会課題が解決されていくことを期待しています。

SSAP責任者 小田島 伸至
SSAP責任者 小田島 伸至

――2020年度はコロナ禍でのプログラム実施となりましたが、どのような工夫をしましたか。

小田島:2年目となる今年度は更なる挑戦をと意気込んでいたのですが、コロナの影響で従来のやり方が踏襲できず頭を悩ませました。しかしながら、立命館の皆様の迅速で柔軟な対応により一気にオンライン化を進めることができ、ワークショップや研修、コーチングなど滞りなく実施できました。こういった想定外の状況でも諦めずに解決策を講じ、計画を実行できたことは皆様の努力の結晶であり素晴らしい共創だったと思っています。結果、プログラム内のトレーニングには昨年の約2倍の82名、36チームが参加し、参加者の中には中学生までいらっしゃり、「社会課題を解決したい」と思う学生の規模や裾野が着実に広がっているのを感じました。また昨年SSAPは国連組織のUNOPS(国連プロジェクトサービス機関)とSDGs達成を目指した協業契約を結び、ビジネス公募を共催しました。この公募では身に迫った多くの社会課題が世界各国から集まったのですが、そういった世界の方々と一緒に仕事をしていける人材育成を狙ったプログラムも加えています。

昨年度は15チーム中4チームが起業。起業・事業化に関わる学生が増えることを願って。

――総長ピッチをご覧になっていかがでしたか。

仲谷:昨年初めて総長ピッチを企画し学園内の反響が大きかったことから、今後の展開に確信を得ました。今年はコロナ禍で、総長ピッチもオンラインでの実施となりましたが、さらに大きな手応えを得ることができました。今回も「就職活動」「森林問題」等、様々な社会課題に光を当てた提案がありましたが、全て粒揃いで審査員としてほとんど点差がつけられませんでした。

小田島:総長ピッチの参加者には、既に商売を始めているチームや、大学生に交じって高校生のチームもいらっしゃり驚きました。熱意と多様性あふれる皆さんのピッチから、私自身も多くの気付きを得られました。またプログラム全体を通じて学生が運営に関わっており、次世代の文化祭のような雰囲気があったのも印象的でした。

仲谷:そうですね。特に大学生に混じって出場した立命館守山高校チームのプレゼンテーションは、日常の食事を起点に食品アレルギーにフォーカスしたもので、その着眼点と発想力に大変感心しました。高校生が興味関心を持ってくれたことを非常に嬉しく思っています。今回出場した学生・生徒の皆さんには、是非活動を継続し大きな花を咲かせて欲しいと思っています。

総長PITCH THE FINAL 2020での学生によるピッチの様子
総長PITCH THE FINAL 2020での学生によるピッチの様子

――今回のRIMIXの活動を通じて、学生の変化を感じる点はございますか?

仲谷:昨年、総長ピッチに出場した15チームのうち4チームが起業をしました。他にも、プロジェクトベースで形を変えながら継続的に活動をしている学生もいます。また、これまでの社会起業活動の経験を活かして就職する学生も出てきました。仲間とともに、社会課題をビジネスプランにまで作り上げる挑戦をきっかけとして、進路・就職の選択肢に「起業」を考える学生が増えてきたのではないかと思っています。
また、先輩学生の活動に刺激を受け、いつか総長ピッチに出場することを目指して活動する学生や、附属校の生徒の活動に対してサポートをする大学生も生まれてきました。また、RIMIX事務局として裏方で総長ピッチの運営を支えてくれる学生もおり、新しい人のエコシステムが生まれつつあります。

――今後のRIMIXとSSAPの連携やプログラムに期待することがございましたらお教えください。

小田島:大きな課題を解決するために一番大切なものは「やる気」だと思います。社会課題の解決をまず自分事化し自分の頭でアイデアを生み出すことが大切です。そういったアイデアは強い信念に支えられていますから、ちょっとやそっとでは折れませんし、毎日の人生が充足したものにもなります。立命館さんにはやる気を内に秘めた学生さんが沢山いらっしゃると感じています。その方々にきっかけを提供し、アイデアの実現を促していけたらと切に願っております。

仲谷:立命館学園では2030年までの中期計画を策定しました。特に立命館大学の重点的な取り組みの1つが、RIMIXの取り組みに代表されるような「実践を通じた社会課題の解決によって社会の変革・イノベーションに寄与すること」です。今後学園としては、大学の教員の研究シーズをもとにした起業・事業化についても、学生や卒業生等も巻き込みながらより一層力を入れていきたいと思っています。
そのために、RIMIXの活動に関わる学生の裾野をさらに広げて行きます。そして学生には、SSAPのプログラムを通じて自分たちのアイデアをブラッシュアップしていってほしいと思います。このような取り組みを通じて、様々な側面から起業・事業化に関わる学生が増えていって欲しいと考えています。

総長PITCH THE FINAL 2020 参加者・審査員の集合写真
総長PITCH THE FINAL 2020 参加者・審査員の集合写真
あらゆる人に起業の機会を。

Sony Startup Acceleration Programはソニーが手がけるスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラムです。2014年から7年間で、60件以上の事業化検証、17の事業を創出(2021年3月末時点)。それらを通じて培った経験やノウハウを生かし、アイデア出しから事業運営、販売、アライアンス・事業拡大に至るまで総合的に支援する仕組みを整備し、スタートアップ支援サービスとしてみなさまにご提供しています。

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