2020.07.30
オープンイノベーションによるDOAC誕生ストーリー  株式会社LIXIL

#03 マーケティング・コミュニケーションデザインの視点から

Sony Startup Acceleration Program(以下SSAP)では、これまで培ってきた経験やノウハウを、スタートアップの事業化支援サービスとして社外にも提供中です。2019年7月からは株式会社LIXIL(以下LIXIL)にサービス提供を開始し、2020年7月には電動オープナーシステム「DOAC」を発表しました。
どのような経緯でSSAPがLIXILへサービス提供をするに至ったか、またどのようなドラマがあったのか等、本プロジェクトを連載にてご紹介してまいります。

今回は、DOACプロジェクトのコミュニケーションデザイン支援を担当したソニー株式会社 クリエイティブセンターの北原 隆幸と、マーケティング支援を担当したSSAPのアクセラレーター井上 令子にインタビューしました。

DOACを、誰に・どのように伝えるか。マーケティングとデザインの視点。

――北原さん、井上さんのそれぞれのご所属と今回のプロジェクトでの役割をお教えください。

北原:私は今回のプロジェクトでは、クリエイティブ全般のディレクションを担当しました。具体的にはコミュニケーション全体に関わるメッセージングに始まり、ロゴ・コンセプトムービー・Webサイト・カタログなど全ての表現物を担当しました。

北原 隆幸 ソニー株式会社クリエイティブセンター コミュニケーションデザイン担当
北原 隆幸 ソニー株式会社クリエイティブセンター コミュニケーションデザイン担当

井上:私はSSAPのマーケティング担当として、DOACのマーケティング支援を行いました。今回発表した「DOAC」は各家庭で使ってもらうことを想定しているので、ソニーのBtoCビジネスの経験をもとにアドバイスをさせていただきました。私が具体的に行ったのは、DOAC発売に向けて、どんな方に・どのような手法や表現で商品の魅力を伝えていくかの整理と実現のサポートになります。

――お二人がDOACの最初の構想を聞いたのはいつですか。またその際のDOACの第一印象はどのようなものでしたか?

井上:私が初めてDOACの構想を伺ったのは、2019年の11月です。ドアを自動化すると聞くと大工事が必要になりそうですが、DOACだとそれが簡単に行える点が画期的だと感じました。また、LIXILのプロジェクトメンバーである今泉さんや大澤さんが、ドアのユーザーとなり得る方々の体験を再現するために、自ら車椅子に乗ったり大きな荷物をかかえたりしてドアを開け閉めする検証の動画を見て、LIXILの皆さんの「困っている方々を助けたい」という真剣な想いにとても共感できました。
マーケティング面での課題としては、困っている方にどのようにしてこの商品を知っていただき、魅力を感じていただくかという点でしたので、ニーズ検証を通してDOACを必要と思ってくださる方を明確化し、どのように伝えるかのマーケティングプランの作成を支援させていただきました。

井上令子  ソニー株式会社 Startup Acceleration部 Startup Marketing Team
井上令子  ソニー株式会社 Startup Acceleration部 Startup Marketing Team

北原:私が初めてお話を伺ったのは2020年2月上旬でした。非常に魅力的で、まさに世の中に必要とされている商品だと直感的に思った一方で、実際に必要とされている方に加え、ユーザーを制限しすぎず多くの方に、どのように商品が持つ魅力を伝えていくのかがコミュニケーションデザインの課題だと感じました。メインユーザーとなり得るのは、車椅子を使う方々や高齢者の方々ですが、DOACが福祉機器のように見えてしまうことで製品の持つ可能性を狭めてしまいます。玄関ドアがまるで家族のように迎え入れてくれることは誰にとっても実は嬉しい体験であり、メインユーザーの方々だけではなく彼らと生活を共にする方々も含め、「多くの人がより快適になる可能性を持った商品だと伝える」ことをポイントにしようと考えました。

マーケティングのため、ユーザー層へのインタビューは念入りに。

――マーケティング支援は実際にどのようなことを行いましたか?

井上:マーケティング支援は2019年11月から開始しました。ビジネスモデルの仮設構築から発表・発売までのフローをご紹介し、DOAC発売までの全体スケジュールを、プロジェクトメンバーのお二人と一緒に作成しました。
12月からの2か月間は、ビジネスモデルの検証の為のニーズ検証支援や、ペルソナ像・カスタマージャーニーマップの作成を実施。2020年2月からは、DOACのWebページ骨子作成や、制作物の準備を開始しました。この期間には設定したペルソナをもとにWebページの構成と購入導線のご提案をしたり、商品写真やコンセプトムービー制作をサポートしたりしました。

DOAC公式ページ:https://www.lixil.co.jp/lineup/entrance/doac/
DOACの商品画像撮影の様子

――約半年間、様々な準備を行ってきたのですね。その中でも特に力を入れた点はどこでしょう?

井上:ユーザーとなり得る方々へのインタビューや、ユーザーに関連する情報収集には時間をかけました。マーケティングメッセージを決めていくにあたり、ユーザーのリアルな体験や声を知ることは非常に大切なポイントです。お客様の生の声を聞くことが、「商品の魅力をどんな方にどのように伝えるか」というマーケティングにつながっていくのです。また、インタビューを通して出会った方々からの「是非欲しい」「頑張って実現してください」という声はチームにとっても励みになり、同じように困っている多くの方にDOACを届けたいと強く感じましたね。

マイナス→ゼロではなく、ゼロ→プラスにするコミュニケーションデザイン。

――デザイン支援は実際にどのようなことを行いましたか?また工夫した点はどこですか?

北原:DOACの魅力を、誰に向けて、どんな言葉で、どのように、何を伝えるかというコミュニケーション設計の上でブランドのトーン&マナーを決めていきました。

工夫した点は、繰り返しになってしまいますが、「福祉機器」としてコミュニケーションするのではなく、「全ての人々を快適にする機器」と位置付けた点です。「不便なこと(マイナス)を解消する(ゼロにする)」のではなく、「当たり前(ゼロだと)と思っていた毎日がより一層よくなる(プラスになる)」ことを伝える事を工夫したのです。LIXILの製品である安心・信頼性は保持しつつも、DOACが商品としてもつ“柔らかさ”や“気持ちが軽くなる楽しい要素”をどのように盛り込むか。例えばコンセプトムービーでは、いかに自分の生活の中での具体的なシーンをイメージさせられるか、という点にこだわっています。

――今回のプロジェクト、DOACにかける想いをお教えください。

北原新型コロナウイルス感染症の影響で自宅待機が推奨されている中、ちょっとした散歩だけでもいかに気持ちがリフレッシュされるか、多くの方々が身をもって実感されているかと思います。
DOACは、ドアの開け閉めが自由にできず不便を感じていた方々やその周りの方々に向けて、毎日を新しく、明るく変えることができる製品です。LIXILの企業理念である「優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献する」をまさに体現していると思います。
外に出かけたい気持ちを後押しし、毎日に笑顔が溢れていくお手伝いができれば、そう期待しています。

井上:「玄関ドアを、誰もが安心して使えるように変身させてくれる」、それがDOACです。DOACを使えば、お出かけや帰宅時の苦労がなくなり、より快適で楽しい生活を後押ししてくれることと思います。是非多くの方にDOACを知っていただきたいですし、たくさんの方のお出かけ・帰宅をサポートできればと思います。

>>DOACの詳細はこちらから

あらゆる人に起業の機会を。

Sony Startup Acceleration Programはソニーが手がけるスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラムです。2014年から6年間で、50件以上の事業化検証、15の事業を創出(2020年7月1日時点)。それらを通じて培った経験やノウハウを生かし、アイデア出しから事業運営、販売、アライアンス・事業拡大に至るまで総合的に支援する仕組みを整備し、スタートアップ支援サービスとしてみなさまにご提供しています。

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