Sony Startup Acceleration Programから生まれたIoTブロック「MESH™」。2020年には小学校でプログラミング教育が必修化され、子どもたちが主体的にプログラミングの楽しさや考え方を体験することができるツールとして期待されています。
2020年度から小学校の教科書にも掲載され、教育の中で活用されていくMESH。その沿革を、プロジェクトリーダーの萩原丈博と共に振り返ります。
【2012年】米国留学での気づきから、MESHの企画誕生
MESHの企画・構想は2012年頃から始まりました。萩原ともう一人、ソニーのソフトエンジニア増田による構想がベースになっています。
当時、萩原はソニーでテレビ番組等のおすすめ機能に使われているアルゴリズムの開発を手掛けていました。その後、社内の留学制度でスタンフォード大学にて研究のために渡米。そこでの気付きが、今のMESHの商品コンセプトにつながっています。萩原はMESHの企画・構想について下記のように話しました。
「最初は人の行動のログを取って、健康に役立てる、といった事を考えていました。しかし、健康って人によってそれぞれ期待することが違うんですよね。病気になってしまうと医療の領域ですが、その手前だと、たとえば、運動がしたいとか、朝が弱いから睡眠の質を改善したいとか、人によっておこなっていることが違うので、それらは一つの商品で解決するものではないのでは、と思い始めました」。
萩原は、「生活環境の中でいろいろな機能をもっと自由にカスタマイズすることができたら良いのではないか」と考え、上の写真にもあるような最初のプロトタイプを作成しました。この最初のプロトタイプを素早く作るということもシリコンバレーでの滞在での学びが活かされたと言います。
【2014年5月】『Maker Faire Bay Area 2014(カリフォルニア)』で初公開
MESHの開発は常に、お客様とのコミュニケーションとともに進められてきました。
2014年には、MESHに感心の高そうなお客様が世界で最も集まるであろうと考え、米国カリフォルニアで開催された『Maker Faire Bay Area 2014』で、コンセプトとプロトタイプを初めて公開・展示しました。
展示会にはエンジニアやデザイナー、教育関係者や家族連れなど、様々な人が来場され、幅広い性別・年齢層から、「MESHでどのような創作をしたいか」のアイデアや、欲しいブロックの種類など、さまざまな意見をいただきました。
【2015年1月】米国のクラウドファンディングサイト「Indiegogo」に出品
『Maker Faire Bay Area 2014』等で得たご意見も参考に開発を進め、2015年1月6日~3月7日の期間で、米国のクラウドファンディングサイト「Indiegogo」にてクラウドファンディングを実施しました。3月7日までの2ヶ月間で、当初の目標を上回る64,875米ドルの支援を得ることができました。
Indiegogoを通じて支援頂いた皆さんへの発送作業も、メンバー総出で行いました。
【2015年1月】『CES(ラスベガス)』に出展
「Indiegogo」でのクラウドファンディングだけではなく、スタートアップ企業や最新テクノロジーに興味を持つ来場者との意見交換や、MESHの商品価値の検証を行うため、ラスベガスで行われた『CES』に出品しました。
MESHが出展したのはソニーブースではなく、Eureka Parkと呼ばれる会場で、スタートアップ企業などが商品・サービスを紹介するエリアでした。Eureka Parkでは20か国以上から最新のアイデアやイノベーションが展示され、活気をみせました。
連載『IoTブロックMESHヒストリー』、次回の記事「#02 スタート」では、製造を行う事業所での初めての出荷式、日本での販売開始のストーリーをご紹介します。