Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は、完全オンライン型のアイデアコンテスト「SSAPアイデアコンテスト」を実施します。募集テーマは「フードテック」。迫りくる食料問題に対して、テクノロジーを用いたイノベーティブなアイデアを広く募集します。
コンテストの審査には、ソニーグループ株式会社(ソニー)で食材の環境配慮活動「Food for the Future」プロジェクトを推進するサステナビリティ推進部も参加し、優れたアイデアにサステナビリティ賞を授与します。
今回はサステナビリティ推進部 環境グループ 生物多様性ワーキンググループの川北 貢造(かわきた・こうぞう)に、ソニーが取り組む「Food for the Future」プロジェクトについてインタビューしました。
ソニーが取り組む食材の環境配慮活動、「社員食堂」と「普段の生活」でサステナブルフードを。
――川北さんの「Food for the Future」プロジェクトでの役割を教えてください。
私は環境配慮食材について、社員食堂でのメニュー提供や社員啓発活動を行う「Food for the Future」プロジェクトの推進を担当しています。
――ソニーは食材の環境配慮活動「Food for the Future」プロジェクトを推進していますが、これはどのような取り組みですか?
このプロジェクトでは、食材の環境配慮について2つのアクションを展開しています。
1つは「社員食堂でサステナブルフードを」です。社員食堂で実際に環境配慮された食材を使ったメニューを食べていただくことが、食材の環境配慮について考えるきっかけになればと考えています。
もう1つは「普段の生活にサステナブルフードを」です。食材がかかわる環境問題と、普段の生活で取り組むことができるそれらの問題の解決に貢献するためのアクションをまとめたガイドブックを作成しました。特設サイト からダウンロードが可能です。
――アクションの1つ目「社員食堂でサステナブルフードを」ではソニーの社員食堂のメニューを工夫しているとのことですが、例えばどのようなメニューがありますか?
環境配慮食材には様々な種類があり、例えばひき肉の代わりに大豆ミートを用いたミートソーススパゲティ、野菜の皮をむかずに調理をしたカレーライス等、工夫を凝らしたメニューを提供しています。このようなメニューを提供すると共に「なぜこれらのメニューが環境に配慮していると言えるのか」を社員にわかりやすく説明することで、ソニー社員の環境配慮食材に対する意識向上を促しています。
ソニーの世界各国・各地域の社員食堂でこれらのような環境に配慮したメニューを提供していく予定です。社員にとって身近な存在である「食堂」を通じ、環境に配慮した食生活の重要性を社員と一緒に考えていきます。
――アクションの2つ目「普段の生活にサステナブルフードを」では、どのような活動で社員の食に関する意識の向上を促していますか?
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、ソニーでは社員が食堂で食事を取る機会が減っています。そこで「普段の食生活」での環境配慮を促す活動を実施することにしました。具体的には、食料配慮活動に関するガイドブックを作成したり社内セミナーやイベントを開催したりと、環境に配慮した食生活の重要性を社員と一緒に考えています。
ガイドブックでは、食をめぐる問題や、普段の買い物や料理・食事で実践できるアクション、サステナブルな食生活のチェックリスト等の情報を掲載しています。
人々に身近な「食料」から、環境問題を解決する。
――ソニーが「Food for the Future」プロジェクトを推進するのはなぜですか?
ソニーは4つの視点(気候変動・資源・生物多様性・化学物質)で環境を捉え、環境計画「Road to Zero」に基づき2050年までの環境負荷ゼロを目指して活動を進めています。食材はこれら4つの視点の環境問題全てに関係があります。また食べ物は私たち人類が生きるために欠かせないものであり、かつ最も身近な存在です。私たちの食生活を変えることが、これらの環境問題の解決に繋がると考えています。
社員1人ひとりが食にまつわる様々な環境問題に目を向け消費行動を変えていくため、ソニーは「食材の環境配慮」を2025年度までの新たな環境中期目標の1つとし、「Food for the Future」プロジェクトを立ち上げました。
――食生活を変えることが環境問題の解決に繋がるのですね。解決すべき環境問題は、例えば何がありますか?
食材に関する環境問題はたくさんありますが、その中でも代表的な問題を2つご紹介します。
<フードロスの問題>
フードロスは、資源の視点で大きな問題です。
世界中のお店・レストラン・家庭で、年間9億3000トン以上の食料が捨てられており、1人当たりの食品ロスを計算すると年間74kgになると言われています(*1)。そのうちの61%が家庭から出た食品とのこと。家庭からの食品ロスの内訳は、食べ残しが42%、未開封の食品が食べられずに捨てられる直接廃棄が35%、野菜の皮を厚くむき過ぎる等、食べられる部分が捨てられている過剰除去が23%です。これだけ多くの食品が廃棄されている一方で、世界の人口の8.9%(*2)が飢えに苦しんでいます。
<食材の生産・輸送の過程で排出される温室効果ガスの問題>
肉や農産物の生産・輸送の過程で、地球温暖化の促進要因と言われるメタンや一酸化二窒素、CO2等が大量に排出されています。
例えば、家畜として育てられる牛のゲップにはメタンが多く含まれており、一酸化二窒素は農業に必要な窒素肥料が原因になります(*3)。また、多くの食材を輸入している日本では、それらの輸送に伴うCO2排出量が年間1,690万トン(※4)もあると言われています。
――SSAPアイデアコンテストでは、食料問題をテーマにアイデアを募集します。アイデア応募を検討している方々に向けて、メッセージをお願いします!
世界では9人に1人が飢餓に直面しているといわれており、この問題の解決も急務です。しかしそれと同時に食材は地球環境が健全でなければ生産できないので、食材に関する環境問題の解決に取り組むことも重要です。
食べ物は私たちの日常生活で身近な存在であるため、誰でも食料問題に対するアクションを起こすことができます。しかし何をすればよいのか分からず、なかなかその一歩を踏み出せない人が多いのではないでしょうか。
今回のアイデアコンテストでは、そんな人々の背中を押してあげるためのアイデアをお待ちしております。Food for the Futureプロジェクトが作成したガイドブックにも、食材に関してどんな環境問題があるのか、そしてそれに取り組むための様々なアクションが紹介されていますので参考にしてみてください。
>>SSAPアイデアコンテストの詳細はこちらから
※本記事の内容は2021年12月時点のものです。