ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)とエムスリー株式会社(以下、エムスリー)は、COMPASS Projectの一環として、最新モバイルセンサー「amue link」を活用した医療イノベーションアイデア公募を実施し多数の応募をいただきました。
今回は、先日発表されたソニー・エムスリーが提供する最優秀賞・優秀賞のうち、優秀賞を受賞された4名の先生(国立病院機構鳥取医療センター 高橋 浩士先生、昭和大学薬学部 倉田なおみ先生、順天堂大学医学部付属順天堂医院 土肥 智貴先生、医療法人三仁会あさひ病院 猪田 邦雄先生)にそれぞれインタビューしました。
アイデア名 「パーキンソン病患者の在宅生活を支える多機能ウェラブルデバイスamue link」
――先生のご専門領域をお教えください。
私の専門は脳神経内科で、パーキンソン病などの神経難病や認知症、脳卒中などの診断・治療を行う、内科のうち脳神経系を専門に診ています。
――アイデア公募に応募されたきっかけは何ですか。
モバイルセンサーについてのサーチは5年以上前から行っていました。エムスリーのサイト(m3.com)は毎日見ているのですが、そこで今回、対象デバイス限定の募集テーマを発見。詳細を見ると、センサーにソニーらしい「音声接続」機能があり、私が長年考えてきた医療の”unmet needs”の一つを解決できるかもしれないと考えました。私はちょうどウォークマン世代ですので、その世代の脳神経内科医師を代表するつもりで応募しました。(最高齢の応募者かな?)。
ソニーの創業者である井深さん・盛田さんの「アイデアのソニー」への昔からの思い入れと、「医療ビジネスのGAFA」であるエムスリーによるオープン・イノベーションであったことも応募の大きな理由です。
――今後の医療分野で成し遂げたいこと等がございましたらお聞かせください。
「治す医療」から「治し支える医療」への実現に向け、在宅医療の比重が益々高まり、遠隔診療、オンライン診療、オンラインDevice-Aided 治療が浸透してきています。脳神経内科領域では特に、パーキンソン病や認知症は診断・治療のAI化・IoT化は十分に可能と考えておりますので、コロナ禍で加速する”Digital Medicine”に、わずかでも貢献していきたいです。
アイデア名 「薬局来局者のフレイルチェック」
――先生のご専門領域をお教えください。
私は高齢者医療、運動障害、摂食嚥下障害、服薬支援、コミュニケーション、社会薬学、医療安全などを専門にしています。
――アイデア公募に応募されたきっかけは何ですか。
患者や地域住民の健康長寿延伸のため、フレイル(虚弱)チェックは重要であると考えています。地域に根付いた医療機関である薬局で、薬剤師がフレイルを早期発見するためのツールとして「amue link」を活用できたらと思い、今回応募しました。
――今後の医療分野で成し遂げたいこと等がございましたらお聞かせください。
私は錠剤を粉砕しない、安全・確実な経管投薬法である「簡易懸濁法」を開発し普及してきました。今後もこれを、世界中に普及させたいと考えています。また疾患のない地域住人も訪れる薬局で、薬剤師が予防、未病に注力し、健康寿命延伸に貢献できるようにしたいです。
アイデア名 「amue linkを駆使した心臓リハビリテーションプログラム「心リハwith amue link」の構築と実践:心血管疾患の再発予防最大化プロジェクト」
――先生のご専門領域をお教えください。
私は冠動脈疾患、臨床循環器病学、心血管イメージングを専門にしています。
――アイデア公募に応募されたきっかけは何ですか。
近年、心臓病の発症、再発予防においての心臓リハビリテーションの意義が増しています。小型で双方向性デバイスである「amue link」を使用し、患者の運動量やバイタルサインを遠隔モニタリングすることで、よりきめ細かいサポートができると考え、今回応募しました。
――今後の医療分野で成し遂げたいこと等がございましたらお聞かせください。
今後は心臓病を「治す」から「予防する」時代が来ると考えています。つまりは日常生活における運動や食事、睡眠などへの積極的サポートの重要性が増していくでしょう。そのために、患者さんとの信頼関係を構築することは当然ですが、その上にデジタル技術を駆使したサポート体制構築ができればと思います。
アイデア名 「人工関節術前後の日常生活活動及びスポーツ活動」
――先生のご専門領域をお教えください。
私は整形外科(日本整形外科学会専門医)、リハビリテーション医学(日本リハビリテーション医学会専門医)、特に関節外科、高齢者のリハビリテーションなどを専門にしています。
――アイデア公募に応募されたきっかけは何ですか。
m3.comで今回の公募を知り、応募しました。現在の医療はチームで行う必要があり、特にITを利用した医療への取り組みが必須と考えていました。当院では現在、優秀な資格をもったスタッフがおり、機器の利用などに取り組める環境が整っていることも応募のきっかけの一つです。
――今後の医療分野で成し遂げたいこと等がございましたらお聞かせください。
私はこれまで、整形外科疾患の治療だけでなく、メタボ外来やロコモ外来にも取り組んできましたが、機器による日常生活の活動性やQoL(Quality of Life)に関わるデータに加え、医療の介入効果の検証が必要であることを痛感しています。運動器疾患における双方向性のある患者立脚型の医療を目指したいです。