2020.10.01

StartDash Idea Contest - 2020 Spring 最優秀賞 受賞者インタビュー

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は、事業化支援Webアプリ「StartDash」を活用した完全オンライン型の事業アイデアコンテスト『StartDash Idea Contest - 2020 Spring』の最終審査を実施し、先日最優秀賞を発表しました。
今回は、最優秀賞を受賞された田中明子さんに、アイデアの概要や応募の経緯、今後目指されていること等をインタビューしました。

「起業をしたい」という想いと、StartDashとの偶然の出会い。

――田中さんのこれまでのキャリアを簡単にお教えください。

大学卒業後、計測機器メーカーに勤務し、分析機器におけるアプリケーション開発に17年従事していました。その後、食品・医薬品試験の受託会社に転職し、試験の商品企画、学術インフォメーションの立ち上げ、品質保証責任者として医薬品試験に関わる品質保証体制の整備や監査対応に従事。また、個人情報保護管理業務、ISO17025認定取得や管理、部署の統廃合など様々な業務を、計13年行いました。

田中明子さん
田中明子さん

――StartDash Idea Contestに応募されたきっかけは何だったのでしょうか?

これから先もずっと社会に関わっていくために自分に何ができるかを考えたとき、「起業をしたい」と考えるようになりました。自分のアイデアをブラッシュアップする手段としてアクセラレーションプログラムを探していた時に偶然、StartDashを知り利用したことがきっかけです。

 

オンライン料理教室で、日本食を海外に定着させたい。

――今回の応募は「JCOOK」という“食”に関するアイデアですが、誰のためにどのようなサービスを提供するものですか?

「JCOOK」は、日本食好きな海外在住の外国人に向けて、現地で手軽に作れる「日本の家庭料理」のオンライン料理教室を提供するサービスのアイデアです。
観光で日本に来る外国人が楽しみにしていることの一つに「日本食」があるとよく聞きます。しかし昨今は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で気軽に海外旅行ができません。また海外現地でリーズナブルな日本食が食べられるレストランは限られており、現在は海外在住の方が気軽に本物の日本食を食べられないケースが多いことを知りました。

そこで「JCOOK」により、海外にいても日本食材を入手しやすい仕組みを作り、日本料理特有の食感や風味、調理のコツをきちんと伝えることを実現します。また、必要に応じて現地食材の使用や味のアレンジを紹介しローカライズを進め、日本食を海外に定着させることが最終目標です。訪日のワクワクした旅行気分を提供できるよう、オンライン教室の開催方法も工夫したいと考えています。一方向の動画配信サービスやレシピサイトと差別化し、目指しているのは、視覚だけでなく五感を使った「訪日の疑似体験」です。

――日本食を海外に定着させるという目標をお持ちなのですね。「JCOOK」のアイデアの発想はどこから生まれたのでしょうか?

私は現在京都に住んでいるのですが、最近は海外からの旅行者が急激に増えていました。そんな中、私たちが日常的に通う飲食店で見かける海外旅行者は、楽しみながら美味しそうに日本食を食べています。彼らにとっては日本食が非日常で貴重な体験なのです。
またここ数年、「外国人向けの料理教室」や「一般家庭での料理体験」が人気で、そうした予約サイトが増えていることも気になっていました。

これらに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で生活が一変したことから、ターゲットとなり得る方々にヒアリングを行う中、このアイデアが生まれました。日本人が他国由来のカレーやラーメンを日本人の口に合うようアレンジして日本食として定着させたのと同様に、海外でも日本食のローカライズ支援することで、日本食をもっと気軽に食べられるものとして定着させられるのではないかと考えています。

JCOOKのサービスイメージ図
JCOOKのサービスイメージ図

――実際に今回応募したアイデアが実現されると、どのような人にどのようなインパクトがあると思われますか?

社会的インパクトを考えると、日本の特産品や伝統商品を世界に紹介し販売を促進できれば、地域経済の活性化につながるかもしれません。
また、「JCOOK」のサービス浸透によりグローバルに働ける環境が提供できれば、一緒に働くことになる仲間に働きがいを感じてもらえるのではないかと考えています。さらに展開できる国・地域が増えた場合、グローバルな人材の登用によって、人種や国籍の壁を越え不平等をなくす小さな一役を担えるかもしれません。

 

入り口にやっと辿り着けた。これからも、挑戦を。

――StartDash Idea Contestでは実際にStartDashをご使用いただきましたが、使われてみていかがでしたか?

私はこれまでずっと企業に勤めていた身なので、「起業」については本当に何も分からない状況でした。
「StartDash」では、プロセスを1つ1つ進めて行けば、「ニーズの検証」「ビジネスモデル」「市場確認」「環境分析」「競合分析」など、自分が考えるべきこと・分析すべきことが明確になり、自然にアウトプットができる仕組みになっていました。各プロセスで考えるべき項目も多いため全てをやり切れた訳ではありませんが、起業の準備段階では非常に有効なアプリだと思いました。

StartDashのプロセスチャート画面
StartDashのプロセスチャート画面

――田中さんは、インキュベーションプログラムへの参加等、積極的に活動をされていると伺いました。今後のご自身の活動の展望等がございましたらお聞かせください。

「起業したい」と思い始めた当初は、どうしても起業と聞くと20代や30代が活躍しているイメージで、年齢的にも未経験の私が入っていくのは自信がありませんでした。
しかし、私が所属している「miyako起業部@KRP」(京都リサーチパーク株式会社が運営する、起業を目指す人のための活動)等で先生方からたくさんのご指導を受けたり、インキュベーションプログラムでのメンタリングで的確なアドバイスを頂くことによってアイデアがブラッシュアップされ、こうして賞を頂けるまでになりました。

まだやっと入り口にたどり着いた状態でこれから先どうなるかは分かりませんが、色々な方からのご支援に感謝しながら、多くの方の話に耳を傾け、できることは何でも実行して、後悔しないよう自分の持てる力を出し切りたいと考えています。

>>StartDash のご利用はこちらから

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)は、「あらゆる人に起業の機会を。」をコンセプトに、2014年に発足したスタートアップの創出と事業運営を支援するソニーのプログラム。ソニー社内で新規事業プログラムを立ち上げ、ゼロから新規事業を創出した経験とノウハウを活かし、2018年から社外にもサービス提供を開始。経験豊富で幅広いスキルとノウハウをもったアクセラレーターの伴走により660件以上の支援を24業種の企業へ提供。大企業ならではの事情に精通。(※ 2024年3月末時点)

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