2020.03.02
アクセラレーター紹介

「素材がいいものはその良さをシンプルに活かし、本質を引き出す」

Sony Startup Acceleration Program(“SSAP”)のアクセラレーターは、新規事業の立ち上げを支援し加速するマインドセットとスキルを兼ね備えたプロフェッショナル集団です。それぞれが実際の事業経験を通じて学んだ豊富で専門的な知識を持ち、様々な分野で新規案件の事業化や収益化をサポートしています。

本連載では、SSAPに所属する多数のアクセラレーターの中から各回1名ずつをピックアップしご紹介いたします。

伊藤 健二 Kenji Itoh

――担当支援領域

プロトタイピング&マニュファクチャリング

  • 新規アイデアの実用化・量産化をモノづくり・電気・メカ・ソフトウェアの観点から支援

――担当事例

京セラ(Possi)株式会社グレースイメージングREON POCKETwena wristなど、社内外のプロジェクト多数

――実際に支援を受けたお客様からのコメント

「以前試作を作った際、仕様の抜け漏れによる手戻りがかなり発生し、分析、評価を開始するまで多くの時間を要しました。ハードウェアに対して知見が乏しく、量産に対して先が見えない状況でした。ソニーのサービスは設計だけでなく仕様の相談からできるので、こちらの意図を組み込んだプロトタイピングが出来ています。加えて量産を見据えた日程や費用の算出もしてもらえるので、事業計画が立てやすく、非常に助かっております。(株式会社グレースイメージング 代表取締役 CEO 中島 大輔様)」
「設計だけではなく、部品入手、設計委託先まで配慮いただけているのでとても助かりました。また、技術者目線の指摘をもらえるのが非常にありがたいです。」

SSAPアクセラレーターの伊藤健二

アクセラレーターインタビュー

――これまでのキャリアを簡単に教えてください。

SSAPに参画する前は、ソニーのカメラの商品設計・メカ設計に従事しておりました。そこでは、コンシューマー向けのビデオカメラから、セミプロ向けのデジタル一眼カメラ、プロ向けの業務用カメラまで、世界初となる機能や性能を持った数々の商品を設計する機会に恵まれ、エンジニアとして非常に貴重な経験を得る事ができました。例えば4K対応など、性能がどんどん上がる中で筐体のサイズを維持しようとすると、消費電力の増加やそれによる熱問題など様々な課題が出てきます。私はそれらの課題に対して「これが正解」という解がない中から、最適な解決策を探すことを目指し、日々、熱や振動のシミュレーション、解析を重ね、ハードウェア設計の基本コンセプトを作り上げました。設計プロセスにおいて、担当領域だけを見るのではなく自分で全体を把握するというスタンスを貫き、幅広い経験を積みました。

それらの経験を通じ、カメラで培われた技術を新規の商品やサービスに広く活かせないかという思いが強くなり、2014年に始まった当時のSAP(Seed Acceleration Program)、現在のSSAPに非常に興味を持ちました。そんな中、SSAPで育成中だった新規プロジェクトの事業化に向けた量産設計および技術面の担当者として声がかかり、2014年の秋から立ち上げメンバーとして参画しました。チームでは設計業務に加え、販売する上で重要なCS(カスタマーサティスファクション)やマーケティング、営業までも幅広く担当し、ここで小規模ながらもEnd to Endの事業経験を積むことができました。特にプロジェクトで実施したISSEY MIYAKEとのコラボレーション(参考記事:http://www.sensors.jp/post/paris-collection-issey-miyake-sony.htmlhttp://www.sensors.jp/post/isseymiyake-sony-1.html)では、業界、専門性や立場が異なる方々との協業を通じ、相手の立場に立ちつつ事業としても確実に成り立つ提案の必要性など、多くを学びました。今は、これらの経験は現在のキャリアに非常に有益だったと感じております。

2018年の4月からはSSAPのアクセラレーターとして、各プロジェクトに対する横断的な支援に加え、ハードウェア開発・設計に関する仕組み作りをサポートするStartDash Prototypingのサービスをメインに支援させていただいています。

――支援するうえで大事にしていることは何ですか?

私は現在、メカ領域における支援に加え、設計におけるプロジェクトマネジメント、部品選定を中心とした調達領域、設計観点での品質領域に対するサポート、技術アドバイスを行っております。小さな筐体に様々な要素技術が凝縮しているカメラの商品設計を通じて培った技術・知識と、SSAPのプロジェクトを通じて学んだ、アイデアの実現可能性を見極めるためのPoC(Proof of Concept:概念実証)を重ねるスピーディなモノづくりを掛け合わせ、各プロジェクトに最適なアプローチで支援できるように努めています。

様々なプロジェクトの方々との日々の会話を通じ、ターゲット顧客が欲しがる新規商品・サービスをビジネスとして成り立つ適切なコストでどう実現するか、また、品質をどう担保するかといった点が、いかに難しいことかを改めて痛感しております。そのため、自分でこれまで得た知見、また新たに取得した知識や知見をフルに活用して、開発・設計プロセスの段階でアドバイスやフィードバックを行い、より早い段階で後戻りなく商品開発・設計を進めていけるよう心がけています。支援を受けられるお客様の専門分野についてはとにかく謙虚にお話を伺いつつ、我々の専門領域に徹底的にこだわった支援をすること、ソニーでのモノづくり経験に裏打ちされた意見や成果を、確実にスピーディに提供することが私の使命です。

――SSAPの活動を通して実現したいことはありますか?

私が支援させていただいているプロジェクトの方々は、世の中に製品を出したいという強い意志に加え、幅広い業務を経験することから自身のさらなる成長に繋げていきたいという志の高い方がとても多く、その方々を支援するのはとてもやりがいがあると感じています。

私自身も3年半、実際の新規事業立ち上げに従事した経験を活かし、これからあらゆるビジネス領域のプロジェクトを支援させていただく中で、プロジェクトと共に勉強させていただきたいです。そしていつか、社会に大きく貢献できるビジネスを育てるべく、日々精進していきたいと思っています。

――オフの楽しみを教えてください。

料理です。特に、魚を丸ごと買ってきて自分でおろすことにはこだわっています。青物横丁にある築地直送の魚屋さんで旬の魚を購入してきてさばくのですが、切り身を購入するのとは鮮度が格段に違い、お刺身がとにかく美味しい。素材がいいものは、その良さをシンプルに活かし、本質を引き出す。スタートアップにも通ずるものがありますね!

――最後に一言お願いします。

繰り返しになりますが、素材、その人が元々持つよさをストレートに引き出し、活かせるような支援を今後もしていきたいです。課題やアイデアの種を持っていながらも、ある分野の知見がないために諦めてしまっている人がまだまだ多いのが現状です。そんな人の中から、キラリと光る部分を見つけ出しサポートすることで、アイデアを具体的な形として一緒に世の中に生み出していければと思います。

あらゆる人に起業の機会を。

Sony Startup Acceleration Programはソニーが手がけるスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラムです。2014年から5年間で、国内外で750件の新規事業案件を審査し34件を育成、14の事業を立ち上げ。それらを通じて培った経験やノウハウを生かし、アイデア出しから事業運営、販売、アライアンス・事業拡大に至るまで総合的に支援する仕組みを整備し、スタートアップ支援サービスとしてみなさまにご提供しています。

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